『ブレフロ』2周年を迎えて早貸&高橋の両名はこう思っていた
2015-07-03 09:00 投稿
感謝の言葉しかありません
本日(2015年7月3日)、サービス開始から2周年を迎えた『ブレイブ フロンティア』(以下、『ブレフロ』)。その2年間の歩みの中で開発スタッフが味わってきた、うれしかったこと、つらかったこと、そしてこれからのこと……。総監督の早貸久敏氏、プロデューサーの高橋英士氏のおふたりに、お話を伺った。(取材日:2015年6月24日)
エイリム
代表取締役社長CEO
『ブレイブ フロンティア』総監督
早貸久敏氏(写真右)
代表取締役C00
『ブレイブ フロンティア』プロデューサー
高橋英士氏(写真左)
※以下、敬称略
“最初に好きになった作品”になってほしい
――『ブレイブ フロンティア』2周年おめでとうございます。
早貸 ありがとうございます。本当にそのひと言に尽きます。ユーザーやメディア、スタッフの皆さん、いろいろな人に支えてもらって、がんばってもらってここまで来られました。
高橋 僕も、感謝の言葉しか出てきません。皆さんのおかげです。
早貸 (高橋さんを横目で見て)私の場合は、高橋にこそ「ありがとう」と言わないといけないかもしれませんね。
高橋 そうだよ!(笑)
――早貸さんの目から見ても、高橋さんの働きは大きかったということですか?
早貸 私の役割は、おもにリリース前のゲームデザインや世界観の構築だったので、リリース後は運営、管理などすべてを高橋に一手に引き受けてもらっていましたからね。
高橋 毎日、『ブレフロ』のことばかり考えて突っ走っていたら、あっという間に2年間が過ぎていました。でも、この2年間のことを思い返してみると、スタッフの尻を叩いていたばかりのような気がします(笑)。
――おふたりにとって、『ブレフロ』とはどんな存在ですか?
早貸 もともと、この作品の企画を考えていたときに思い描いていたのは、ふだんゲームをしない人だったり、RPGに敷居の高さを感じて敬遠しているような人にも楽しんでもらえるようなものにしたい、ということだったんです。そういう人たちにとって、『ブレフロ』が“最初に好きになった作品”になってほしいなと。
――すごく夢のある目標ですね!
早貸 リリースの際にはかなりドタバタして、胃を痛めながらの船出になりましたが、その時点でもそのコンセプトは外していなかったと思います。
高橋 リリース後は運営の責任者として、総監督でもある早貸のそういった想いを引き継いで運営を続けてきたつもりです。システム上の不具合など、何度か危機はありましたが、ゲームの思想としてはブレずにやってこれたのではないかと思います。その結果、多くの人に遊んでもらえるようになり、いまでは当初僕らが想像していた以上の大きな存在になってきたと感じています。
――確かに、海外進出も果たし、いまでは国内でもトップクラスの人気RPGとして君臨していますよね。その中で、『ブレフロ』に対する向き合いかたはどのように変化しましたか?
高橋 いまは非常に多くのユーザーに遊んでもらっているので、「皆は『ブレフロ』のことをこう思っている」という観点から判断することが増えてきたと感じています。つねにユーザーのことが頭にあるので、その期待を裏切るようなヘタなことはできなくなりましたね。『ブレ生』で「どう思いますか?」って聞いているくらいですからね。あれは正直どうなんだろうと自分でも思いますが(笑)。
――ファンが増えたことで変わった、ということですね。
高橋 ファンの存在は、開発者冥利に尽きるのですが、運営としてはかなり大きなプレッシャーにもなっていますね(笑)。ただ、イベントやプロモーションの部分では、ファンのおかげでいろいろな施策を打ち出すことができるようになりました。『ブレ生』もそうだし、『ブレフェス』も、『ブレフロ』をリリースした当時はこんなイベントをしようなんて考えたこともありませんでしたから。
早貸 あんなに高いテンションでユーザーが楽しんでくれていることがわかって、すごくモチベーションが高まりました。それは、私達だけでなくスタッフ全体が感じていることだと思います。
高橋 それをもう、2回もやろうというわけですからね。イベント開催を望んでくれたファンの存在は大きいです。我々も、そういったリアルイベントを通じて、ゲームを遊んでくれている人たちの顔を直接観られたのは貴重な経験でしたね。
――そうやって向き合いかたが変わった一方で、“変えずにいるもの”はありますか?
