【スクープ】『ケリ姫スイーツ』と『にゃんこ大戦争』がまさかのコラボ!

2013-04-26 00:01 投稿

●誰もが驚く大型コラボ。内容もハンパじゃなかった

『ケリ姫スイーツ』と『にゃんこ大戦争』、大人気ゲームどうしによる夢のコラボレーション企画が、4月26日からスタートすることが発表された。互いのキャラクターがゲスト出演するといった単純なものではなく、特別ステージや特別アイテムなどが用意されるという、ゲーム内容にかなり踏み込んだ企画となっている。

今回のコラボレーションについて具体的に説明すると、お互いのゲームにコラボ用特別ステージが用意される。『にゃんこ大戦争』には“ケリ姫”、“剣士”、“ガウガウ”が敵として登場し、『ケリ姫スイーツ』ではにゃんこたちが敵として登場する。

それぞれの特別ステージをクリアーすると、特別なアイテムが手に入る。『ケリ姫スイーツ』では姫のアイテムとして“もねこドレス”が追加されたり、『にゃんこ大戦争』ではプレイヤーキャラクターとしてケリ姫がつかえるように。これらのアイテムは、もちろん通常のステージでも使えるようになっているぞ。

いったいどのような経緯でコラボレーション企画が実現したか。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社・第1企画開発本部・ディベロップメント部・『ケリ姫スイーツ』プロデューサーの西村大介氏と、株式会社ポノス・専務取締役COOの升田貴文氏に聞いた。

 

▲西村大介氏。前作の『ケリ姫クエスト』からプロデュースを担当。ガンホーでもっともケリ姫を理解している男。

 

▲升田貴文氏。ポノス社内で「Mr.にゃんこ」の異名を持つ。にゃんこのすべてが彼から生み出された。

 

●「おもしろさを追求したい」という思いが結集

——お互いのキャラがゲームに登場するだけかと思ったら、特別ステージがあったり、アイテムが貰えたりと、かなり濃い内容になっていますね。

西村 『ケリ姫スイーツ』に登場するにゃんこは3Dグラフィックになっているんですよ。いかに再現度を上げるかに力を入れました。

升田 BGMもにゃんこ大戦争にしていただいています。

——3Dになった”美脚ネコ”は、立体感が生々しいというか(笑)。うわっ、ネコUFOのレーザーもリアルですね!

升田 『にゃんこ大戦争』に登場するケリ姫も、イチから描き起こしました。かなり動きますよ。こんなにアクティブなケリ姫は『にゃんこ大戦争』でしか見られません。

——ケリ姫をゲットすると、ケリ姫どうしが戦うんですね。この蹴り合いはシュールな光景です(笑)。

升田 はじめに登場したときのケリ姫はモノクロのキャラなのですが、進化するとカラーになります。ちょっと色っぽくなりますよ。

西村 『ケリ姫スイーツ』では、ケリ姫のドロップアイテムとしてにゃんこデザインのドレスが登場します。これを着ると、逆にケリ姫が白くなっちゃう。

 

▲開発中のコラボアプリを見せていただきました。

 

——これだけ作りこむとなると、かなり時間がかかったのでは?

升田 開発がスタートしたのは3月半ばごろですね。

——意外と短いですね。1ヵ月でここまでの内容になるとはすごい。コラボのきっかけは?

西村 『ケリ姫スイーツ』のスタッフ内で『にゃんこ大戦争』がおもしろいと話題になっていたんです。なにかいっしょにやりたいなと思って、声をかけさせていただきました。それが2月末から3月頭くらいでした。

升田 『にゃんこ大戦争』でほかの作品とコラボができるとは思っていなかったし、声をかけていただいた相手がガンホーさんというところでもびっくりしました。ご提案いただいたタイトルが『ケリ姫スイーツ』というビッグタイトルだったことも驚きです。ケリ姫にうちのにゃんこたちを蹴って貰いたいと思いまして(笑)、これは実現しなくちゃいけない、と返信したのが3月7日でしたね。

——受けて立ちます、的な?

