『ガルパ』『みんゴル』オンラインプレイ実現の立役者!ネットワークエンジンPhoton【CEDEC 2017】

2017-08-31 13:54 投稿

いま、ネットワークエンジンPhotonがスゴイ!

日本中のゲーム開発者が集うゲーム開発者向けカンファレンスCEDEC 2017。その初日に行われた“『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』、『みんゴル』でのPhoton採用実例と最新情報”。

こちらの講演タイトルにもある人気ゲーム2作では、オンラインマルチプレイングを実現するにあたり、ネットワークエンジンPhotonが採用されている。

では、どのような経緯でPhotonを使った企画が進行し、開発が行われたのか? 本講演ではそのポイントが登壇者各位から語られた。

なお、登壇者はCraft・Eggより江口栄俊氏、近藤裕一郎氏、ドリコムより福市誠氏、桂田卓也氏の4名。司会進行は、Photonの国内サポートを行っているGMOクラウドの並木健太郎氏が務めた。

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▲写真左より、株式会社Craft・Egg 近藤裕一郎氏、江口栄俊氏
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▲写真左より、株式会社ドリコム桂田卓也氏、福市誠氏
講演のポイント
●Photon導入ハードルの低さと安定したサービス
●信頼と安心のサポートにより重ねられた実績

Photonによって実現した『ガルパ』オンライン要素

Photonとはネットワークエンジン、クライアント間の通信をサポートするもので、サーバー、クライアント両サイドで稼働するエンジンだ。

サーバー経由で稼働するため接続性が高く、独自技術により低レイテンシーを確保。さらにクロスプラットフォームにも対応し、Unityアセットにも含まれていることから、使用におけるハードルが低めで、開発者からの注目度も高い。

そんなPhotonの使用例としてまず取り上げられたのが『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』『ガルパ』)の企画について。『ガルパ』は、Craft・Eggが開発し、ブシロードよりリリースされているリズムゲーム。Photonを使ったネットワーク接続を利用しており、それを活用した最大5人での協力プレイが特徴的だ。

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1i【新作】『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』期待のリズムゲームが配信開始

Craft・Eggによると、『ガルパ』プレイヤーのほとんどが協力プレイを行っているという。これは、“ひとりで遊ぶもの”というリズムゲームにおける強い概念を覆した、ある意味での快挙だろう。

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そんな功績を残している『ガルパ』のオンライン協力プレイは、なぜここまで受け入れられたのだろう?

その背景には、Photon採用によって、オンラインプレイで生まれがちなマイナス面を徹底的に排除できたためだと、近藤氏は語る。

Photonには、その特徴として導入のしやすさが挙げられる。これは、『ガルパ』がプロトタイプを作り始めてからアルファを完成させ、仕様を着地するまで約9ヵ月しか要していないというところからも窺い知れる。

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この手軽さによって作業時間をゲーム開発そのものに費やせたため、初心者から上級者までが楽しめる、リアルタイム協力ライブが完成したというのだ。

また、技術的に見てもPhotonの有用性は高い。『ガルパ』では、ルーム選択とジョイン、オンラインプレイ中のスコアやスキル発動などをPhotonを使って同期させている。

通常、ネットワークシステムを作り上げるうえでたいへんなのは、ルームに5人揃えてラグなくスタートさせるという点にある。

だが『ガルパ』では、5人揃った瞬間にプレイヤーがルームから退出してしまったり、なんらかの原因によりアプリが落ちてしまっても、Photonのサポートによりきちんとマッチングされるようになっている。

そしてやはりPhoton導入のハードルの低さは、特筆すべきものだったようで「サーバー側の作業が不要で、さらにクライアント側のSDKが用意されており、組み込みが非常に楽。サポートもしっかりしているので、これといったトラブルもなく、すんなり導入できた」と江口氏は振り返っていた。

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▲自社基盤をPhoton Cloudに置き換えられるので、開発期間の短縮には最適。

また、運営中でもPhotonを導入してよかったと思える点があったそう。それは、CCUバーストという機能について。これは、サーバーへの同時接続者数が契約内容より多くなっても、一時的に同時接続者数の上限を解放し、問題なく接続できるようにするというサービス。

このサービスによって、サービス開始直後に起こった大多数による一斉アクセスも、ユーザーに迷惑をかけずに運営が進められたそうだ。これはユーザーから見ても有益なシステムと言えるだろう。

“実績の多さ=信頼性の高さ”を実感

続いて語られたのが、同じくPhotonの『みんゴル』での使用例。

『みんゴル』はドリコムによって開発され、フォワードワークスより展開されているゴルフゲーム。人気シリーズ『みんなのゴルフ』の初のスマホタイトルであり、オンライン対戦の要素も含まれているタイトルだ。

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Photon採用の理由は、実績が多数あることが決め手とのこと。いま世界中で着実に利用サンプルが増えており、こういった数字はやはり、何事にも変えがたい信頼性に繋がるのだ。

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また同時に、Unityとの相性がよく、同じ言語で開発が可能だったこと、そしてWindowsでもデバッグができた点、サポートが日本語に対応している点もPhoton採用の大きな要因とのこと。

『みんゴル』では、最大8人によるオンライン対戦が実装されているが、ここでPhotonが採用されている。

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オンラインゲーム開発経験の豊富な福市氏は、これまでの経験則から「オンラインゲームの技術要件は、機能要件を満たしつつとにかくシンプルに」という点を重視している。

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通信パラメータの増大や頻繁な通信は、パフォーマンスに大きな影響を与えてしまうことから、この考えは非常にわかりやすい。

では、その考えをベースに、通信はどこまでシンプルになったのだろう? 挙げられた数字を見て驚いたのだが、ルーム中での秒間メッセージ数は通常時で2、最大時でも3。ユーザーあたりの秒間利用帯域は100Byteにまで抑えられていた。これは驚異的な数字と言える。

この数字を実現できた理由は、データの同期パラメータと通信タイミングを可能な限り絞った結果のようだ。『みんゴル』では、じつはショットを打つ前のアドレス時とショットを打ったときにしか通信タイミングを設けていないという。

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スキップ・リプレイ・ランク戦のゴーストを実現するため、入力が同じならば同じ結果を出力できる独自の物理エンジンの開発を行っていた。このため、受信したパラメータの入力から他のユーザーの動向を正確に再現でき、問題が起きにくい環境が整っていた。

逐一同期を行わないこということは、万が一リアルタイムサーバーが落ちても、リアルタイム同期がなされないだけで、対戦が続けられる。

切断が起こってもプレイが阻害されないマルチ環境。ゲーマーならば、その素晴らしさは容易に想像できるだろう。

加えてこれは、技術者としてもメリットの多い仕様であることは間違いない。リアルタイムサーバーがダウンしてもゲームが続行できていれば、再接続のための複雑な復旧処理をしなくて済むのだから。

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また、『みんゴル』チームもPhotonのサービスに感謝の意を示している。リリース当初、接続数が上限に達するのではという懸念をPhotonに伝えたら、すぐに上限を上げてくれたのだという。

講演の最後、『ガルパ』チームも、『みんゴル』チームも、Photonから「つぎにオンライン要素があるゲームを開発するとなったとき、Photon採用をその選択肢の中に入れてくれますか?」という問いに対して「もちろん!」と即答していた。

まだ歴史が浅いPhotonがこれだけの実績を残しているのは、開発者からの絶大な支持があるからなのだろう。ネットワークエンジンを探しているという人は、ぜひ候補に入れてみてはいかがだろうか。

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