魔女・モーガンの策略!エクスカリバーの鞘はいかにして失われたか【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第35回】

2020-06-17 12:00 投稿

アッッツい!!!

気温も暑いですが……、PS5がアツい!!!

個人的には『ホライゾン・ゼロ・ドーン』の続編に超期待ですね! あと『デモンズソウル』のリメイク!! はやくやりてェー!!

というご挨拶から、今週も始まりますよ“元ネタの世界”!

先週に引き続き、『アーサー王物語』の世界をご紹介いたしまする。

今回はアーサー王の持つ聖剣・エクスカリバー、その鞘が失われてしまったエピソードをお話ししてまいります!

んでは、いざいざ~。

【目次】
・マーリンと湖の乙女とモーガンと
・小舟から牢獄へ
・入れ替わるエクスカリバー
・代理決闘
・湖底に沈む鞘
・次回は騎士と呪いのお話!

マーリンと湖の乙女とモーガンと

さて、本題に行く前の前日譚として、まずはマーリン湖の乙女のお話をば!

アーサー王を助け導いた魔術師・マーリンと、アーサー王にエクスカリバーを授けた湖の乙女、ふたりは『アーサー王物語』でもとくに重要な人物です。

しかしこのマーリン、湖の乙女にベタ惚れしてしまい、乞われるままに魔術を教えるようになります。

魔術の秘宝を授けまくった後もとにかく好意が濃すぎたのか、次第に湖の乙女に疎まれるようになってしまうのです!

そしてある日、湖の乙女は巨大な石の下に広がる異空間にマーリンを封印してしまい、これによってマーリンは物語から退場することとなります。

20200615_アコロン (1)

が、マーリンは予知能力によってこのことを察知しており、自分が消える前に、アーサー王に最後の警告を残します。

「湖の乙女より託された剣と鞘を、決してなくさないようにお気をつけなさい。

いつか、王がもっとも信頼している女性によって盗まれてしまうことでしょう」

アーサー王とセットで有名なエクスカリバー、その切れ味もさることながら、持ち主に一滴の血も流させない、というチート能力持ちの鞘が超強力!

今回のタイトルでもほぼ丸わかりですが、マーリンの予言に出てくる“もっとも信頼している女性”というのが、アーサー王の異父姉にあたる魔女・モーガンです。

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アーサー王は姉として慕っている面が強いのですが、モーガンは逆にアーサー王への強い恨みを抱いています。

というのも、彼女の父・ゴルロイスはアーサー王の父であるウーサーによって殺されており、ウーサーがゴルロイスの妻、つまりモーガンの母であるイグレインを奪った結果生まれたのが、アーサーなのです。

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そういった訳で、隙あらばアーサー王殺害を企てるモーガン、その暗躍が見られるのが今回のお話!

では前置きはこのへんにして、本編へGO!

小舟から牢獄へ

ある日、アーサー王はかつては敵対し、いまや仲間となったユリエンス王と、騎士のアコロンとともに狩りに出かけていました。

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※アコロンも元ネタは男です。

馬が倒れてしまうほどの遠出をした彼らは、とある砂浜で不思議な船を発見します。

絹で飾り付けられた船内に入り込むと、どこからか突然12人の乙女が現れ、彼らを歓迎しました。

これまでに見たことがほどに豪華な食事を振舞われた後、3人はそれぞれ別の寝室へと案内され、深い眠りにつきました。

翌朝、ユリエンス王が目を覚ますと、彼は王城・キャメロットで妻のモーガンの腕に抱かれていました。後に補足しますが、ユリエンス王はモーガンの夫でもあります。

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ユリエンス王は妙な違和感を覚えます。それもそのはず、彼らが狩りに出かけた地は、王城から2ヵ月はかかろうという距離にあったのです。

一方、アーサー王が目を覚ますと、彼は見知らぬ檻のなかに放り込まれていました。

同様に囚われている20人もの騎士たちに話を聞くと、彼らはダーマスという領主に捕まったのだといいます。

聞けば、ダーマスという男は誰よりも不誠実な騎士で、弟のオンズレイクが立派に領地を守り抜こうとも、少しも労おうとしないそうです。

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※ふたりとも元ネタは男です。

やがて、我慢の限界となったオンズレイクは兄に1対1の決闘を挑みました。

兄のダーマスは誰か代わりの騎士に戦わせようとしましたが、人望がないため誰も立候補しません。

そこで、ダーマスは近くを旅する騎士たちを手あたり次第に捕まえ、「解放されたければ自分の代わりに決闘に挑め」と命令していたのです。

しかし、そんなダーマスのために誇りをかけて戦う者はおらず、皆囚われの身となっているのだ、と獄中の騎士は語りました。

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騎士の話では、獄中で飢え死にした騎士は18人にも上るといいます。

怒りに震えるアーサー王のもとに、ひとりの乙女が現れ、アーサー王の戦う意思を問います。

牢屋にいる騎士たちを全員解放することを条件に、アーサー王は領主のために全力で戦うことを誓いました。

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入れ替わるエクスカリバー

さて一方で、泉のそばで目覚めたアコロン。彼がアーサー王たちの無事を祈っていると、モーガンの使者と名乗る者が現れました。

「アコロン様、あなたは明日、とある騎士と戦うこととなります。

その者の首をモーガン様にお届けになれば、モーガン様はあなたを夫としてくれることでしょう。

あなたのために、モーガン様がこれを託されました」

そう言って使者が手渡したのは、エクスカリバーとその鞘でした。

と、ここで注釈をば!

