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スクエニ安藤ブログ“スマゲ★革命 シーズン2”特別編「安藤武博氏が訊く 『ウィズ』成功への道(中編)」

2013-12-16 14:01 投稿

▲スマゲ★革命のバックナンバーはこちら!

ストーリーの重要性を問う

ファミ通Appのムック本に定期掲載されている、おなじみスクウェア・エニックス安藤武博氏による対談連載“スマゲ★革命 出張版”

現在発売中のファ ミ通App NO.011 Androidの当連載には、メディア初出演となる『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ(以下、ウィズ)』のプロデューサー・浅井氏が登場!

より多くの読者の方に、この対談を読んでもらいたいという想いから、今回は特別に本対談の模様を3回に分けて、“全文掲載”という形でお届けしていく。

中編にあたる今回は『ウィズ』の開発裏話がてんこもり!

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※スクエニ安藤ブログ“スマゲ★革命 シーズン2”特別編「安藤武博氏が訊く 『ウィズ』成功への道(後編)」

なぜクイズゲームを?

安藤 正直な話をしますと、僕は『ウィズ』が1200万(11月7日現在)ダウンロードもいくなんて、まったく想像もしていませんでした。

浅井 大丈夫です、僕たちもまさかここまでいくとは思っていませんでした(笑)。

安藤 僕が最も『ウィズ』を凄いと思った瞬間がありまして。先日、遊園地に行ったのですが、アトラクションの待ち時間に前で並んでいた女性二人組が、ふたりとも『ウィズ』をプレイしていたんですよ!

僕は最初、『ウィズ』のことをコアな人たちがプレイする、ゲームセンターのクイズゲームに近いものだと思っていました。なので、女性がやるには少しハードルが高いのではないかと思っていたんです。ところが、『ウィズ』の場合、ライト層の筆頭である女性がクイズゲームを気軽にプレイしている。これは、ひとつの革命ですよ。

浅井 僕は、安藤さんとは逆で「日本人はみんなクイズが大好きだから、クイズはライト層にも人気だろう」という考えから『ウィズ』を作りました。それと、女の子向けにゲームを作ったのは、”女の子がゲームを遊んでいれば、男子もそこに集まるだろう”という理由からです(笑)。

安藤 僕も同じ理由でゲームを作ったことがあるのでよくわかります(笑)。それにしても、言われてみると確かに日本人はクイズ大好きですね。ただ、クイズとカードバトルを掛け合わせるとなったときに、クイズにお金を払っていただけるのかどうかという心配はありませんでしたか? 

いまの日本人には、クイズ番組やインターネット上にたくさんのクイズがあって、無料で十分楽しめるじゃないですか。

浅井 とにかく、ずっと不安でいっぱいでした。収益基盤となるオンラインアプリを”Kuma the Bear”として作るのは『ウィズ』が初めてでしたし、これをはずしたら、『ウィズ』に続くオンラインアプリのプロジェクトも終わりだという話がスタッフの中で上がりました。

こんなにもたくさんの方に遊んでいただけるアプリに成長してくれて心底よかったと思っています。

安藤 成功の背景には、クイズとRPGの融合がうまくいったという一面もあると思うのですが、浅井さんは、どのようにしてクイズとRPGをあそこまで滑らかに融合させたんですか?

浅井 開発当初は、さまざまな試行錯誤をしました。でも、工夫をすればするほどクイズの楽しさを邪魔してしまって。最終的に「クイズゲームなのだから、クイズを楽しめるものを作ろう」というところに落ち着きました。そこに気付くまでに2 ヵ月も要してしまいましたが、その甲斐あって今の形になりました。

安藤 浅井さんは、そのシェイプアップ期間を「2ヵ月も」と表現されていましたが、僕たちからしてみると恐ろしく早いペースですよ。本当は、僕たちもそれくらいのスピードでやらなければならないのだと痛感させられます。ちなみに、クイズをテーマにしたゲームを作るうえで、何か参考にしたゲームはありますか?

