雷神・“トール”、島上決闘で石の巨人との戦いに挑むの巻【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第23回】

2020-03-25 12:00 投稿

シンデレラに輝いたのは~!?

3月24日! シンデレラ・トーナメント、開催!!

16名のなかから最大で4度の試合に勝ちぬいた者がシンデレラとなり、ベルト挑戦などの発言権を得るワンデートーナメントですよ!

その! 結果が!! まだわかってないんですよ!

なぜなら! 締切を守ってるから!! 守ってるから!!

編集U「いやそんなドヤ顔で当たり前のことを言われてもな……」

アタクシの予想と希望は何があろうと岩谷麻優の優勝でございますが、果たして!

ってことで今週も始まりましたよ、“元ネタの世界”!

まぁ~たまた北欧神話の雷神・トールさんのお話ですよ!

今回は珍しくロキではなくオーディンが面倒ごとを運びこんできて……?

【目次】
・神と巨人の競走
・石の巨人との島上決闘
・雷神の泣きどころ
・次回はUSOのお話!

神と巨人の競走

ある日、トールがトロルたちを相手に戦っていたころ、オーディンは愛馬・スレイプニルに乗って巨人の国へと出かけました。

20200323_トール石巨人 (2)
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ちなみにこのスレイプニル、とある巨人の持っていた馬と馬に化けたロキとのあいだにできた子どもでして!

編集U「もうカオス」

生まれも奇妙ですが、なんと8本の脚を持つというブッ飛んだ馬だったりしますね!

北欧神話の世界では最高の馬とされ、天地を翔ける速さも一級品だったそうな!

オーディンがスレイプニルに乗って空を翔けていると、石の巨人・フルングニルがその姿を見つけて言います。

「やぁ、誰だあれは。頭にピカピカ光る金の兜をかぶって、大海の上を翔けてくる。あの馬はじつに速いな」

20200323_トール石巨人 (4)

編集U「お~っと2週間前に色違いで見た気がするやつゥ~」

資源の有効活用ってことでね!

▼色違いの巨人はコチラ

するとオーディンはフルングニルの近くに降り立ち、得意げに言いました。

「そなたら巨人族が住むこのヨトゥン・ヘイム中を探しても、わしのスレイプニルに敵う馬はおるまい」

20200323_トール石巨人 (5)

ドヤ顔を見せるだけ見せてアースガルズに戻っていくオーディンに対し、みずからの愛馬に飛び乗りながらフルングニルは吠えます。

「確かにあんたの馬は速いが、わしのグッルファクシ(黄金のたてがみ)のほうがスピードは上よ」

こうしてオーディンを追って駆け出したフルングニルですが、グッルファクシをどれほど急がせても、オーディンには追いつけません。

夢中で馬を飛ばしていたフルングニルは、いつのまにかアースガルズの門を越え、アース神族の領域に入っていました。

編集U「いや巨人族が神の国に入って来ちゃっていいのか……?」

本来なら門番たるヘイムダルが止めそうなものなんですけどね!

なんかオーディンが帰ってきたときに降りてた跳ね橋をそのまま渡っちゃったそうな!

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編集U「ヨシじゃないが」

なんだかんだで入国しちゃった訳ですが、追い返すのも無粋ということなのか、神々はフルングニルに酒を振舞って彼をもてなしたのでした!

が、そこに巨人キラーがお帰りになりまして……?

酒に酔ったフルングニルは、「アースガルズにある酒は全部わしが飲んでやる、神々なんぞにやるものか」と強気な言葉を吐くようになり、神々も呆れていました。

そこに、トロルたちとの戦いから戻ったトールが現れます。

20200323_トール石巨人 (1)

巨人がアース神族の国・アースガルズで酔っ払っている、これはいったい何事か、とトールは怒りをあらわにし、いまにもフルングニルを叩き殺しそうな勢いです。

これに焦ったフルングニルは、丸腰の相手を殺しなどしたら恥が残るだろうと、ひとつの提案をしました。

「あんたがどうしても勇気のあるところを見せたいのなら、わしと島上決闘をやるつもりはないか」

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編集U「だからお前パロは止めろと……、というかこれ元ネタ何だ?」

なんとなく『ジョジョ』っぽくしたかっただけで元ネタなんぞない!!

編集U「ねぇのかよ!!!」

※島上決戦の内容は原典通りです。

トールがこの挑戦を受けると、フルングニルはいったんヨトゥン・ヘイムへと帰っていきました。

トールがアースガルズきっての実力者であるのと同じく、フルングニルは巨人たちのなかでも指折りの強豪です。

ふたりの一騎打ちはその後の神々と巨人との戦いを左右しかねないものでもあり、両陣営からの注目が集まる戦いとなったのでした。

石の巨人との島上決闘

巨人たちは、一騎打ちに挑むフルングニルのために、決闘を行う島の土をこね、背丈は9マイル(約14.5メートル)、肩幅3マイル(約4.8メートル)もの巨大な巨人像を作り上げました。

“霧を渡り歩く者”という意味のモックル・カールヴィという名を与えられた巨人像は、フルングニルとともにトールを待ち構えます。

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編集U「絶対弱い」

そこへやって来たのは、トール……、ではなく彼の従者であるシャールヴィでした。

彼は間もなくトールがやって来ることを告げ、盾を構えていたフルングニルに言葉を投げかけます。

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編集U「そんなモグラみたいなファイトスタイルだったか……?」

この後トールが登場するんですが、結果から言うとこれはブラフ、つまりはハッタリでしたね!

