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いよいよ配信間近！ 2023年6月28日に配信が予定されているDeNAの新作スマホ向けRPG『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』。 本作は、DeNAとバンダイナムコフィルムワークスによるメディアミックスプロジェクト『takt op.（タクトオーパス）』の一環としてリリースされるゲームだ。 本記事では、配信を間近に控えた本作の世界設定を改めて紹介するとともに、作中に登場する“ムジカート”の元となった楽曲の紹介を行っていく。 なお、ゲームのシステム部分については2022年12月に公開された先行プレイ記事があるので、こちらも確認してほしい。 音楽が物語の軸となる『タクトオーパス』の世界 本プロジェクトは『サクラ大戦』や『天外魔境』、『魔動王グランゾート』などの名作を生み出した広井王子氏が原作を手掛けており、現実世界をベースに音楽を軸とした物語が展開する。 『タクトオーパス』の世界では西暦2020年ごろに“黒夜隕鉄”なる物体が流星とともに飛来したとされ、そこから出現する“D2（ディーツー）”という存在によって人類は危機に瀕している。 ▲DespairDolls（絶望の人形）の頭文字を取ってD2と呼ばれる異形の存在はあらゆる音楽を忌み嫌い、それを奏でる人類を襲う。 この脅威に立ち向かうのが、人間を素体にして生み出された対D2用兵器“ムジカート”だ。 D2の殲滅と人類の救済を担う組織・シンフォニカにより生み出されたムジカートたちは、音楽に反応する不思議な鉱石・ハルモニア鉱石を用い、音楽を力にして戦う。 ムジカートとなった人間はそれまでの記憶を失い、また年齢を重ねることもなくなる。人間としての自分を捨て、兵器となるのだ。 ▲キービジュアルに描かれている木星（左上）、カルメン（左下）、運命（中央）、きらきら星変奏曲（右上）、ワルキューレ（右下）のように、ムジカートたちはその身に宿す楽譜（スコア）の名を冠している。 ムジカートは単体でも高い能力を持つが、その力を最大限まで引き出すのが、ムジカートとともに最前線に立って戦闘の指揮を執る“コンダクター”たち。 本作の主人公である朝雛タクトもこのコンダクターのひとりだ。 ▲画像は公式HPより。タクトのビジュアルはゲーム版とテレビアニメ版とで若干ビジュアルが変化している。 『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』では、主人公こそテレビアニメ版と同じではあるが、作中で描かれるのはそこから20年が経過した後の世界。 とは言えタクトは過去の記憶を失った状態で物語の幕が上がるため、本作の世界に関する説明などは序盤にひと通り行われる。アニメを知っていればより楽しめるが、ゲームから触れるかたちでも問題はない。 アニメについては各種動画サイトにて配信も行われているので、物語が気になる場合はゲームのリリース前に見ておくのもいいだろう。 ▲画像は先行プレイ記事より。タクトのパートナーを務めるムジカート・運命は、姿や声がテレビアニメ版のラストで描かれたものに変化している。 20年の眠りから覚めた朝雛タクトが再びムジカートたちの指揮を執り、D2たちとの戦いに赴く様子を描く本作。 クラシック楽曲をモチーフにしているということもあり、各ムジカートの元となった楽曲が収録されているのも特徴的だ。 ゲームに収録されている楽曲はピアニストのまらしぃさんによってアレンジされており、ゲーム性や物語はもちろん、音楽的な面からも楽しめる作品となっている。 各楽曲はゲーム公式サイトやYouTubeの公式チャンネルで確認できるので、ぜひとも一度聞いてみてほしい。とくにYouTubeでは“takt op. Sound Track”と題したプレイリストが公開されており、20曲以上のBGMが堪能できるので要チェックだ。 【ゲーム公式ホームページはこちら】 【YouTube公式チャンネルはこちら】 楽曲を知ればもっと楽しい『タクトオーパス』 以下では、本作に登場するムジカートから5名をピックアップし、その元となった楽曲にまつわるエピソードなどを紹介していく。今回ピックアップしたのは、運命、木星、ボレロ、アルルの女、そしてラ・カンパネラだ。 各項目の最初にYouTube公式チャンネルにて公開されている『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』での楽曲を掲載するので、ぜひ音楽に耳を傾けながら目を通してみてほしい。 楽曲について知っておけば、ムジカートたちのデザインやキャラクター性についての考察がより深まる、かもしれない。 