升田 いえいえ、むしろご迷惑をかけなきゃいいなと心配なくらいで(笑)。

 

●世界観のおもしろさと絵のギャップを逆手に

——西村さん、なぜ『にゃんこ大戦争』とコラボしようと思ったんですか?

西村 選んだ理由はふたつあって、ひとつは『にゃんこ大戦争』のシュールな世界観ですね。第一印象で「いいな」と思ったんです。つぎに、ひとりのゲームユーザーとして遊んでみたら、とてもよくできていた。そこで二度惚れです。「ああ、このタイトルとコラボしたい」と自然に思いました。ケリ姫自体も“”姫が蹴る”というシュールな世界観がある。それでいて中身はしっかり作っていると自負しています。その意味でもケリ姫とにゃんこは似ている。だからきっとおもしろいコラボになると思いました。

——確かにどちらもシンプルだけど奥が深いゲームですね。戦略性も高いし、やりこみ要素も多い。でも、絵柄としてはかなり方向性が違うような印象です。コラボするにあたって、絵的には違和感が出るかも、とか、心配になりませんでしたか?

西村 とくになかったですね。それよりも「世界観がおもしろい」と惹かれてしまった。むしろ絵的にも(ギャップがあって)おもしろくなるんじゃないかと期待しました。そのままの絵を持って行っても大丈夫だし、ゲーム性の部分でおもしろいはず、と。

——最初に何から手を付けたんですか。特別ステージを作ろうとか、どのキャラを使おうとか。

西村 どのキャラを選ぶか、から始まったと思います。打ち合わせの段階で大枠は決まっていて、ステージを用意してこういう形でやりましょうというのがあって、そのつぎの日くらいからお渡しできるデータをやり取りしました。お互いに「どのキャラを出してほしい」というこだわりはなくて、出したいものを出したという感じです。にゃんこキャラの全データをいただいて、そこからコレとコレとコレを使わせてくださいね、という感じ。

升田 ポノスの内部資料で“ねこペディア”というのがあって、にゃんこのすべてが載ってるんです。制作秘話的な要素も含めて。完全に社内用の大辞典なのですが、時間もないので、そのままごっそりお渡ししました。そこから選んでくださいと(笑)。

——膨大なにゃんこの数ですよね

西村 全部で5キャラ使わせていただきました。『にゃんこ大戦争』のゲーム中で早い段階で登場するキャラクターと、開発者が個人的な好みで選んだキャラが“美脚ネコ”。あとボスとして“にゃんこのお城”を出させていただきました。“美脚ネコ”のデザインは秀逸ですよね。

——『にゃんこ大戦争』側はもちろんケリ姫をチョイス?

升田 はい。ねこをケリ姫に蹴ってもらいたい。姫がいないと始まらない(笑)。あとは主要キャラの剣士、主要敵のガウガウです。数をいっぱい出すよりも、質を上げていこうと。ほかのにゃんこ並みにグリグリ動かして進化もさせて。

——確かに『にゃんこ大戦争』でゼルの矢が飛んだり、スパイクの魔法で隕石が落ちたりするとゲーム性が変わっちゃうような……(笑)。特別ステージを作ろうとか、キャラクターをこんなふうに使いましょうとか、その辺の基本的なデザインは西村さんが提案されたんですか?

西村 私が考えたというか、最初にお会いした段階で、お互いの中にあったんですね。ステージを作りましょうとか。キャラを自由に使いましょうとか。ビジネスではなくて、どうやったらおもしろくなるかを考えていた。だから1キャラずつ貸し借りだけで終わるような感覚は最初からなかったですね。

升田 お会いする前からメールでやり取りして、こんな感じかなと思っていたことが、会ってみたら一致していた。相思相愛って感じです。メールをいただいて、ガンホーさんがポノスのある京都にいらっしゃって、そのつぎの週明けには私たちが東京(ガンホー)に行ってという感じです。やるんだったら、早いほうがいい。そのへんの考えも合致していました。

西村 そうですね。やるなら早くやろうと。

——コラボのスタートは4月26日とお聞きしましたが、最初からゴールデンウイーク企画にしようと考えていらっしゃいましたか? なる早で作ったらたまたまこの日になった?