しかしフルングニルはシャールヴィの言葉を受けて盾を地面に置き、その上に立ってスタンバるのでした!

編集U「盾を封じるなんてコスい……!」

やがて島の周囲に雷鳴が轟き、トールが現れます。

迫りくる雷神の姿を見て、モックル・カールヴィはガタガタと震えだしてしまいました。

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編集U「メンタルからして弱ェ……」

しかしフルングニルはビビらず、挑戦を受けた側が先攻という島上決闘のルールを無視し、先制攻撃を仕掛けます!

フルングニルはトールを見るや、肩に担いでいた石器を投げつけました。

これと同時にトールもミョルニルを放ち、両者の武器が空中で衝突すると、石器はミョルニルによって粉々に砕かれてしまいます。

ミョルニルはそのままフルングニルの脳天を粉砕し、その命を奪いましたが、砕けた石器の巨大な破片はトールの眉間に刺さり、さすがのトールも倒れてしまいます。

命こそ落とさなかったトールでしたが、その首に崩れ落ちたフルングニルの脚が乗ってしまい、立ち上がれなくなってしまいました。

シャールヴィはすさまじい突進でモックル・カールヴィを粉々に吹き飛ばすと、そのままトールのもとへ駆け寄りますが、フルングニルの脚を持ち上げることはできません。

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編集U「ゴーレムくんザコすぎでは?」

正直何のために登場したのかわからんまでありますね……!

さて、シャールヴィはアースガルズの神々に助けを求めますが、誰が持ち上げようとしても巨人の脚をどかすことはできませんでした。

しかしそこに、トールの子、とは言えまだまだ生まれたばかりの赤子であるマグニがやってきます。

すると、マグニはこともなげにフルングニルの脚を持ち上げ、トールを救出してみせたのです。

こうしてトールは決闘に勝利し、マグニのおかげで無事に帰ることができたのでした。

~ 完 ~

なお、トールは自分を助けてくれた褒美として、マグニにフルングニルの馬だったグッルファクシをプレゼント!

これを見たオーディンは、「いや、親であるわしにくれたほうがよくない?」と若干ご機嫌ナナメだったそうですよ!

編集U「そもそも巨人連れてきちゃった奴が何言ってんだ……?」

雷神の泣きどころ

ちなみにですが、エピローグというかその後のエピソードとしてこんな話も!

決闘に勝利したトールでしたが、眉間に刺さったフルングニルの石器の欠片はいまだ取れず、文字通り頭痛の種となっていました。

しばらくはそのまま生活し、シャールヴィの父親・アウルヴァンディルが巨人たちに襲われたときにも、眉間を痛めたまま戦い、彼を助け出します。

その後、アウルヴァンディルの妻・グローアがトールの傷を癒せるということで、彼女は呪文を唱えて石器の破片を取り除こうとしました。

しかし治療の最中に、そう言えばとトールが彼女の夫を助けたことを伝えると、その報せに喜んだグローアはうれしさのあまり、呪文をどこまで唱えたか忘れてしまいます

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結果、トールの眉間に刺さった石器の欠片は取れることがありませんでした。

この逸話を受け、トールの住居に石器を投げてはならない、石器がトールの眉間に当たったなら、その痛みから雷神が復讐に来るであろう、という言い伝えがうまれたそうな。

という!

編集U「まぁ治療中に余計な話をしたトールが悪いな……」

HAHAHA! ほんそれ!

あんまり見かけた覚えはないですけど、ゲームとかに登場するトールの額に何かが刺さっていたら、このエピソードが元になっているかもですね~!

次回はUSOのお話!

ってことで、今回もトールさんのお話でございましたよ!

いや~、せっかくなんで3月は北欧神話月間にしちゃおうと思ったんですけどね!

ちょうどトールさんのエピソードが4つもあってよかったですよ~! ピッタリピッタリ!

んで来週ですけどもね! 月が変わって4月1日!

そう、エイプリルなフールですよ!

ってことで次回はウソにまつわる神話だ何だをご紹介!

はァ~しかしシンデレラがどうなっているのか! そればかりが気になりますね!

しかし先のことを案じても仕方がないので!

アタシャ!!

『プリンセスクラウン』をプレイしますよ!!

初代PSのソフトですがこォーれがおもしろい!(『十三機兵防衛圏』の初回特典に付いてきた)

したばら皆さんもいい感じのゲームライフや観戦ライフを! また次回ッ!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

マッケンジー,A,ドナルド(1997)『北欧のロマン ゲルマン神話』(東浦義雄・竹村恵都子訳) 大修館書店
ラーニシュ,ヴィルヘルム(2014)『図説 北欧神話の世界』(吉田孝夫訳) 八坂書房.

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