交響曲第5番 ハ短調Op.67 “運命” “ジャジャジャジャーン”の音で始まるこの曲は、クラシックに詳しくない人であっても一発でそれとわかるほどに有名だ。 “運命”という名は作曲家であるベートーヴェン自身の命名ではなく、あくまでも通称。 彼が秘書のシンドラーに「運命はこのように扉を叩く」と語ったことが由来という説が有名だが、その真偽は定かではないとされている。 いまでこそクラシック音楽のなかでももっとも有名な曲のひとつに挙げられる運命だが、初めて演奏された際の評判は芳しくなかったという。 初演が行われた日は冷え込んだうえに劇場には暖房もなく、観客は寒さに耐えながら演奏を聞くこととなった。おまけにプログラムは全体で4時間を超える長丁場だ。 さらに、プログラム内で予定されていたアリア（独唱曲）は予定していた歌手が急遽出演をキャンセル。代役を務めた新人歌手も緊張のあまり歌えるような状態ではなくなり、アリアは割愛されてしまう。 おまけにコンサートのフィナーレでは演奏の途中で初めからやり直しになるなど、なかなかに散々な内容だったようで、楽曲以外の部分で評価が伸び悩んだようだ。 立ち上がりが上手くいかなかったことはタクトと出会ったころの運命がコミュニケーションに難儀していたことを思わせるが、ゲームではどのようなやり取りが見られるのかも気になるところだ。 組曲“惑星”Op.32より第4曲“木星” 平原綾香さんのデビュー曲“Jupiter”にその旋律が使われたことでも有名なのが、ホルストの管弦楽組曲“惑星”全7曲のど真ん中に位置する第4曲の“木星”。こちらも運命と並んでクラシックに詳しくなくとも耳に覚えがある曲だろう。 この組曲は太陽系の星々をモチーフにしたものであるが、天文学的な視点というよりは、ホルストが興味を持っていた占星術の視点で作られたものだという。 一方でムジカートとしての木星を見ると、スカートの裏地に惑星としての木星に見られるような模様があしらわれている。 楽曲が象徴的な星を扱ったのに対し、実際の星そのものをデザインに取り入れているのはおもしろい。 木星などの楽曲が作られたのは1914年から1916年にかけて。冥王星が発見されたのはその約15年後である1930年なので、組曲としての惑星に冥王星は含まれていない。 ホルストの没後、2000年にイギリスのコリン・マシューズが“冥王星―再生する者”という楽曲を制作しているが、知っての通り冥王星は2006年に惑星の枠からは除外されてしまった。冥王星を含めた組曲“惑星”はある意味で幻の完全版とも言えるだろう。 ところで、マシューズが“再生する者”と副題を付けているのは、ホルストが作った7曲についても副題が付いていたため。それぞれの副題は以下の通りだ。 ・火星―戦いをもたらす者 ・金星―平和をもたらす者 ・水星―翼を持つ使者 ・木星―歓喜をもたらす者 ・土星―老いをもたらす者 ・天王星―魔術師 ・海王星―神秘主義者 7曲のなかでも有名度が高いだけに木星の登場は納得だが、ほかの6曲（あるいは冥王星を含めた7曲）がムジカートとして登場するのかどうかも興味深い。 “ボレロ” ボレロ、と言えばスペインの民族舞踊を指す言葉でもあるが、それと同じくフランスの作曲家・ラヴェルのバレエ楽曲の名としても有名だ。 この曲はひとつのリズムとふたつのメロディという、非常にシンプルな要素で構成されている。 小太鼓が参加する場合には全340小節のうち、最後の2小節を除く338小節は同じリズムで叩くことになるというから驚きだ。 また、楽曲は全体を通してひとつのクレッシェンドになっており、音が次第に強くなっていくのも特徴的。 これらを踏まえてムジカートのボレロを見てみると、黒と青の2色を基調とした装いはふたつのメロディを、腰から伸びるドレスめいた布は同じリズムをくり返しながら調子を強くしていく構成を表現している、とも解釈できそうだ。 なお、楽曲としてのボレロは運命のように初演でアレなことにはならなかったようだが、その演奏を聞いたひとりの婦人が「この作曲者は狂っている！」と叫び、それに対してラヴェルが「彼女はこの曲を正しく理解している」と応えた、という逸話もあるとされている。 本作の公式HPにある紹介文によれば、ムジカートのボレロは感情に支配されることを嫌い、マイペースに振る舞うキャラクターとして描かれるようだ。 もしかすると、そこにもある種の狂気が見える……、かもしれない。 “アルルの女” フランスの作曲家・ビゼーの手によって作られたアルルの女は、元々は同名の短編小説、および同作に基づく戯曲のため、1872年に作曲された付随音楽（映画で言うところの劇伴）だ。現在知られているのはその全27曲のなかから編曲されたもの。 小説や戯曲で描かれる“アルルの女”は、かなりかいつまんで書くと以下のような内容だ。 