西村 ゴールデンウイークにやらなきゃ、って意識はなかったんです。でも、最初に連絡を取り合ったときからスピード感は出ると思っていました。作り始めて、このスピード感ならユーザーの皆さんにいちばん楽しんでもらえるゴールデンウイークにできそうだなと。

——開発は東京と京都でそれぞれおやりになられた。共同作業としてこの距離は不自由しませんでしたか?

升田 なかったですね。打ち合わせの段階でやりたいこと、やるべきことは決まったので。そのイメージ通りに作るだけでした。

西村 やり方としては旧式というか……普通のメールだけでした。スカイプや電話会議でというやりとりはなかったです。お互いに自分のゲームを作って、こんなふうになったよ、と報告して……と。

——働く時間帯としてはどうなんでしょう。

西村 うちは基本的に10時から18時なんです。

升田 いっしょですね。いま初めてお伺いしましたけど(笑)。

——出会ってみたらウマがあって、意思の疎通もほぼリアルタイムだし。すごく幸せなパターンですね。もうちょっと苦労してくれないとインタビュー的には盛り上がりに欠けるぞって、こちらが困ってしまうほど順調で(笑)。

升田 いやいや、開発自体は苦労してるんですよ。もともと『にゃんこ大戦争』のヒットがこれほどとは予想していなかったので、すでに開発現場はバタバタしていたんです。そこにコラボレーションの話をいただいて、それもやりたいと。だから現場はさらにバタバタになっちゃって(笑)。だけどユーザーさんには完璧なものを遊んでいただきたいので、全スタッフの総力を注ぎました。

 

▲コラボで出会って1ヵ月だというのに、息がぴったりのおふたりです。

 

●ゲームに必要な要素がてんこ盛りの『ケリ姫スイーツ』と、
 遊んでいて迷わない『にゃんこ大戦争』

——コラボの話をいただいたときに、升田さんは『ケリ姫スイーツ』をご存知でしたか?

升田 もちろんです。リサーチの意味もあって、目立っているゲームは片っ端からやっています。姫が蹴るというコンセプトは、パッと見てわかりやすく響いてきたし、内容も知っていました。じつは蹴られたいと思っていました。もう踏んづけてもらってもいいくらいで(笑)。

——升田さんにとって『ケリ姫スイーツ』のおもしろさとは?

升田 やりこみ要素ですね。単純に蹴ってステージクリアーだったら飽きやすかったと思います。でも、クリアーだけではなくて、キャラも育てる、武器も強化できる、ステージも増えるし萌え要素もある。ケラれる兵士というシュールな笑いもあって、ゲームに必要な要素がてんこ盛りなんですね。もうゲームの教科書といっていいくらい。そして技術力がスゴイですね。キャラクターが3Dで動いたりとか。飛んでいって剣で切ってという動き。ボスの出てくる演出とか。深いところまで表現しているなと。イベント更新の頻度、ユーザーを飽きさせない仕組みも見習っていきたいです。

——升田さんの『ケリ姫スイーツ』お気に入りメンバーは?

升田 ぼくは “気持ちがいいモノ”が好きですね。つかえるかどうかというより。ケリ姫だと“侍”ですね。シュッと真横に動く。放物線からのシュッってやつを、もうすこし強くして欲しいです!(笑)

西村 うーん、次回のアップデートで(笑)。うちでも先日ケリ姫ユーザーに向けて人気投票をしてみたら、1位が“侍”でした。やりこんでるユーザーに好まれるメンバーなんでしょうね。

升田 『にゃんこ大戦争』で私がオススメするにゃんこは“キモねこ”と“美脚ねこ”です。ビジュアル的なインパクトでこのキャラを越えるアイデアはまだ出ていません。いちばんシンプルで、わかりやすくて、誰が見ても第一印象は気味が悪い(笑)。クスって笑える気味悪さ。おすすめです。侍との共通点はなさそうなんですけど……(笑)。楽しさがシンプルでわかりやすいってところかな。いろいろな要素がとか、性能が……ではなく、にゃんこであれば、パッと見てクスって笑える。侍はパッと見て気持ちいい。すぐにキャラの意味がわかるというのが共通点かも。

——西村さんにとって『にゃんこ大戦争』の魅力とは?