モーガンはアーサー王の異父姉にしてユリエンス王の妻なのですが、じつはアコロンとも愛人関係にあったりします。

しかも、彼女がもっとも愛しているのはそのアコロンであり、今回のくだりでアーサー王とユリエンス王を亡き者にしようとしていたのです!

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その後、アコロンはオンズレイクと出会います。

聞けば、兄のダーマスが決闘の準備は整ったと伝えてきたものの、オンズレイク自身が両脚を怪我してしまっているとのことでした。

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話を聞いたアコロンは、ダーマス側の騎士がアーサー王とは知らず、オンズレイクの代理として決闘に挑むことにします。

そして決闘の日、準備をしているアーサー王のもとに、モーガンの使者である乙女がやってきました。

「王よ、モーガン様が弟君の危機を察知し、大いなる愛を込めてあなた様の剣を遣わされました」

そう言って剣を手渡しましたが、これはエクスカリバーによく似せた偽物だったのです。

こうして、アーサー王とアコロンは、お互いが決闘の相手とも知らず、そしてアーサー王は自分の剣が偽のエクスカリバーだとも知らず、戦いの場へと赴くのでした。

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代理決闘

ダーマス、オンズレイクの用意した鎧を着こみ、互いの正体を知らぬままに対峙したアーサー王とアコロンは、激しくぶつかり合います。

馬上での戦いは両者の槍が相手の盾をはげしく打ち、どちらも地面に倒れました。

立ち上がりざまに剣を抜いた両者でしたが、アーサー王がいくら切り付けても決定打は与えられず、逆にアコロンが剣をひと振りするたびに、アーサー王の鎧は裂かれ、血が流れます。

立っていられるのも不思議なほど、と見物人たちが口にするほどの窮地を、陰から湖の乙女が見守っていました。

彼女はモーガンの策略を察知し、王の命を救うべく現れたのです。

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自分の身があまりに傷つき、また相手にまったく痛手を負わせられない状況に疑問を抱いたアーサー王は、ついに自分が姉に裏切られたことに気がつきます。

それでも退かず、全力で剣を振るうアーサー王でしたが、とうとう振り下ろした剣が根本から折れてしまいます。

「武器がなくなっては戦えまい、降参せよ」

そう迫るアコロンに、アーサー王は盾を構えて応えます。

「たとえ武器がなくなろうとも、誇りを失うことはない。命ある限り、私は最善を尽くして戦うと誓ったのだ」

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その言葉に、再び切りかかるアコロン。しかしアーサー王は盾ごと突進し、ひるんだアコロンに剣の柄で一撃を加えます。

まわりの騎士たちは王の奮闘ぶりを称えますが、もはや勝負は時間の問題。ついに決着かと思われたそのとき、アコロンの振りかざした剣が突然手元を離れ、地面に落ちました。

陰から見守っていた湖の乙女が、魔法で剣を弾き飛ばしたのです。

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落ちた剣に飛びついたアーサー王は、それがエクスカリバーであることに気づくと、すぐさまアコロンの懐に飛び込み、彼の持っていた鞘を引き抜いて遠くに投げました。

鞘の力を失ったアコロンを組み伏せ、アーサー王は渾身の力を込めてエクスカリバーを振り下ろします。

その刃は兜をも切り裂き、アコロンの頭を切りつけました。アコロンに致命傷を負わせ、アーサー王はなんとか勝利を手にします。

しかし、戦いを終えて言葉を交わしたとき、相手がアコロンであったこと、ふたりの戦いがモーガンによって仕組まれたことが判明し、王は深く落胆します。

かくして代理人同士の決闘は幕を閉じ、アーサー王は争いのもととなったダーマスを折れさせる形でオンズレイクとの仲を和解させ、オンズレイクを王宮に迎え入れるのでした。

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ともに深い傷を負ったアーサー王とアコロンでしたが、アコロンは傷が癒えず、そのまま帰らぬ人となってしまいます。

アーサー王は部下に命じ、アコロンの遺骸をモーガンのもとに送らせ、自分がエクスカリバーを取り戻したこと、そしていつか必ずモーガンに今回の罪を償わせると誓ったことを伝えさせたのでした。

湖底に沈む鞘

アコロンの死を深く悲しんだモーガンは、みずからの手でアーサー王の命を奪うべく、アーサー王が傷を癒すために休んでいる教会へと赴きます。

王を導いたエクスカリバーでその命を絶とうとしたモーガンでしたが、アーサー王は抜身のエクスカリバーを手にしたまま眠っており、とても剣を奪うことはできそうにありません。

仕方なしに、モーガンはそばに置かれていたエクスカリバーの鞘を奪い、逃走します。

その後、目を覚ましたアーサー王はモーガンを追跡し、彼女を捕らえるまであとわずかというところまで迫りました。

しかし、モーガンは近くの湖の深いところに鞘を投げ、鞘はその重みによって湖の底へと沈んでしまいます。

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さらに、モーガンは魔法によって自分の姿を石に変え、追っ手をやり過ごしてしまったのです。

けっきょく、アーサー王はエクスカリバーの鞘を取り戻すことはできませんでした。

これにより、のちに騎士・モードレッドがアーサー王を裏切ったカムランの戦いにて、鞘の加護を失ったアーサー王はモードレッドとの一騎打ちで致命傷を負い、その姿を消すこととなるのです。

~ END ~

次回は騎士と呪いのお話!

ってことで、今回はアーサー王の冒険譚でございました!

エクスカリバーのチートぶりもさることながら、剣が折れても退かない王様も格好いい……。

さて次回、ま~たまた『アーサー王物語』から、今度はちとマイナーな騎士のお話をば!

不思議な挑戦に挑んだり呪いをかけられたりと、短いながらにたいへんな目に遭った騎士のお話、乞うご期待!

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