浅井 『クイズ マジックアカデミー』(※1)を少し遊んだことはありますが、強い影響は受けていないと思います。そのほかにもクイズゲームはありますが、これといって参考にしたものはありません。

ただ、強いて影響を受けたゲームを挙げるとすれば『パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)』でしょうか。『パズドラ』のブーム以降、”○○+RPG”というジャンルが多数出始めた時期がありましたよね? 『ウィズ』の”クイズ+RPG”というテーマは、”RPGをベースとしたジャンルの融合”というムーブメントから影響を受けて、発想の土台が作られたものです。

(※1)『クイズ マジックアカデミー』:KONAMI発の人気アーケードゲーム。2003年にシリーズ一作目が稼動開始して以降、2013年現在までにシリーズ作品が9作も出ており、いまなお根強いファンを抱えている。ゲームの基本は、オンライン上のユーザーと勝ち抜き戦でクイズ対決をしていくもので、ゲームシステムのほかに、登場するキャラクターたちも人気の秘訣になっている。

安藤 では、日本で多く見られるテレビのクイズ番組から何かしらの影響を受けたり、特定の番組を参考にしたりというのはありましたか?

浅井 「コレ!」というものはないですね。ただ、テレビ番組のクイズのように、簡単に答えられるクイズほど多くの人に楽しんでいただけているため、『ウィズ』のクイズは比較的簡単な問題が出るように調整しました。そういった点では、少なからず影響を受けていると思います。

『ウィズ』ストーリー開発秘話

安藤 浅井さんは、過去にかなり濃い目の世界観を持ったRPGを作っていた経歴があると伺ったのですが、『ウィズ』にはその“濃さ”がありませんよね? 『ウィズ』のゲームシステムでも、世界観を色濃くしようと思えば出来たと思うのに、今回それを抑えた理由は何なのでしょう?

浅井 そうですね、そんな時期もありました。ぶっちゃけた話、僕は濃い世界観のゲームを作って、ヒットさせた経験がないんですよ(笑)。だから「これまでと同じやりかたではダメなのかなぁ」と思い、『ウィズ』では意識して世界観を濃くすぎないようにしました

僕が過去作から『ウィズ』に活かしたものは、「ゲーム作りのセオリー」と、「これまでは失敗してきている」という教訓くらいです(笑)。

安藤 そうだったんですね(笑)。でも僕は、”ゲーム作りのセオリー”以上に“コンシューマゲーム作りで磨かれたテクニック”のほうが『ウィズ』には強く出ていると感じました。

キャラクターからストーリーを透かして見せる技法や、キャラクターたちがその世界で生きているという感覚を、短い時間でユーザーに与えるテクニックは、コンシューマできちんと経験を積んでいないと使えないものですから。

そういえば、浅井さんは、作中に黒猫というシンボルを打ち立てて、そこにストーリーにおける大きな役割を持たせていますよね ゲームのシンボルとして黒猫を設定した背景には、どのような狙いや動きがあったのでしょうか?

浅井 スマートフォンゲームを作るうえで、ユーザーさんをひとりにしないというのはセオリーとして確立されつつありますよね。そこで、私たちもそのセオリーに倣って、ユーザーさんの隣に何を置くかを考えました。

『ウィズ』は、女性層がメインターゲットですから、かわいらしい黒猫なら人気も出るだろうというデザイナーさんの意見を採用したのが、黒猫を登場させた第一のきっかけです。

ただ、黒猫をどのようにストーリーに絡ませていくのかは、そのときにはまだ考えていませんでした。そもそも、今年の1月にβ版を完成させるまで、『ウィズ』にはストーリーという要素自体がありませんでしたので。

安藤 ということは、ストーリーは後天的に追加されていったんですか?

浅井 はい。RPGというジャンルでいく限り、ストーリーという要素が外せないという想いから、急遽ストーリーを紡いでいきました。黒猫がシンボル化して大きな役割を持ったのは、そこからですね。狙いあっての黒猫ではなく、結果として黒猫がシンボルになったと表現したほうが近いと思います。

安藤 そうだったんですか、僕はてっきり『ウィズ』はストーリーありきで作られていたものだと思っていました。

浅井 元々、ストーリーは入れたいと思っていたんですが、『ウィズ』のプロジェクトが動き始めた当初は、スケジュールの観点などから、ストーリーを入れないで進めることになっていました。