西村 遊んでいて迷わないところがいいですね。初心者や、絵を気にいって始めた人でも、続けられる仕組み。コンシューマゲームだと「このステージが終わったらつぎはどこか好きなところを選んでいいですよ」と自由度があったほうがいいといわれますけど、スマートフォンのゲームだと迷わせる導線がなるべく少ないほうがいいんですよ。その点『にゃんこ大戦争』は「つぎはここだよ」、「新しいにゃんこがふえたから使ったらどぉ」と、導線がちゃんと作られている。初心者が迷わないし、続けるほど強くなっていく実感もある。そこが秀逸だと思いました。

——西村さん、お気に入りのにゃんこはいますか?

西村  私が気に入ってるキャラは“ウシネコ”なんです。とにかく早い。成長すると“ネコキリン”になるキャラです。ケリ姫だと“執行者”が好きですね。360度攻撃で、コインを取ったり、近くにいる敵もやっつけられる。共通して言えるのは効率がいいキャラクターってところですね。そうそう、それと『にゃんこ大戦争』の赤い敵。これは(いい意味で)ズルイなと。赤い敵に強いにゃんこがいるので、ほかのにゃんこを使いたいのに、戦略的には赤い敵用のにゃんこも組み合わせなくちゃいけない。この戦略性はうまいなーと思いました。升田さん、あれなんで赤いんですか。シャアですか?

升田 話すと長いんですが……(笑)。

——どうぞどうぞ(笑)。

升田 岡田斗司夫さんがブログで綴った「ゴジラを赤く塗れ(http://netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/otakugaku/No6.html)」という話があるんです。フィギュアで有名な海洋堂の造形師さんたちが、初代ゴジラは何色だったんだろうと議論していたんです。ああだこうだと議論をしている時に、海洋堂の社長さんが「赤く塗れ」と言ったそうです。なぜかというと、ゴジラはアツい存在で、燃え上がるイメージだ。実際の色はどうかというより、まずは自分のイメージをぶつけろと。その話に感動したんです。

自分のゲームでも敵キャラクターで特異な存在を出したい。じゃあ赤にしようと。アザラシもサイも赤。赤く塗って思いが伝われば、なんでもいいんです。赤は強い。強いイメージを持っていたい。実際はそうでもなかったり、微妙なんですけどね。

——赤い敵と、赤い敵に強いにゃんこの相性を設定した?

升田 属性を作りたかったわけではなくて、“おっ”て思う仕掛けを作りたかったんです。白いキャラばかりだと飽きちゃう。そこで異質の存在があると“おっ”て思いますよね。赤い敵が出ると、プレイヤーとしてはキリッと引き締まる。やりたかったのはそこです。だから、それが強いかどうかは別の話なんですね。ゲームでは“三すくみ”って巷では基本だと言われますけど、そんなものはいらない。“2すくみでいいじゃん”とも思って、いや“すくみ”もいらないなと思って、一方通行にしたんです。敵から受ける攻撃でダメージが増加するんじゃなくて、一方通行的に“赤い敵に対して強い”だけ。いちばんシンプルな属性のかたちです。

——西村さん、そこまで見通せましたか?

西村 うーん……(笑)。

升田 社内的にもあんまり言わないですね。最近言いましたけど。言っとかないとなと思って。勘で作ってるわけじゃないんだよ、ちゃんと考えてるんだよって(笑)。

——今回のコラボは5月12日までで終了とのことですが、ここまで仲よくなったら、これで終わりはもったいないですね。つぎの展開は考えていらっしゃいますか。

西村 さすがにいまは今回のコラボの大詰めなので、つぎの話までは考えていません。でも、作っている段階でよくできていると思っています。特別ステージだけを見ても「1回だけではもったいない」と思っています。

升田 もう1回やりたいです。お互いのゲームを初めて知った人に遊んでもらって、盛り上げてもらえれば、会社的にもオッケーが出ますので(笑)。それ次第。でも、まずは今回のコラボを成功させることが大事だと思ってます。

 

▲コラボの第2弾は実現するのか? ふたりはガッチリと腕を組んでくれた。

 



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