『ピクミン ブルーム』のNianticが考えるメタバースとは? プロダクトマネージャーが登壇した “NetApp INSIGHT Japan 2022 Digital”リポート

2022-02-28 21:36 投稿

国内最大級のデータ活用デジタルイベント

2022年2月24日と25日、2日間に渡って国内最大級のデータ活用デジタルイベント“NetApp INSIGHT Japan 2022 Digital”が開催された。

これは業界をリードするエキスパートたちが、最新トレンドや技術情報を語り合うことをテーマにしたものである。

150以上の多彩なセッションが用意された今年、Nianticの東京スタジオでプロダクトマネージャーを務める野村達雄氏が登壇した。

本記事では、野村氏が語ったNianticが目指すメタバースに注目。

これまでの取り組みと合わせ、当日の様子をまとめていく。

netappijd01

人々を外に連れ出すNianticの理念

NetApp INSIGHT Japan 2022 Digitalの2日目、25日の回にNiantic 東京スタジオの野村氏が登壇。

Google Japanにソフトエンジニアとして入社した2011年からいまに至るまでを振り返った。

2018年まで『ポケモンGO』を担当したのち、同社に設立された“東京スタジオ”のプロダクトマネージャーに就任。昨年末ローンチされた『ピクミン ブルーム』もそのひとつというわけだ。

■Nianticとは

netappijd02

▲『ピクミン ブルーム』は、同社が開発してきたアプリの中でもっとも歩くことに特化したタイトル。日常に溶け込む感覚はゲームに馴染みのない人でも楽しめるはずだ。

また、野村氏は“Inspire People to explore the world,together”、人々が世界で冒険をするための手助けすることが社内ミッションであると説明。

位置情報ゲームを作っているのは、単にゲームというエンタメを目的としているのではなく、外に連れ出すきっかけや発見を楽しんでもらうこと。

そうした体験がこの世界をより良いものにしていくと想いを明かした。

netappijd03

▲これは同社が開発するアプリの基盤であり、現在もサービスが続いている『Ingress』のリアルイベントを撮影したもの。特定の街を舞台に戦うこともあれば探索することもある。東北の復興や地域活性にも取り組む歴史の長いタイトルだ。

netappijd04

▲こちらは『ポケモンGO』の一環として開催されたアースディの様子。ゴミ拾いをテーマに人々とのつながりを生み、街を歩き環境と向き合う。ポケモンを捕まえバトルをするだけでなく、新しい体験のきっかけを与えてくれるのもトレーナー活動の魅力だ。

さらに昨年、開発者用に公開された“LIGHTSHIP”にも言及。

マルチデバイスかつリアルタイムで多くのユーザーをつなぐAR体験を目的としたキットであり、同社が現在運営をしている3タイトルを例に前提としている仕様についても語られた。

■LIGHTSHIPの詳細はこちら

・クロスモバイルプラットホーム
・数百人が同時にアクセスできる単一のワールド
・スケーラブルなプレイデータのリアルタイムの読み書き
・オフラインゲームデータの分析

上記の4つを挙げ、アイデア→プロトタイプ→機能実装→QA→(Quality Assurance:品質保証)→ドッグフード(犬のごはんを作った自分が試食=問題の有無を確認)→リリース→フィードバック、これをひとつの円でつなぎ、開発を続けていると野村氏は説明した。

netappijd05

▲MMOなど多くのネットゲームは複数の世界(サーバー)にユーザーが分散されるが、Nianticが提供するのは単一の世界というわけだ。LIGHTSHIPを活かしてどんな作品が生まれていくのか、とても楽しみである。

Nianticが考えるメタバース

今回、イベント中にメタバースに言及する場面もあった。

Nianticはどう向き合っていくのかという質問に野村氏は、世間ではVRゴーグルを使ったものをメタバースと呼ぶことが多く、その世界に閉じこもっていくイメージが強いと想いを明かす。

一方、Nianticとしてその世界は目指したくない世界線であり、リアルワールドというメタバースでの遊び、情報を活かしたものを理想としていること。仮想ではなく現実の世界をより良くするための取り組み。

つまり、VRのメタバースではなく、ARのメタバースを目指しているのだと語った。

netappijd06netappijd07

▲『Ingress』のポータルスキャンや『ポケモンGO』のポケストップスキャンも、そうした世界を充実させていく大きな取り組みのひとつ。スポットによってはスキャンしにくいこともあるが、機会があればぜひチャレンジしてもらいたい。

おもにVRを前提にしたメタバースという世界はいまだ発展途上であり、先駆者たちの説明も毎回ブレるくらい曖昧な印象が強い。

とても関わりにくい界隈にも感じるが、その分可能性と魅力を秘めた試みであることも事実だ。

そうした中で、Nianticが目指すARを使ったメタバースがどういった世界を見せてくれるのか。

さまざまなヒントと可能性が秘められている『Ingress』(iOS / Android)や『ポケモンGO』(iOS / Android)、『ピクミン ブルーム』(iOS / Android)に今後も注目をしていきたい。

netappijd0708書き込み

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

この記事のタグ

Amazon人気商品ランキング 一覧を見る

関連記事

この記事に関連した記事一覧

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