【CEDEC 2015】ガンバリオンが自社エンジンで『ワールドトリガー』を作ってみてわかったこと
2015-08-29 03:07 投稿
なぜ自社のJETエンジンで開発をしたのか?
2015年8月26日から8月28日までの3日間、パシフィコ横浜で開催されるコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2015”。ファミ通Appではスマホ関連のセッションを中心にリポート!
福岡に拠点を置き、コンシューマゲームを中心に開発をしてきたガンバリオン。そんな確かな技術を持ったデベロッパーの開発部 テクニカルチーム・マネージャーの石井泰寛氏、エンジニアの森下宏樹氏、小田垣寛樹氏の計3名による、「自社ゲームエンジンでモバイルゲームを作ってみてわかったこと」と題した講演が実施された。
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【CEDEC 2015】デザイナーならではの『ワールドトリガー』制作のこだわりとは?
まず始めに、自社の“JETエンジン”を使って開発したAndroid/iOS向け3Dアクションゲーム『ワールドトリガー スマッシュボーダーズ』を紹介。街中やイベント、シミュレーション画面のほか、バトル画面ともにその概要を伝えた。
本作のメイン開発者は3名ほどで、それほど大規模なプロジェクトではないらしく、必要な部分に随時コストをかける方法で開発したとのこと。とはいえ、初期の段階から、組み替え可能な多くの建物の配置と、アウトラインをとったクオリティも高いキャラクターを2体表示したいという要件が挙がっていたらしい。
最初からすでに比較的複雑なものを数多く表示する必要があったが、これまでの経験と自社の強みを生かしたいという考えから“JETエンジン”による開発をチョイス。慣れている環境で作れば、問題が起きた際、対処しやすいとも考えたそうだ。
開発においては、Andoroid機種依存への対応が懸念材料だったが、配信時期が7月予定だったためAndroid4.0に対応できれば問題が回避できると判断。また、機種によってGPUが違うことを受け、画像処理能力については事前にベンチマークをとって確認。十分に行けると判断するに至った。通信周りに関しては、外部の会社と協力体制を敷き、問題点をクリアにしたという。
開発環境と描画について
続いて、ゲーム開発の大まかな流れを解説。完成間近のデバッグは外部デバッグ会社に依託し、多くの端末で確認作業を行ったとのこと。
さらにAndroid及びiOSの開発環境について、それぞれ使用した言語や開発環境のほか、開発機材なども紹介。開発時は、iOSに比べてAndroidのほうが問題が多かったそう。何事もなく動作しているように見え、気づきにくい点にも注意すべきと述べた。
その後の話題は、グラフィックを構築する、描画について。今回の開発における対応APIや描画エンジンを解説したのち、モデルデータについて言及した。
キャラクターのポリゴン数はアウトラインを除けば3500~4000ほどだが、アクセサリもつくので、トータルで5000ポリゴンほど。それでリアリティを生み出す一方で、数多く配置する背景オブジェクトのポリゴン数は比較すると控えめ。トータルでバランスをとり、『ワールドトリガー』の世界を作り上げている。
また街の様子は、グリッド状にオブジェクトを配置する仕様で、クオータービューでほぼ全景が映るため、CPUへの負荷はかなりのもの。そのような問題も、専門的な技術で回避。消費電力については、フレームレートを落とすことで改善させたらしい。
JETエンジンによる開発の正否
ゲーム開発自体のことは別にして、ゲームエンジンの部分に限っていえば、モバイルゲームの開発は世で言われているほど大変ではなかったとのこと。今回の作品は求めるクオリティを実現できたそうで、選択は間違っていなかったと断言。
ただ今後も、ガンバリオンはJETエンジンにこだわらず、小規模なタイトルではUnityを利用したりと、制作するタイトルや環境に合わせたゲームエンジンの選択をしていくそうだ。
そして最後に、これまでコンシューマゲームを開発していれば、その経験やスキルを十分に生かしてモバイルゲームの開発ができることは間違いない事実だとして、森下氏が講演を締めた。
今回の話を鑑みても、これから先、モバイルゲームの開発に乗り出すクリエイターがますます増えていくことは想像に難くない。モバイルゲーム業界がより発展し、歴史に名を刻むゲームが生まれることを願うばかりだ。
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