複雑に入り組む断片的な映像に秘められた真の物語を読み解く短編ホラー『Paratopic』【Steamハック:第15回】
2021-08-05 14:15 投稿
スマッシュカットが描く不可解な世界へ
密輸の容疑で連行され尋問を受けていたかと思えば、ダイナーで何者かと会話するシーンに切り換わったりと目まぐるしくシチュエーションが変化。
クリーチャーまで飛び出す奇妙な世界は夢かそれとも……。
Steamハック:第15回目の今回紹介する『Paratopic』は、断片的に描かれる世界を探索し、パズルのピースを組み合わせていくように物語を推理していく1人称視点の短編ホラーアドベンチャーだ。
巧妙に仕組まれた映像の意味をキミは理解できるか!?
ゲームの見どころ
●思考を刺激するスマッシュカット演出
●考察ヒント! 俯瞰して追いかける物語
思考を刺激するスマッシュカット演出
本作は捜査官もしくは審問官らしき男からの尋問を受けるシーンから始まり、ダイナーで拳銃に弾を装填するシーン、同業者らしき男に密輸を依頼されるシーンと、繋がりのない映像が次々と切り換わる“スマッシュカット”という手法で物語が展開。
初代プレイステーションを連想させるビジュアルはどこか懐かしくも不気味な世界観を作り出している。
物騒なやり取りをしているかと思ったら、優雅にドライブやバードウォッチングをし始めるなど、プレイヤーは断片的な情報の中を説明もなくさまよっていく。
理解が追いつかない自分がおかしいのか
一瞬戸惑ってしまうけど、それが本作の醍醐味でもある。
目に映るわずかな情報から自分の置かれている状況を推察し、さまざまな仮説を立てながら目的を探っていく。
たとえば、映画『シャイニング』や『パルプ・フィクション』などもこのスマッシュカットという手法を使った作品の1つ。
観ている人の興味を引くこの手法は本作でも抜群の効果を発揮しているのだ。
考察ヒント! 俯瞰して追いかける物語
本作の特性上、クリアーしてもなお物語が理解できないという人も多い。
そこで注目してほしいのが“同じようで異なる瞬間”。
つまり、シーンの切り換わりが単に時系列を前後させているのではなく、“別人の視点”を描いているということだ。
たとえば、密輸を行う人物が単身であるのに対して、ガソリンスタンドに立ち寄るシーンで店主はプレイヤーに対して“お2人さん”と呼びかける。
それ以外にもドライブシーンで助手席の“拳銃”と“密輸品の箱”が視点を送るタイミングで出たり消えたりもするのもその1つだろう。
シーンの切り換わりが別人の視点になったとことを示す合図だと考えれば物語の本質が徐々に見えてくる。
本作が伝えようとしたものは何だったのか。
登場人物を洗い出し、みんなで考察したくなるおもしろい短編ホラーだ。
P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
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