ゲームエンジンUnityの開発者向けカンファレンス“Unite Tokyo 2018”の基調講演にVTuberキズナアイ登場!Unityが語るITの未来とは……?
2018-05-07 22:30 投稿
Unityが見せてくれる未来とは?
2018年5月7~9日にかけて、ゲームエンジンUnityに関する開発者向けカンファレンス“Unite Tokyo 2018”が開催されている。その初日である5月7日には基調講演が行われた。
基調講演では、Unityの新バージョン2018.1の紹介をメインに、ユニティが目指しているところ、現在行っている研究などが語られた。
また、基調講演の冒頭ではバーチャルユーチューバー、キズナアイが登場。自身もYouTubeに動画を編集してアップロードしていることから、会場に集まっている人たちと同じ“いちクリエイターである”という話のほか、過去にUnityのアセットストアで友だちを買った経験があることなどが語られ、会場を大いに賑わせていた。
ここでは、そんな基調講演の内容をかんたんにまとめて紹介していく。
なお、“Unite Tokyo”に関しては今後いくつかの講演をテーマごとにまとめてリポート記事をアップする予定。気になる人はそちらもチェックしてほしい。
クリエイターに寄り添うUnity
まず基調講演で語られたのは、ユニティが掲げる信念について。曰く、ユニティは“開発を民主化し、難しい問題を解決し、クリエイターの成功を支援すること”を信念として掲げ、ツールとしてのUnityの開発を行っているという。
これに関してリージョナルディレクターの大前広樹氏は「私たちは“この世界にもっとクリエイターがいたほうが、世界はよくなる”という考えでいます」と語る。
続けて大前氏は「しかし、クリエイター(開発者)が開発者で居続けるということは非常に難しいことです。クリエイターがひとつのコンテンツを作るのに必要な時間、労力、熱意は膨大なものであり、それは時代が変わっても減ることがないものですから」とし、だからこそUnityはクリエイターのサポートに全力をかけているのだと語ってくれた。
なお、このような考えのもとクリエイターに寄り添い続けた開発をしてきたためか、Unityによるソフトウェア開発は多くの成功から多くの雇用を生んでおり、Unity開発者という職種は、アメリカで7番目に成長している職種であるとして取り上げられているという。
それを示すように、2017年の1年間だけで、Unityのプロライセンスは所持ユーザーは1.5倍にも膨れ上がっているそうだ。
そして、いまやVR、ARコンテンツの開発においてはUnity開発者の独壇場であり、また同時にスマホ向けゲーム開発においてもUnity開発者が牽引しているという事実が具体的な数値ととも示され、その影響力の強さをはっきりと示してくれた。
Unity 2018.1の機能を簡単に紹介
続いて行われたのは、Unity新バージョンの機能紹介について。こちらについては専門的な要素が多分に入ってくるため、詳細を省いて簡潔にどのような機能が追加されるのかだけまとめていこう。
ひとつめは、プロビルダー。こちらは3Dモデリングツールとレベルデザインツールを兼ね備えたハイブリッドなツール。シンプルな構造体を作ることはもちろん、細かな編集も出来るようになっているという。
さらにプロビルダーには外部ツールへの出力や外部ツールからの入力にも対応しており、講演内ではアニメ制作、モデリング制作に使われるソフト“Maya”とUnity間で手早くデータのインポート、エクスポートを行い、それぞれのソフトを使って開発を進めるデモンストレーションが行われた。
ふたつめは、シェーダーグラフ機能。こちらは多くの開発者から切望されていた機能。かんたんに説明すると、Unity内でカスタムシェーダーのエフェクトをプレビューしながら、視覚的に操作できるUIで手軽に調整できるという機能となる。
通常ならばシェーダーの変更には何百ものコードを変えて調整していく必要があるとのことだが、このツールを使えばそういった手間がなくなるそうだ。
3つ目の機能は、省サイズ化および高速化されたコアランタイム。こちらもかんたんに説明すると、コンピュータ上でプログラムを実行させる中核となるものが、驚くほど小さくなり、また驚くほど早く動作するようになるという。
なんとそのサイズ72KB。これはUnityのロゴマークの、画像ファイルよりも小さいサイズである。これほどのサイズを実現した背景には、徹底した最適化があり、それにより動作も非常に軽快なものになったそうだ。
なお会場では、ゲームをプレイさせるタイプの広告をこのコアランタイムで動作させるデモが行われた。デモでは、Googleのトップページを表示する時間と大差ない時間で、広告を読み込み終わり、ゲームプレイをしている様子が確認できた。
4つ目は、CADデータインポートソフトウェアである“PiXYZ”とのパートナーシップが確立されたことにより実現した、UnityデータとCADデータの互換性。
これは、近年Unityがゲーム開発のみならず、自動車業界、建築業界、宇宙航空事業などにも用いられていることから実現したもので、すでに高級車メーカー“アウディ”などで利用されているという。
このほかにも、手軽にCPUのコアにワークフローを割り振り、ソフトのパフォーマンスを上げる機能や、データの保存の仕方を改善することでパフォーマンスを向上させる機能などが実装されるという。
これらの機能を兼ね備えたUnity 2018.1は、本日よりプレビュー版として日本語化向けリソースが公開されるという。気になる人はチェックしてみるといいだろう。
Unityが見ている未来とは?
続いて行われたのは、今後ゲーム業界、およびゲーム開発の世界、そしてそれらと親和性の深いITがどのように進化していくのかを研究しているUnity Labsの研究成果報告。
Unity Labsによる未来予測では、近い将来“創る”、“遊ぶ”概念が曖昧になり、それらはひとつにまとまり、オーサリング(さまざまな要素を組み合わせてひとつのコンテンツを作り上げる行為)は、クリエイターの意図により発生していくという。
また、クリエイターはディープラーニング駆動型のコンテンツオーサリングを使ったマシンと会話をすることでコンテンツを生み出していくことになるという予測もしているようだ。
そして、“創る”と“遊ぶ”の境界線が取り払われ、なおかつコンテンツ制作がマシンとの会話によって成り立ち始めることによって、誰もが作り、学び、遊べる未来が訪れるという。
そしてUnity Labsはそういった未来を実現するべく、内部でさまざまな研究や産学連携をしつつ、未来に向けて歩みを進めているとのこと。
Unity Labsは今後も“より簡単に、より良くなるか?”、“より多くのストーリーテラー/開発者に力を与えられるか?”、“Unityとコミュニティにいい影響を与えるか?”という理念に基づいて、さまざまな研究を行っていくということも語られている。
VR世界に入り込んでVRゲームを作る
最後に発表されたのは、Unity Labsの研究により生まれた新たなプロジェクト“Carte Blanche”。
こちらは、いかに簡単に小さくものが作れるかという考えをベースに進められているもので、シンプルに説明すると、クリエイターがVR世界に入り、そこでプログラミングではなく、手でオブジェクトをいじってVRゲームのゲームレベル制作ができるツール、およびその制作プロジェクトである。
デモでは、VRキットを装着した講演者が、ステージを作り、オブジェクトや敵、アイテム、キャラクターを配置してフレキシブルにレベル設計がなされている様子が確認された。これは、ある種のマンマシンインターフェースと言えよう。
ちなみに、このツールは2018年10月に公開予定だという。気になる人はUnite Tokyo 2018の公式ホームページに、翻訳付きの基調講演動画がアーカイブされているので、そちらを確認してみるといいだろう。
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