レビュー
投稿日2020.11.28
監視社会の闇を描くリアリティショー
政府が建造した大きな壁によって家族が分断。再会を願う男は政府が管理するテレビ番組“ウォールショー”への参加を決断する。
本記事で紹介する『Ministry of Broadcast』は、リアリティショーに参加して壁の向こうにある自由な世界を求め奮闘する横スクロールアクションゲーム。
政府と番組の裏に潜む陰謀を暴き愛する家族の元に帰ることはできるのか。
複雑に絡み合う自由への道を突破し、世界の真実をその目を確かめよう。
ゲームの見どころ
●放送事故まったなし!! 命がけのリアリティショー
●難しいけどクセになる多彩な仕掛けとリトライ要素
放送事故まったなし!! 命がけのリアリティショー
本作は2つの作品に大きな影響を受けている。
その1つがディストピア世界における監視社会を描いた作家ジョージ・オーウェルの『1984年』だと言われている。
巨大な壁によって分断された管理国家、そこで自由を勝ち取り家族との再会を果たすため、赤毛の主人公が政府主催のテレビ番組“ウォールショー”に挑む。
政府によって自由を奪われた社会とそれく翻弄される市民など、多大なインスピレーションを受けていることが随所から感じ取れる。
リアリティショーへの参加を決めた市民たち。
ライバル関係にある彼らを利用し蹴落としていくことも家族と再会するためには欠かせないポイントだ。
触れれば命を落とす危険な針山に彼らの亡骸を並べて足場にしたり、凶暴な番犬の気を引くためのエサにしたりと、残酷だが手段を選んでいる余裕はない。
また、政府主催のリアリティショーだが過激なシーンはNG。
参加者たちの死はゲームという大人の事情で問題ないがプレイヤーに関しては別の話だ。
命を落とせば放送が中断、ノイズ混じりの映像のまま放送事故として処理されてしまう。
ディストピアという空想的でユーモアのある未来、残酷である以上にシュールな演出がこのリアリティショーの魅力なのだ。
難しいけどクセになる多彩な仕掛けとリトライ要素
本作に大きな影響を与えたとされるもう1つの要素。
それが『プリンス・オブ・ペルシャ』や『Oddworld:Abe’s Exoddus』といった横スクロールアクションゲームだ。
キャラクターの細かなモーションや繊細なアクションは、確かにそれら過去の名作を連想させる懐かしい体験である。
バーチャルパッドを使った操作にはクセがあり、思い通りにならずイライラしてしまうこともある。
これに関してはもともとPCやニンテンドースイッチなどでリリースされていたもののアプリ版なので許容範囲。
ゲームオーバーになっても直近のポイントからリトライできるので、何度か遊んでいれば馴染んでくるだろう。
なお、アプリ版は序盤のみ無料。
最後まで遊ぶには860円(2020年11月4日現在)の完全版が必要だ。
1500円前後するPCやニンテンドースイッチ版に比べればリーズナブル。
まずは無料版で操作性を確認し、問題がなく本作に興味が湧いたらアプリ版の購入を検討するのもいいだろう。
P.N.深津庵
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