南フランスに住む農家の青年・フレデリは、プロヴァンス地方にあるアルルの町を訪れた際に闘牛場で見かけた女性に心を奪われ、許嫁がいるにも関わらずそのアルルの女に恋焦がれてしまう。 許嫁の一途な想いもあり、アルルの女を振り切ったかに思えたフレデリ。しかし許嫁との結婚式が開かれた夜、アルルの女が別の男と駆け落ちすることを知った彼は、嫉妬に狂ったあまりその身を投げて命を絶つ。 本作で登場するアルルの女の明るさとは裏腹に、なかなかショッキングな物語だ。 そして奇妙なことに、フレデリをはじめとした登場人物には名が与えられているのに対し、彼が心を奪われたアルルの女は名前も出てこなければ、戯曲でも舞台の上に姿を現すことはない。その謎がより興味を引き立てる存在だ。 なお、舞台となったアルルの町は実在しており、いまでも毎年7月の第一日曜日には“衣装祭”で賑わうという。 衣装祭では3年ごとに“アルルの女王”が選出され、2017年にも新たな女王が選ばれている。 順当にいけばそのつぎは2020年、そしてこの2023年には本作のリリース直後に……、と思いきやコロナ禍の影響もあってか、2017年の後に女王が選ばれたのは2021年。 次期女王の選出は2024年に予定されており、惜しくも本作のリリースとタイミングが重なることはなかった。 “パガニーニによる大練習曲”第3番 嬰ト短調“ラ・カンパネラ” 音楽史上最高のピアニストとも称されるハンガリー出身のフランツ・リスト。彼の代表的作品のひとつとなるのが、鐘を意味するラ・カンパネラだ。 楽曲自体の知名度もさることながら、リスト自身も多くの逸話を持っており、どれもおもしろい内容になっている。 たとえば演奏が上手すぎて指が6本ある疑惑が出る、どんな曲でも初見で完璧に弾ける、はたまたステージでの華麗な姿に熱狂した婦人が失神した、などなど笑ってしまうほどのエピソードがあり、彼は言わばスーパーアイドル的存在だったようだ。 ムジカートとしてのラ・カンパネラは、まさに鐘を身にまとうような装いで、スカートも正面から見ると鐘の形になっている。 公式HPのプロフィールには“だいたいのことが見よう見まねでできてしまう”との記述があり、アイドリッシュな雰囲気と合わせてリスト自身の特徴も取り入れているように見える。 ▲正面からの絵を見るとスカート自体のシルエットも鐘の形になっているのがわかる。 ちなみに、リストの作品でラ・カンパネラを扱ったものは4曲存在する。 本作で扱われているのは“パガニーニによる大練習曲”に含まれるものだが、これは元々は“パガニーニによる超絶技巧練習曲”という作品だった。 しかし超絶技巧という名前からもわかる通りその難度は極度に高く、複数のピアニストから“演奏不可能”と評されるほど。 その超絶高難度の楽曲を常人でも弾けるように改定されたのが、“パガニーニによる大練習曲”というわけだ。 ピアノの魔術師とまで呼ばれた喝采を浴びたリストのように、「シャワーを浴びるように褒められたい！」と元気よく語るセリフのあるムジカートのラ・カンパネラ。彼女がどのような活躍を見せてくれるのかも楽しみだ。 音楽から楽しむも、楽しんで音楽に触れるもよし！ 音楽を題材にし、作中でもまらしぃさんによってアレンジされた魅力的な楽曲が多数展開する『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』。 RPGとしてのゲーム性、キャラクターたちのビジュアルや内面、声といった定番の要素に加えてそれぞれの楽曲という個性が味わえるのも本作の醍醐味だろう。 好きな曲からキャラクターに目を留めるもよし、逆に好みのキャラクターから元となった楽曲に興味を持つのもよしと、ほかの作品とはまた違った方向から楽しめる作品だ。 筆者は本稿を書くにあたって本などで調べるまで、クラシックの知識がまったくと言っていいほどなかった。 しかし曲について調べたうえで見ると、たとえば同じ作曲家の楽譜を宿したムジカート同士では何か絡みがあるのかなど、それまでは気にしていなかった部分にも興味が湧いてくる。その点でも配信が楽しみだ。 なお、過去に行われた公式番組“takt op.情報局”では各回で発表されたムジカートのデザインや楽曲に関する制作陣のコメントも公開されている。プレイ前にチェックしてみるのもおもしろいだろう。 【公式配信一覧はこちら（YouTube公式チャンネル）】

対応機種	iOS／Android
価格	無料（アプリ内課金あり）

ジャンル	RPG
メーカー	DeNA
公式サイト	https://takt-op.jp/
公式Twitter	https://twitter.com/takt_op
配信日	配信終了
コピーライト	©DeNA/takt op. game partners