円卓最強・湖の騎士、その名はランスロット【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第2回】

2019-10-16 12:00 投稿

ランスロットってもロボじゃないですよ

フンフフン~~♪♪♪

いやぁ、本日キングレコードから発売された女子プロレス団体・スターダムの入場曲集を聞くと、いつでも観戦気分になれますよねぇ~! どうも、しゃれこうべ村田です!

編集U「のっけから関係ねぇ宣伝すんな!!!」

本当はジャケ写を載せたかったのを、グッとこらえたんですよ……!

さておきまして、先週に続いて始まりました、しゃれこうべが語る元ネタの世界!

今回語りますは~、アーサー王に仕えた円卓の騎士たちのなかでも最強と謳われた男! “湖の騎士”の異名を持つ騎士・ランスロットでございます!

ってことで、ちゃきちゃき本編にレッツゴー!!

【目次】

・ブルターニュ生まれ湖育ち、悪そうな奴はだいたいワンパン
・シャロットの乙女:出会い編
・シャロットの乙女:お別れ編
・おまけ:ランスロットの身にも女難
・次回は太陽の騎士!

ブルターニュ生まれ湖育ち、悪そうな奴はだいたいワンパン

円卓の騎士を代表する騎士・ランスロット!

まずは簡単なプロフィールをご紹介いたしましょう!

剣や槍を取れば負けることを知らず、優秀な騎士たちが集った円卓のなかでも最高と謳われた騎士。

並大抵の騎士であれば剣のひと振りで複数人が倒され、彼以外の円卓メンバーを打倒した騎士をも死闘の末に打ち倒す、まさに最強の男。おまけにイケメン紳士。

20191015_ランスロット (14)

と、強さも美貌もカリスマも兼ね備えたパーフェクト超人でございますね!

編集U「アーサー王より主人公っぽい気がしないでもない」

ぶっちゃけ、物語的にはアーサー王よりランスロットにまつわるもののほうが多いんじゃないか感ありますね!

さてさて、そんな彼はフランスのブルターニュを治めていた、アーサー王の同盟相手でもあるバン王の息子として生を受けました!

ランスロットの誕生からしばらくしてバン王の城は敵に攻め落とされ、幼いランスロットは母親とともに逃げ延びることに!

しかし、逃げ延びた先の湖でランスロットは異界の住人に誘拐されてしまいます!

編集U「湖で異界の住人ってーと、アレか」

いかにも! 先週のアーサー王の話でも出てきた、湖の乙女ですね!

ランスロットをさらった乙女がエクスカリバーを授けた乙女と同一人物か、そこは議論が分かれる場所ではありますが!

本コラムで画像をお借りしている『乖離性ミリオンアーサー』(以下、『乖離性MA』)ですと、ランスロットを誘拐した湖の乙女は“異界の女王”となっており、エクスカリバーの乙女(ニムエ)とは別人説が採用されていますね!

20191015_ランスロット (15)

湖にて誘拐されたランスロットは、そのまま湖の乙女に養育されることに!

これがのちに、彼が“湖の騎士”として名をはせる由来ってわけですね!

ちなみに、彼の従弟であり、同様に円卓の騎士となるライオネルボールスといった騎士も、じつは同じく湖の乙女に育てられたとか!

編集U「じゃあライオネルとかも湖の騎士になるんじゃ?」

いや、とくにそういう話は聞いたことないですね。

編集U「なんでや……!」

さておき、ランスロットが18歳になると、湖の乙女は彼をアーサー王の宮殿へと送り、そこからランスロットの騎士としての人生が幕を開けます!

彼の気高さや美貌は宮殿の人々を魅了し、あまつさえアーサー王の妻であるグィネヴィア王妃すらも魅了してしまったってんだからさぁたいへん!

20191015_ランスロット (1)

編集U「お、出たなすべての元凶」

言いかたッ!!

グィネヴィアはアーサーが王となって間もなく、彼の即位に反対する勢力との戦いのなか救出された乙女!

説によっては、魔法使い・マーリンが「最高の騎士と不義を働き、王国崩壊のきっかけとなる女性である」と予言し、彼女との結婚に反対していたりします!

そんなマーリンの予言通り、グィネヴィアは出会った瞬間からランスロットに恋焦がれ、またランスロットも彼女に惹かれてしまうので、あ~ります!

20191015_ランスロット (2)

編集U「仕方なくないが」

ま、まぁ中世のロマンスですしね!
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~、ってことですよ!

編集U「よろしい、ならば撲殺だ」

……は、話を戻しまして! そんな円卓最大級のやらかしをかましてしまうランスロットですが!

最強、あるいは最高の騎士と言われるだけあって、その後は数多くの冒険にて大活躍!

そして冒険の合間合間で乙女たちが彼に惚れては失恋し、失意のままに命を落とすことも数知れず!