その後、色々と話し合いがなされる中で、「やはりストーリーがあったほうが、『ウィズ』の世界に入り込みやすくなるのではないか?」ということになり、ストーリーを入れた感じです。ただ、その変更が決まったのが1月でしたから、そこからはもう必死でしたよ(笑)。

安藤 ストーリーを入れ込むかが議題に上がったというお話でしたが、議論の内容はどのようなものだったんですか? 浅井さんひとりが入れたいと切望されていたものなのか、賛同者はいたのか。どのような議論がなされたのかに興味があります。

浅井 スタッフのひとりは、プロジェクトの最初期からストーリーを入れたがっていましたね。たまたま、僕がシナリオライターをやっていたこともあって「シナリオ書いてよ!」という空気が社内でも作られました(笑)。

スタッフ同様、僕もストーリーを入れたいとは思っていたのですが、運営型のゲームにシナリオを入れたら、サービスが続く限り書き続けなくてはならないですよね? もうツライ未来が確定しているじゃないですか!(笑)。だから、「絶対にイヤだ!」って断ってきたんですが、ストーリーがあったほうがいいものになるだろうという想いが最後まで強く残り、最終的にはシナリオを書き始めた感じです。なので、議論という議論はとくになく、あったのは僕の中で起きた激しい葛藤くらいですね(笑)。

運営型ゲーム未経験で作り上げた『ウィズ』のスゴさ

安藤 短い期間で作られたストーリーが、クイズの面白さやカードゲームを邪魔しないようにうまくデザインされているのはスゴイことだと思います。浅井さんがこのデザインに着地できたのは、何かの経験が活きてのことなのですか?

浅井 じつは、運営型のゲームを経験したことがないんですよ。ただ、コンシューマーの経験があるのと、昔映画を勉強していたという経験があるので、そこで得た「どのようにして、冒頭で人を掴むか」という知識は活きたと思います。

ですが、それを強く意識して作ったわけではなく、半ば本能的に出てしまったものですから、間違った方向に作用しなくて本当によかったです(笑)。

安藤 デザインといえば、『ウィズ』は演出の気持ちよさも際立っていますよね。あれは、何かを参考にして作り上げたものなのでしょうか?

浅井 とくに参考にしたものはありません。そこは“Kuma the Bear”のゲームを作る過程で身に付いたものだと思います。それに、あの演出の気持ちよさが作り出せたのは、僕の力ではなくスタッフの力によるものです。僕はただ、みんなに「合成はここで演出いれたいね」とか「ここは演出で気持ちよくなりたいね」とかを伝えるだけでした。あとはスタッフがそれを実現してくれたんですよ。

安藤 まさしくチームプレイですね。スタッフさんたちは、やはり運営型のゲーム経験やスマートフォンゲームのインターフェイスを作ってこられた方たちなのでしょうか?

浅井 いえ、『ウィズ』制作チームには運営型のゲームの経験があるのは誰もいませんでした。とにかくみんなで一生懸命作っていただけです。

安藤 それであのクオリティですか、本当にスゴイですね! ゲームデザインもそうですけど、UIも非常に洗練されていると感じます。親指の移動面積が狭くなっていて、少ない動きで気持ちよく遊べますから。

どうしたらお客様が気持ちよく遊べるのかというのを本能的に感じ取っているのか、それとも何か研究対象があったのか。処女作であのUIに行き着けた背景には、どのようなことがあったのでしょうか?

浅井 やはり、半年間“Kuma the Bear”ブランドのカジュアルゲームを作り続けていたというのは大きいと思います。スマートフォンのゲームをリリースして、その反応をずっと観察してきていたので、ある程度のコツやノウハウはそこで掴めていたのではないでしょうか。

安藤 運営の経験がないだけで、スマートフォンゲームでの気持ちよさというものは、つねに研究されていたんですね。

浅井 それに、私たちは、ほかのチームが作ったゲームを遊んでレビューをするという取り組みも行っています。そこでさまざまな意見交換も行われていますので、感覚的にも知識としても、「気持ちよく遊べるUIとは?」というノウハウは蓄積できていたと思います。

(後編へ続く)

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クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ

ジャンル
RPG
メーカー
コロプラ
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 4.3 以降。※iPhone 4S 以上推奨 iPhone 5 用に最適化済み、Android2.3以降

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