早貸 自分の頭のなかにある『ブレフロ』像。それだけは、寝ても覚めても切らないようにしていました。世界に新たな要素を追加するとき、それが『ブレフロ』としてアリかナシか。その判断だけは妥協することなくやってきましたね。
高橋 その『ブレフロ』像は文書化されているわけではなく、早貸の頭の中にしかないものなのですが、僕もこの2年間その世界観を作り上げていく中で同じものを共有できていると感じています。だから、僕もけっこうダメ出しは厳しくやらせてもらっていますよ(笑)。
――ツートップから交互にダメ出しされると、スタッフの皆さんもたいへんですね(笑)。
早貸 そこだけは譲れないものですからね。
高橋 もうひとつ、運営としては『ブレフロ』が持つファンタジーの世界を、みずから壊したりすることだけはしないようにしています。たとえば、広報のかおりんごやyoutubeでご一緒しているゴー★ジャスさんを『ブレフロ』風にイラスト化することはあっても、ゲーム内に出すことはしないのもその信条によるものです。ファンタジーの中に現実の人間を放り込んだら、それはファンタジーではなくなってしまうので。
かおりんごは扱いづらい!?
――プロモーション面で心掛けられてきたことは?
高橋 ユーザーのためになるのかどうか、その1点ですね。グッズを作るにしても、要望がなければやりませんし。また、どういうユーザー層に向けて行うかによってプロモーションの施策も変えています。新規ユーザーを増やすものか、もしくはコア層にアピールするものか……そういうのって、具体的に数字に跳ね返ってきますし、さまざまな策を練っています。
――ちなみに、広報のかおりんごさんはおふたりにとってどのような存在でしょうか?
早貸 “元気も才能”と思っているので、『ブレフロ』にとっては大切な存在です。ただ、企業広報としては危ない方向に向かっている疑いがあるんですよね。最近、私たちの知らないところでいろいろ活躍しているみたいですし……。
高橋 先の質問に戻って、僕がプロモーション面で心掛けてきたことには、彼女が企業広報としておかしな方向に向かわないようにすることも入っていたと付け加えておきます。もう手遅れかもしれませんが(笑)。
早貸 ちょっと扱いづらい存在になりつつあるよね(笑)。
かおりんご (慌てて)いえ、メディアへの露出は“仕事”でやっていることですから!
一同 (笑)
――話が脱線してしまいましたが、元に戻して(笑)。おふたりを取り巻く環境も変化があったと思いますが、とくにここが変わったと思うことはありますか?
早貸 著名なクリエイターの方にお会いする機会が増えたのは、大きい変化だと思いますね。自分たちのゲームを認知してもらえたということなので、すごくうれしかったです。
高橋 仕事として対談することも多いのですが、応援していただいたり、『ブレフロ』を評価していただいたりすると、大きなモチベーションになります。たまに的確なアドバイスをいただけることもあって、多くの意味でプラスになっていますね。
――ほかに印象に残っている出来事はありますか? よかったこと、つらかったこと、それぞれ教えていただけると。
早貸 印象深いのは、『ブレフロ』が海外で人気が出て、現地のイベントに参加できたことですね。
高橋 そのとき僕は先に帰国してしまったのですが、早貸はその翌日、3時間も握手会をしていたんです。
早貸 向こうの人は感情を体で表現するので、本当に喜んでくれているというのがダイレクトに伝わってくるんですよ。私もうれしかったですね。逆にたいへんだったのは、やはりリリース直後の1週間メンテ(編集部注:2013年7月の配信直後、アクセス過多のため約1週間のメンテナンスが行われることになってしまった事件)です。あのときは、泣きそうになりましたし、白髪も一気に復活しました(笑)。
高橋 思い出すのは、障害のことばかりですね……。『ブレ生』の冒頭で謝ったこともありますし。よかったことは、いっぱいあります。去年の『ブレフェス』もそうでしたが、熱量を持って遊んでくれる人の話を聞いたり、Twitterやネットでの書き込みをみると「やっててよかったな」と思います。
――ちなみに、よかったこととつらかったこと、比率にするとどのくらいですか?
高橋 量だけだとよかった1:10つらかったくらいですね(笑)。
早貸 細かいトラブルは数知れずですし、どうしても量を比較するとそうなってしまいますよね。
高橋 でも、そのぶん味わえる喜びは計り知れないくらい大きいので、“溜め”だと思って我慢しています。
――正直な話、「これはやらなきゃよかった」と思ったことはありますか?
高橋 つねにありますよ(笑)。とくに、キャラクターの強さの設定などでは後悔しなかったことがないくらいです。2年経っても、いまだに苦労しているポイントですね。
早貸 デザインのほうでもありすぎて……。やらなきゃよかった、というよりは「こうすればよかった」ということが多かったと思います。まぁ、そうやって試行錯誤しながらいいものを皆さんにお届けできればいいと思っていますので、これからもがんばります……ウチのスタッフが(笑)。
産みの苦しみは、さらなる産みのため
――そんなスタッフの皆さんに、おふたりが改めて言葉をかけるとしたらどんな言葉を用意しますか?