編集U「文字通りの意味で乙女キラー……!」

いわくも栄光も多いランスロットのエピソードから、今回は彼に恋焦がれた乙女、“シャロットの乙女”のお話をご紹介!

シャロットの乙女:出会い編

昔々のとあるとき、アーサー王はウィンチェスターの地で盛大なトーナメントを開催することにします。

己の実力を示さんと騎士たちが立ち上がるなか、ランスロットはアーサー王に言いました。

「体調が優れませんので、私は出場を辞退させていただきます」

編集U「え、出ないの」

と、思うじゃないです~?

そうは言ったランスロットでしたが、じつは変装して出場し、ほかの騎士を驚かせてやろうと考えていたのです。

ボロをまとって変装したランスロット。見た目はボロボロですが、出かける際に馬が偶然つまづいても、持ち前の身体能力で綺麗に着地してみせます。

20191015_ランスロット (3)

その様子をたまたま見かけたアーサー王は、その男が変装したランスロットであることに気づきます。しかし、これはこれでおもしろかろう、と敢えて黙っておきました。

そんなこんなで宮殿を出たランスロットは、夕方ごろにシャロットの城に立ち寄ります。城の人々は彼の正体に気づかず、旅の騎士として彼のことをもてなしてくれました。

城主には非常に美しい娘と、騎士になったばかりのふたり息子がいましたが、息子のひとりが体調を崩し、トーナメントには参戦できないというのです。

編集U「お、そりゃ都合がいいな」

そして、ここで出てきた娘さんこそがシャロットの乙女!

『乖離性MA』ではアストラトエレインの名で登場していますね! “アストラト”はどうやら地名を示す言葉、っぽい!

20191015_ランスロット (4)

「貴方さえよければ、私がご子息の代わりに出場いたしましょう」

夕食の席でそう申し出たランスロットに、その正体を知らずとも彼が相当の実力者であると見てとった城主は、喜んでこれを承諾します。

男たちが会話を進めるなか、ひと目見たときからランスロットに心を奪われていた乙女は、つのる思いのこもった目で彼のことを見つめていました。

隠そうともしない態度からランスロットは彼女の想いを察します。しかし、彼はあくまでグィネヴィアひと筋

夕食の後、ランスロットは城主の息子に頼み、このような言葉を彼女に伝えてもらいました。

「私には愛する人がおりますゆえ、貴女の想いに応えることはできません。

しかし、今度のトーナメントに貴女の騎士として出場することができれば、それは自分にとって誇りであり、また喜びでもあるのです」

20191015_ランスロット (5)r

編集U「そういうとこやぞランスロット」

ランスロットはどうしてそんな思わせぶりなことを言ったのか!

これはトーナメントに出る際の変装に絡んでくる話でして!

グィネヴィアにぞっこんラヴなランスロットは、彼女以外の女性からもらった贈り物を身に着けて戦うことはしませんでした!

ゆえに、シャロットの乙女から贈り物をもらえば、ランスロットでないというアピールができる、ってな寸法ですね!

編集U「う~ん、この外道」

乙女は自分の愛が成就しないことを悲しみつつも、自分のために戦ってくれるという言葉に喜び、ランスロットにスカーフを贈りました。

彼はそのスカーフを兜に結び、トーナメントが開催される地へと向かいます。

シャロットの乙女:お別れ編

さて、トーナメントはアーサー王陣営とガレホート王陣営とに分かれて行われました。

変装したランスロットはガレホート王陣営につき、ガウェインやボールス、ライオネルなど、円卓の騎士たちをつぎつぎに撃破していったのです。

編集U「円卓の騎士(笑)」

ランスロットが強すぎるだけですから!!

しかし、アーサー王陣営も一方的にやられるだけではありません。

何人かの騎士がランスロットの前に倒れた後、ランスロットの異母弟であり、やはり円卓の騎士であるエクターが勝負に挑みました。

20191015_ランスロット (6)

※“ドマリス”は“ド・マリス”でマリス出身の、という意。

馬上で槍を構え、激しくぶつかる両者。エクターの槍はランスロットの頭を捉え、兜越しにランスロットに血を流させました。

しかし、同時にランスロットの槍もエクターに痛烈な一撃を加えており、エクターはそのまま気絶してしまいます。

編集U「結局負けんのかーい!」

ま、まぁ一矢報いただけでも御の字ということで……!

