新サービス続々発表!LINEが生活基盤になる時代がくる!?
2014-10-09 21:46 投稿
好調に成長を続けて世界から支持されるLINE
2014年10月9日、舞浜アンフィシアターにてLINEが事業報告兼新サービス発表を行う“LINE CONFERENCE TOKYO 2014”が開催された。
カンファレンスでは、まず現在の事業報告が行われ、『LINE』の世界ユーザー数が8月10日付けで5億6000万人を突破したことが明らかに。そのほか、1日のチャットメッセージ量が130億回にも上るなど、昨年と比較をしてもどの数値も大幅上昇していることが判明した。
また、先日リリースされたばかりのカメラアプリ『LINE CAMERA』もすでに1億ダウンロードを突破し、順調な滑り出しを見せていることにも触れられた。
この数値の伸びに関してLINE株式会社 代表取締役 森川亮氏は「コミュニケーションは、情報のやり取りでなく、エモーションのやり取りへと変化している。その変化を加速させたのは、『LINE』のスタンプにほかならない。いまやスタンプは国や言語を越える、世界共通言語となった」と述べ、業績に満足している様を示した。
なお、森川社長はこのスタンプにも触れ「一般ユーザーでもスタンプが配信できるLINE クリエイターズスタンプには、現在23万を超えるユーザーが登録しており、そのTOP10人の売上は平均で3000万円以上にもなる」とコメント。『LINE』をプラットフォームとしたコミュニケーション、経済活動は予想以上に大きくなっているようだ。
業績のほか、森川社長は現在問題になっているセキュリティ問題にも言及。パスワードの変更とPINコード設定をしたユーザーに無料スタンプをプレゼントしたり、警察との連携を図ることで、さらなるセキュリティ強化をしていく旨を表明している。
これに関して後に行われた質疑応答で「PINコード設定をした人でも乗っ取りの被害を受けている人がいる。この事態に関してはどう対処していくのか?」という問いが投げかけられ、「現状は把握している。何かしらの対処をとるつもりだ」とコメントした。
生活密着型サービスを目指して
事業報告に続いて行われたのは、新しいサービスに関しての告知。「“LIFE”をテーマとし、『LINE』がただのコミュニケーションツールではなく、ライフプラットフォーム、エンターテインメントプラットフォームとして活躍できるようなサービスを展開する。新しい体験をお送りしていきたい」と所信を表明して行われた。
ライフプラットフォームとしての『LINE』に関しての発表は、LINE株式会社 代表取締役 COOの出澤 剛氏が担当。オフラインとオンラインをつなぐプラットフォームとなるよう、『LINE Maps for Indoor』、『LINE Pay』、『LINE Taxi』、『LINE WOW』、『LINE@ ID』という新サービスを発表。
『LINE Maps for Indoor』は、通常のマップアプリではなく屋内、店舗情報に特化したナビゲーションアプリ。現在アトレ、ルミネ、109、東急ハンズ、パルコなどをはじめとする39の企業がパートナーとして名乗りを上げ、マップアプリの開発を進めているという。リリースは今秋予定。
『LINE Pay』は『LINE』プラットフォームでの新たな決済システム。このアプリにクレジットカード、銀行口座などを登録しておけば、決済時にいちいち個人情報を入力しなくとも決済ができるようになるという。
また、この決済サービスは『LINE』内での決済だけなく、パソコンサイトでも利用できるようになるそうだ。さらに、銀行口座との連携では、残高確認ができるほか、『LINE Pay』を通じて他者に送金できるようにもなるとのこと。サービス開始時の対応は日本国内のみとなっているが、ゆくゆくは送金を世界中で対応していくと述べた。
しかし、クレジットカードだけでなく、銀行口座とも紐づけがなされるとなると、気になってくるのはセキュリティに関して。
これに関して出澤氏は「『LINE』で利用しているパスワードのほか、もう1段階のパスコード認証を経ないと決済できないようにして対応する。もちろん、iPhone 5S以降に搭載されているタッチIDでのセキュリティに対応。パソコンサイトで買い物をするときも、あくまでも決済処理は『LINE』が登録されたスマートフォン端末で行わせる」とコメント。
詳しい仕様などに関しては、後ほどの発表になるとのことだが、リリースは今冬予定。銀行口座紐付けに対応している銀行は、みずほ銀行と三井住友銀行の2行が明らかになっている。
『LINE Taxi』は、日本交通と提携して行われるサービス。GPSや地図情報から配車場所を指定してタクシーを呼んだりといったサービスが可能になるという。まずは今冬から東京都内限定、タクシー台数2万2000台でのテストとなるそうだ。なお、決済に関しては『LINE Pay』での決済に対応。将来的には海外での展開も目指すと語った。
『LINE WOW』はコンテンツではなく商品のデリバリーサービス。つまりは『LINE』を通じて物流のオーダーを出せるというサービスのようだ。韓国のフードデリバリーサービス“Woowa Brothers”と提携して子会社を設立。まずは今秋から限定のフードデリバリーサービスをスタートする。最終的には、どんなものでも必要なときに必要なものが手に入るようなサービスを目指すとのこと。
『LINE@ ID』はクローズドなコミュニケーションツールである『LINE』とは正反対の性質を示すオープンなコミュニケーションスペース。『LINE』とは異なるIDを取得して、個人、または法人が情報を発信していくスペースとなるようだ。
なお、こちらは商用としても利用可能なため、例えばショップが『LINE@ ID』でIDを取得、サービス情報などを発信するのに利用できる。これまで公式アカウントの解説には大きなコストが求められていたため、個人経営のショップなどは参戦しにくかったが、このサービスのスタートにより誰もが平等に情報発信の場を得られるようになるという。こちらのサービスは年内スタート予定。
