【TGS2015】ドワンゴ横澤氏が語るゲームプラットフォームの未来

2015-09-17 18:29 投稿

動画プラットフォームの新たな形

TGS2015初日、基調講演第2部で登壇したのは株式会社ドワンゴの取締役CCOにしてニコニコ超会議/闘会議統括プロデューサー、横澤大輔氏。

 
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横澤氏はニコニコ動画での成果と実績を元に、リアルとネットが融合した新時代のゲームプラットフォームについて、これから進むであろう未来への展望について語った。

動画配信とゲームコンテンツ

2007年にサービス提供が始まったニコニコ動画を運営するドワンゴは、同サービスが提供してきた“動画配信プラットフォーム”が、ゲームコンテンツを広く世の中に普及させるために、非常に有効な手段としてとらえている、と横澤氏。株式会社KADOKAWAとの業務提携後、最初にゲームに注力してきたのもそのためだと語る。

 
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続けて横澤氏は、現在のニコニコ動画の状況を報告。登録者数約5000万人、プレミアム会員(有料)は250万人、男女比は約2対1とのこと。これまで配信されてきた約638億の動画のうち、およそ31%がゲーム関連の動画。ライブ配信されるニコニコ生放送では、月間配信数347万のうち、じつに67%がゲーム関連のものだという。

 
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興味深いことにゲーム関連動画や生放送は、ニコニコ動画全体での比率に対して女性ユーザーの割合が高く、しかも実際にゲームを遊び込んでいるヘビーユーザーが多い、と横澤氏は語った。

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UGCの伸び

さらに、ゲーム実況動画のブームは日本から生まれたことと、その隆盛に寄与してきたニコニコ動画の役割についても言及する。

 
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2007年のサービス開始以来、ニコニコ動画ではゲーム実況動画が人気となり、2009年にはその影響力に目を止めたゲームメーカーがプロモーションに活用。2011年には実況動画をアップロードするユーザー、いわゆる生主(なまぬし)が一般人でありながらスターになるという、一種のステップアップへの手段ともなっている事実を挙げる。

 
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ニコニコ動画で、こうしたUGC(User Generated Contents:視聴者生成参加型コンテンツ)が人気な理由は、ゲーム実況動画が決して完璧なものではなく、加えてコミニュケーションツールとしても機能しているためだという。

ゲームメーカーが作る隙のない動画とは異なり、実況動画にはツッコミを入れる余地があるがゆえ、視聴者が動画の内容を補完したり、視聴者同士の会話が生まれるきっかけとなる。

また生主がラジオDJのような役割を担い、視聴者は別のことをしながらでも動画を楽しめる、いわば“ながらコンテンツ”として消費されている現状に、遊ぶだけではなくコミニュケーションを生む手段として用いられる、ゲームの可能性を指摘した。

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ドワンゴが強力に後押しし、現在もファンに注目され続けているタイトル『スプラトゥーン』は、動画数2万6089件、総再生回数約72億を記録。UGCを活用し、ユーザー同士の横展開をうながした結果が形となっている。

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横澤氏は補足として、ニコニコ動画で人気のゲーム実況動画の種類と、そうした動画に対するドワンゴ側の過去もしくはこれからの働きかけかたについてまとめた。以下にそれを紹介しよう。

e-Sports:賞金付き格闘ゲーム大会を企画し有料配信
マインクラフト』:やり込みプレイの発表の場を提供
RTA(リアルタイムアタック・短時間クリア):チーム対抗タイムアタック大会の開催
制限プレイ:ユーザー指定による高難度動画を支援

 
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ハイブリッドプラットフォームの将来

そして横澤氏は、業務提携による強い結びつきを得た株式会社KADOKAWA・DWANGOが築く、ネットとリアルが融合した“ハイブリッドプラットフォーム”の将来について語る。

実際にユーザーが触れ合えるリアルプラットフォームとして、前回行われた“闘会議2015”について報告。『スプラトゥーン』など最新のゲームだけでなく、レトロなゲームやアナログゲームなど、幅広いゲームを求めて多くのユーザーが集まった成果を挙げた。

次回開催予定の“闘会議2016”はe-Sportsを目玉とし、闘会議を起点に全国規模でのイベント展開を考えているという。

Webを介したネットプラットフォームとしては、9月1日から配信が始まっている“闘会議TV”を中心に、動画配信、パソコンWeb、スマホWebとアプリなどを横方向に連携

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さらに既存のアプリからでも生放送や動画投稿を簡単に行えるようにする開発キット、『ニコニコスマホSDK』のリリースを予定しているとのこと。

 
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ゲームポータル戦略

締めくくりとして横澤氏は、紙、Web、イベント、そして動画というあらゆる媒体を網羅した巨大ゲームコミュニティを作り出す、ゲームポータル戦略を提示した。

 
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業務提携によって可能となったユーザー+ゲーム+プラットフォーム(ニコニコ動画など)が生み出すシナジー効果により、ゲームとゲームに関わるすべての人々が歩むであろう明るい未来を作るため、これまで以上の参加を呼びかける。我々も、そうしたゲームの将来に強く期待したい。

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