その後もランスロットは勝利を重ね、その輝かしい戦績に新たな栄光を刻んだのでした。

戦いを終えたランスロットと城主の息子はシャロットの城に戻り、ランスロットはエクターの手によって受けた傷を癒すことにします。

乙女の献身的な看護のおかげもあり、傷はそう長くかからないうちに回復しました。

20191015_ランスロット (7)

そうこうするうちに、戦いを終えてアーサー王の宮殿へと帰っていたエクターたちがシャロットの城の近くを訪れ、城にいるランスロットと再会します。

しばし談笑し、そろそろ宮殿に帰ろうとするランスロットたち。腰を上げたランスロットに乙女は涙ながらに懇願し、どうかこの城で自分といっしょにいてほしいと頼みます。

しかしランスロットがその願いを聞き入れることはなく、彼はあっさり宮殿へと帰ってしまいました。

その後、ランスロットのことを忘れられない乙女は、恋焦がれるあまり日に日に弱っていきます。

衰弱の果てにみずからの死を察した乙女は、その身を小舟に横たえ、川の流れに身を任せると、静かに息を引き取りました

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編集U「Oh…Nice Boat…」

数日後、小舟はアーサー王の宮殿に流れ着き、彼女の亡骸と手紙が発見されます。

手紙には、死してなおランスロットを愛する乙女の想いがつづられていました。

「湖の騎士・ランスロット様は、騎士のなかでもっとも完成されたお方であり、殿方のなかでもっとも美しいお方でございます。けれどまた同時に、もっとも残酷で、頑ななお方でもございました。

あの方の酷いお仕打ちゆえに、この哀れな乙女は死んでゆきます。しかし、わたくしの愛は、あの方の残酷さに劣らぬほど不屈のものでございます」

編集U「これがデスデレか……!」

嫌すぎるでしょその新ジャンルは!!

アーサー王は悲恋のもとに散った彼女を哀れみ、城主の娘という身分にふさわしい形で弔ってあげました。

その後、彼女の愛の物語は宮中の者たちに語られ、その悲しみに涙を流さない人はいなかったと言います。

~ Fin ~

編集U「話を聞かされてるときのランスロットがすごい気まずそう」

自分への失恋で気を病んで死んだ女性の話が広まるってのは、ちょっとした公開処刑ですね……!

編集U「冷静に考えると、一方的に惚れていきなり亡骸と遺書を送ってくる乙女もなかなかだが」

……こ、恋は盲目ってことでね!!

おまけ:ランスロットの身にも女難

ってな悲恋がちょいちょいあるなか、逆にランスロットが泣きを見るパターンもあったりします!

ランスロットは最高の騎士の名を受け継ぐことになるガラハッドの父となるのですが、このガラハッドの誕生経緯もなかなか!

すでに尺がまぁまぁなのでかいつまんで紹介しますと、こんな感じ!

とあるところのエレインというお嬢さんがランスロットに惚れ込みましたが、やはりランスロットはグィネヴィアひと筋。

困っていると、エレインの従者であるブリーセンがとっておきの“恋のおまじない”を披露します。

そのおまじないとは……。

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編集U「すごい既視感が」

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編集U「お前ェもだよ!!!」

※ウーサーの所業については前回を参照!

ってなことで、上手いことランスロットを騙した結果、のちに最高の騎士となるガラハッドさんが生まれた、と!

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※『乖離性MA』だと女体化されていますが、元ネタは男です。

編集U「アーサー王といい、ロクな誕生エピソードがねぇな……!」

英雄に特殊な生まれはつきものですから……!

ちなみに騙されたことが発覚したランスロット、このせいでグィネヴィアに嫌われた結果、発狂してしばらく森の民と化しております!

編集U「ショックでかすぎんだろ!!」

※のちに救済されて正気に戻ります。

次回は太陽の騎士!!

さて、今回はランスロットのお話でございましたよ!

ここで紹介した以外にも、ランスロットの冒険をつづった物語は数知れず!

本コラムの末尾にしれっと参考文献も掲載しているので、まともな活躍が読みたい方はそちらも併せてドゾドゾ!

そんなこんなで次回のコラムでございますが、ランスロットと並ぶ円卓の騎士を代表する騎士と言えば、(だいぶ諸説あるでしょうが)やはりガウェイン!

次回はこちらをご紹介していきまっしょい!

20191015_ランスロット (13)

ランスロットの強さを引き立てるかませ犬的なポジションにされることも多い印象ですが、彼もユニークな冒険の数々に挑んでいるんですよ!

……ところで、ここからコラムにまったく関係ない話になるんですけど~。3度の飯よりプロレスが好きなアタクシ、趣味でお絵かきなんかもしたりするんですがね!

先日、10月14日に冒頭でもちらっと触れた女子プロ団体・スターダムさんにて、アタクシの描いたイラストが刀羅(とうら)ナツコ選手のTシャツとして発売されちゃったんですよ~!

喜びィーッ!!

編集U「マジで関係ねぇ話だなオイ!!!」

画像貼ろうとしたら編集(物理)されたので、宣伝ツイートで見てみてみそ! ツイートペター

編集U「オイゴルァァ!!!」

HAHAHA! 画像は貼ってない! 画像は貼ってないですよ!!

ってなことで、今週はここまで! また会う日まで、出会うときまで!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

ブルフィンチ,トマス(1994)『アーサー王物語』(大久保博訳) 角川文庫.
マロリー,トマス(2006)『アーサー王物語』(井村君江訳)(第4巻) 筑摩書房.

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