これら、新しく始まるサービスに関して出澤氏は「『LINE』はこれまで個人と個人がつながるためのクローズなコミュニケーションツールだったが、これからはオープンなコミュニケーションにもチャレンジしていく。日常生活に溶け込むライフプラットフォームを目指して、生活密着型のサービスを展開していきたい」とコメントした。
続けて発表されたのは、法人向けのサービス。これまで、法人が設けていた公式アカウントは「情報を送る」か「情報を送らない」かの2パターンの選択肢しかなかったが、これからはちゃんと目的としたターゲットユーザーにのみ情報を送れるよう選択して情報発信ができるようにしていくという。
これは、公式アカウントに登録しているユーザーの動向を参考に顧客データベースを構築。その顧客データベース内から情報を伝えたい相手を選択できるというもの。
しかし、これに関してもユーザーとしてはセキュリティが気になるところ。
曰く「企業に送られるユーザー情報は、ユーザーが同意しなければ送信されない。また、電話番号やメールアドレスは伝達されず、『LINE』内で個人を識別するための番号だけを渡す仕組みをとるので、これを契機とした情報流出は避けられる。我々は、あくまでも透明なパイプとしてのみ機能する」とコメントし、不安の払拭に努めていた。これらの新サービスを見ると、LINEが社会インフラとしての進出をし始めたことがうかがえる。今後さらにサービスを拡大していくことも示唆されており、これからどのような展開を進めていくのかが注目される。
LINEが目指すエンターテインメントプラットフォーム
続いて発表されたのは、エンターテインメントプラットフォームとしての『LINE』。
発表を担当したLINE株式会社 上級執行役員 CSMO 舛田 敦氏は「LINEゲームは累計で4億4000万ダウンロードを達成。さまざまなカジュアルゲームが各国の市場を制し、『クッキーラン』に至っては、タイのゲーム市場を変えたという評価さえ受けている。こうして、現在では“『LINE』×カジュアルゲーム”という形を完成させたが、これからはゲームのミドルユーザー、コアユーザーにもアプローチしていきたい」と語る。
コアユーザー向けへの展開として、今夏にはサイバーエージェントとのパートナーシップを締結。両社共同出資による新会社設立の発表を行っている。
[関連記事]
※【インタビュー】LINE GAMEの現状と今後 「LINEはゲームプラットフォームにはしない」の真意とは?
続けて世界展開への1歩としてグリーとの業務提携を発表。共同出資によるジョイントベンチャー企業“Epic Voyage”の設立を明らかにした。こちらは、グリーが持つノウハウや技術、日本/北米/韓国に有するスタジオを駆使して世界展開を目指すものになるという。
併せて、世界展開を目指したい企業に向けて設立されたファンド“LINE Global Gateway”の採用第1号も公開。見事出資第1号を獲得したのはシンプルゲームアプリ『Brain Wars』で北米1位を獲得したTranslimit。この支援を受けて、今後どのようなタイトルを開発するのかは発表されていないが、動向には注目したい。
エンターテインメントコンテンツプラットフォームを目指すとして発表された次なる戦略は、小学館、講談社、Media Goとの提携によるジョイントベンチャー企業“LINE Book Distribution”の設立。こちらは、現在好調な動きを見せる『LINE マンガ』の海外展開を目的とした企業となる。
最後に発表されたものは、音楽に関して。舛田氏は「アーティストは音楽を通じて表現活動をし、旧来メディアでコンテンツデリバリーを行ってきた。しかし、今はアーティストの活動場所が広がってきている。マスメディア発ではなく、デジタル発のヒットも出てきているなかで、彼らの活動の舞台、活動内容をつなぐものとして“Artist Value Chain”というものをスタートさせる」と発表。
アーティストの公式アカウント開設や、アーティストを題材としてスタンプの販売、ゲーム内で利用できるアバターの販売、楽曲販売というほかに、ファンクラブの代替となるプレミアムアカウントのシステム、『LINE』内で閲覧できる公式ブログの開設などが行えるサービスになるという。プレミアムアカウントユーザーは、『LINE MALL』内にアーティスト専用ストアが利用できるなどの特典を想定しているそうだ。
また、音楽の配信サービスとして『LINE Music 1.0』をいよいよスタート。昨年のカンファレンスでも音楽サービスに関して言及はしていたものの、サービス内容が不十分であるという理由に、これまで発表を控えてきたという。
また、これを運営、展開するためのパートナー企業として、Sony MusicとAvexが参戦。3社による共同出資で新企業LINE Musicを設立、サブスクリプション型音楽配信を目指す。
SonyMusic COOの村松氏は、これに関して「世界の音楽サービスは変化している。これまで、ずっとユーザーにとって魅力的で愛される音楽サービスの理想形を作ろうと議論を続けていた。そのビジョンが固まり、ようやく発表できる段階になって嬉しく思う。現在は、なかなかスーパースターが現れにくい、誰もが口ずさめるような流行歌が生まれにくい環境になっているが、LINE Musicでは、そういったものが生まれるサービスにしていきたい」と意気込みを語っている。
具体的なサービスや機能については近日中に発表予定。
最後に、舛田氏は今回のカンファレンスを振り返り「コンテンツデリバリーの形を変えていく。今日発表したもののほかにも、水面下で“『LINE』×ナニカ”という展開を進めているので、ぜひとも応援をしていただければ」とまとめ、会は閉幕となった。これからどのようなサービスがスタートするのかは不明だが、次なる展開も期待して注視していきたい。
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