『ヘブンバーンズレッド』国産オリジナルIPをセールスランキング1位に押し上げたマーケティング戦略とは【CEDEC 2022】

2022-08-25 15:27 投稿

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ヘブンバーンズレッド

キーワードは「最上の、切なさを。」

2022年8月24日に開催された、コンピュータエンターテインメント開発者向けイベント“CEDEC 2022”。

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本イベントでは、ゲームを中心とする開発者や関連事業者などに向けた講演が数多く実施される。

参加者は、さまざまな開発分野や配信形式に分かれたセッションを選んで聴講することが可能だ。

そんな“CEDEC2022”にて、Wright Flyer StudiosとKeyのタッグによってリリースされた『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)のマーケティングに関するセッションが実施された。

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本記事では、8月24日に行われたセッション“ヘブンバーンズレッド「最上の、切なさを。」伝えるマーケティング”の内容をまとめてお届けしていく。

 広めるマーケティングと深めるマーケティングを両立

講演でスピーカーを務めたのは、Wright Flyer Studios Marketing部部長の小泉義英氏。同じくMarketing部に所属する五十嵐美里氏とともに、『ヘブバン』のマーケティング展開などが語られた。

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まず、小泉氏はセッションの前提として、現在のスマホゲーム市場はレッドオーシャンであることを参加者全体に共有。

そのうえでリリース前からのマーケティングが重要であると話し、リリースの半年前となる2021年8月の時点から、おもに公式生放送や動画公開に注力していたことを明かした。

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ちなみに『ヘブバン』は2022年2月10日にリリースされたRPG作品で、代表作に『AIR』や『CLANNAD』を持つ麻枝准氏がメインシナリオ、音楽プロデュースを務めている。またキャラクターデザインには『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』や『アズールレーン』などを手掛けたゆーげん氏が担当。

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そんな本作を売り出すにあたり、マーケティング部はiOSの日本セールスランキングで1位を獲得したゲームアプリを徹底的に調査。

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その結果、国産オリジナルIPで1位を獲得したタイトルは2018年を最後にリリースされておらず、『ヘブバン』のようなが作品が1位となることは非常に困難だということが判明したとのこと。

しかし実際には、『ヘブバン』はリリース後にランキングで1位を達成している。

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では、どのようにして『ヘブバン』は1位を獲得したのだろうか? その秘訣は、ターゲット設定だという。

マーケティング部が『ヘブバン』の第1のターゲットとして設定したのは、麻枝氏のファンはもちろん、アニメが好きなユーザー全般。加えて、より深く作品を好きになってくれる層にリーチするべく、インストール数よりもプレイの継続率を優先してターゲット設定を構成したそうだ。

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ちなみに、その際に設定したKPI(重要業績評価指標)は、プレイヤーの自然流入と広告経由をそれぞれ分けて、初月に必要となるインストール数で設定したという。

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つぎの戦略としてマーケティング部は、USP(Unique Selling Proposition)と呼ばれる作品の売りを分析。

『ヘブバン』は美少女が戦う世界観であるものの、そういった作品はありふれており、USPにはなりえないと判断されたとのこと。

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そこでUSPの見直しを図ったところ、麻枝氏が描く切ないストーリーや、ゆーげん氏の淡いタッチによって描かれるキャラクターを活かした“キャラクターへの感情移入”や“明暗のギャップに富んだ切ない物語”をUSPの核に据えることになったという。

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そうして生まれたのが“「最上の、切なさを。」”というタグラインだという。

ちなみにタグラインとは、企業や製品のコンセプトを提示したもので「この商品はこんなものを提供していく」という約束に似た意味合いが強い言葉。宣伝用に作られるキャッチコピーは宣伝の目的によって変化していくが、タグラインは製品の根幹を担うことになるため基本的に不変のものとなる。

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マーケティング部は、こうして誕生した“「最上の、切なさを。」”というタグラインをより広く認知してもらうため、タイトルロゴと並べるなど、多くの面で表現・露出するように図ったという。

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加えてタレント起用のテレビCMから、ホロライブ所属タレントによる生配信、声優の中村悠一さんが出演するYouTubeチャンネルとのタイアップ、公式Twitter運用など、認知度を広げるためのデジタルマーケティングも広く実施された。

 
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また認知度を広げるだけでなく、ファンコミュニティからの信頼を深めるため、定期的な生放送を中心にゲーム情報を公開。そして放送後には、コーナーごとの切り抜き動画をアップロードなどの施策も行われた。これにより、リリース前の時点で制作された動画数は79本に達していたそうだ。

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このように『ヘブバン』ではリリース前から認知拡大を徹底し、USPの再設定から生まれた“「最上の、切なさを。」”というタグラインを軸に据えてマーケティングを行ったことで、国産オリジナルIPをストアランキング1位に押し上げるという2018年来の快挙を達成したのだ。

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リリース前からの動きに関して語られたことは以上となるが、現在マーケティング部は「『ヘブバン』の一般認知はまだ低い」と捉えており、認知層を拡大するためにマヂカルラブリーの野田クリスタルさんを起用したCMを制作するなど、引き続きさまざまな施策を行っているという。

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ヘブンバーンズレッド

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルRPG
メーカーライトフライヤースタジオ
公式サイトhttps://heaven-burns-red.com/
公式Twitterhttps://twitter.com/heavenburnsred
配信日配信中
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