着るデバイスe-skinって何?東大発のベンチャー企業が開発したゲームにも応用できるシャツがすごい

2017-07-19 20:46 投稿

着るデバイスe-skinで何ができる?

東大発のベンチャー企業、Xenomaがユーザーの動きを認識するスマートアパレル、e-Skinのメディア向け発表会を行った。

e-skinは、カメラなしでユーザーの動作をキャプチャできるウェアラブルデバイス。これまでは法人用に展開をしていた商品であったが、量産体制が整ったことを理由に個人向け商品としての展開をスタート。その先駆けとしてキックスターターによる出資受付を始めるとのこと。

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本製品の仕様は、ポリウレタン製のシャツに、伸縮を感知するセンサーとセンサーからの信号を処理し、それをBluetoothにてPCやホロレンズに発信する着脱式の機器HUBを取り付けた形。

センサーは左右それぞれに7本ずつ用意されており、腕の曲げ伸ばしはもちろん、肩の動き、体・腕の捻りも感知できるそうだ。なお、腹部にはセンサーが入っていないが、HUBに6軸ジャイロセンサーがあるため、上半身の傾きもしっかり検知できるとのこと。

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伸縮の強弱を読み取れることから、カメラでは捉えきれない筋肉の隆起なども正確に読み取ることができるという点が、e-skin最大の特徴となる。これを利用すれば、スポーツ(ゴルフ、野球など)のフォームチェックや、ヘルスケア、職人技能の習練、ゲームにも応用が利くという。

詳しくは後述するが、本デバイスはゲームに最適化されているデバイスではない。しかし、デモンストレーション用アプリの中にゲームアプリが入っていたことからも、このデバイスがゲーム分野に使えるということは確か。

とくに、ハンドトラッキングなど、コントローラー以外の操作デバイス開発が盛んに行われているVR、ARの分野では、新たな操作デバイスとして活躍してくれる可能性も秘めていると言えるだろう。

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またもうひとつの利点として挙げられるのが、ディープラーニングにより動作検出精度を向上させられるという点。絶対値で動きを測るのではなく、伸縮率の相対値によって動きを検出するため、体格差による検出差異もディープラーニングによって埋められるという。

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そのため、精緻な検出をするには着用者のデータを蓄積していかなければならないが、腕を上げているかどうか、体をひねっているかどうかなどの大まかな動きは、着用直後でも問題なく検出できるそうだ。

発表会でプレゼンを行ってくれたXenoma代表取締役CEOの網盛一郎氏は、本製品について以下のようにコメント。

「e-skinは、ふつうの服としての機能を損なわないように体をモニターできるものをと開発しました。最終的には、本製品を身に着けておくだけで心電や血糖、体温などのバイタルサインをモニターし、体に異常が起こる予兆が察知できるようなものにしていきたいと考えています。また、現時点ではシャツのみの展開となっていますが、パンツの企画も動き始めているので、そちらもご期待いただければ幸いです」

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ちなみに、スポーツのフォームチェックやゲームデバイスとしてはかかせない、手の動き、指の動きを検出するデバイスの開発計画は今のところないとのことで、こちらは「もし、その分野でもe-skinの技術が必要とされるのであれば企画したい」とのこと。

なお、本製品はシャツという仕様上求められる洗濯にももちろん対応。通常の使いかたさえしていれば、水や皮脂によってセンサーが問題を起こすようなことはないという。

e-skinのキックスターターは、日本時間8月2日午前1時より、5万ドルを目標額に開始される。先着100名という制限はあるものの、479ドルでe-skinとHUB、SDKをセットにしたものが購入できるとのこと。

対応している開発環境はWindows、Android(Visual C#、Unity)、Java SDK、Mac OS、iOS、アンリアルエンジン。ホロレンズなどとの連携には、昨今需要が高まっているUWP用SDKが利用できるという。

今回のキックスターターは開発者向けという色が濃くなっているが、新たなユーザー体験ができるデバイスには変わりないので、気になる人はチェックしてみるといいだろう。

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