高橋 「もっとがんばれよ」と。
早貸 そうだね。そんな感じで。
――ホメないんですか!?
高橋 (笑)。こんなにヒットする作品に関われるなんて、なかなかないことだと思うんですよ。だから、より成長するためにこんなところで満足していてはいけないし、まだやれるはずですから! ……といっても、ここまで2年ついてきてくれたことには本当に感謝しています。
早貸 立場としては、本当は甘い顔は見せたくないんですが(笑)。
高橋 本音を言うと、僕たちはいつも、スタッフには『ブレフロ』に携わることで何かを得ていってほしいと思っています。いつかウチから独立して、ほかの会社へ行ったり、自分で事業を立ち上げるかもしれない。そんなときに、エイリムでの経験を活かして何かができるように。だから、仕事がたいへんでも単に「疲れた~」とかため息やグチを言って終わってほしくなくて、成長した実感を持ってもらえたらなと。
――厳しいのも親心ということですね。
早貸 『ブレフロ』のスタッフは皆、優秀ですし、何より自分たち自身が『ブレフロ』ファンで、たくさんゲームもやってくれています。
高橋 とくに、コアなユーザーに向けて始めた『ブレ生』がスタッフに与えた影響は大きくて、彼らがそれを観て「こう直しましょう」などと言うようになってきました。
早貸 回数や時間を重ねていくことの意味が出た結果でしょうね。。
高橋 ニコ生でユーザーの反応をダイレクトに見られるようになったのは、本当に大きかったですね。スタッフたちも意識が高まってきて、本当の意味で「クリエイターになってきたな」と感じることも増えてきました。
――スタッフも充実一途のようですが、ゲームがこれだけ広がってきて、人数的にも拡大する予定はあるのでしょうか?
早貸 基本的には、必要な人数がいればいいと考えています。多ければいいというものではないですね。少数精鋭が望ましいです。
高橋 意思疎通ができるギリギリの人数でいいと思っているんですよ。人数が増えれば、それだけスムーズに運べなくなるので、悪い面も出てきてしまいますから。
――スタッフとは別に、おふたりがお互いに改めて言葉をかけるとしたら?
早貸 この2年間ご苦労さまでした。これからもよろしくお願いします。……という感じでいいでしょうか?(笑)
高橋 これはやりにくいな(苦笑)。
早貸 あまりに近い存在なので、改めて言うことなんてないんですよ。言わなくてもわかるだろう……みたいな。
高橋 そうなんだよね(笑)。
――ところで、いま開発上で抱えている問題、もしくは今後の課題はありますか?
早貸 2年も経って、キャラクターも増えてきたし、既存ユーザーと新規ユーザーのあいだにある差をどうやって埋めさせようかということはつねに頭のなかにあります。
高橋 どんどん要素を追加してきたので、いまはゲーム全体の遊びの流れを見直して、段階的に要素を開放していくような仕組みに再調整しようとしています。一方でマルチプレイの要素がレイドバトルしかないので物足りない、という課題があるので、もうひとつくらいマルチの要素を組み込んでいきたいなと考えています。いっしょに遊ぶ人がいるからこそ継続して遊んでくれている人もいるので、仲間どうしでやれるようなシステムを模索しています。
――そういった課題がある中で、やり残していること、これは実現させたい、ということはありますか?
早貸 釣りができるようにしたいないとなぁと思っています(笑)。
高橋 リリース当時からその話してるよね(笑)。
――いろいろな場で何度かお聞きしているので、楽しみにしています(笑)。それでは、最後に3年目へ向けての展望や意気込みをお願いします。
早貸 いままでと変わらず、10年20年続くコンテンツにしたいですね。せっかく大きな作品になってきたので、もっと大きなものにしていきたいなと思います。
高橋 ゲームの中身的には「あれ追加して、これ追加して」とやってきたのですが、そろそろ新しい切り口、ブレークスルーが必要になってくると思っています。ただ、果たしてどうすればそれができるのか。それを考えながら日々運営していきたいと思います。臆することなく“破壊と創造”をくり返して、がんばります。
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ブレイブ フロンティア
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- エイリム
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS4.3以降対応、iPhone4以降/iPod touch第4世代以降/iPad/Android 2.3.3以上/Kindle Tablet Edition
- コピーライト
- (C)Alim Co., Ltd. All Rights Reserved.
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