9人の少女の物語は“再生産”され、完全新作へ――現在公開中の『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』をレビュー

2021-06-14 11:06 投稿

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少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-

TVアニメ、『ロンド・ロンド・ロンド』、そして完全新作劇場版へ

ブシロードが展開するメディアミックスプロジェクト『少女☆歌劇レヴュースタァライト』の完全新作劇場作品『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』が6月4日から公開されている。

本作は、ミュージカルとアニメーションでの二層展開として、2017年にプロジェクトがスタート。同年に先行してミュージカルが上演され、各キャラクターを演じる声優陣がそのまま舞台でも出演するという形で展開している。

2018年にはアプリゲーム『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』が配信され、主要メンバーを演じる9名が“スタァライト九九組”というユニットで様々なフェスに参加したり、単独ライブを行うなどの音楽活動も展開している。

テレビアニメは2018年の7月~9月にかけて放映され、2020年7月にはテレビアニメに新作カットを多数加えて“再生産”した総集編劇場作品『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』が公開。エンドロール終了後に特報が発表されたのが、現在公開中の『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』だ。

本稿では、この新作劇場版のレビューを掲載。一部ネタバレも含むので、前情報なく作品を楽しみたい方はご注意いただきたい。

⇒『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』公式サイトはこちら

終わったはずの舞台が再び……

まず前作の話からすると、『ロンド・ロンド・ロンド』はテレビ版に新作カットを加えた総集編で、ストーリーテラーとなっているのは、主要メンバーの1人である大場ななだった。

“レヴューオーディション”で一度優勝し、それ以降の第99回聖翔祭“スタァライト”の上演までの日々をループさせていたキーマンである。ところが神楽ひかりの登場と主人公愛城華恋の活躍によって流れが変わる。

『ロンド・ロンド・ロンド』は、主に神楽ひかりと愛城華恋の2人にスポットを当てつつも、大場ななの視点で、観客と一緒に本編を振り返っているような演出だ。

そして、物語の最後に追加されたシーンを見ると、現在公開中の劇場版へのブリッジになっていることがわかる。余裕があれば『ロンド・ロンド・ロンド』を観ておくと、今回の新作もより深く楽しめるだろう。

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今回の完全新作である『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の冒頭では主要メンバーらは実生活にて3年生となっており、先輩として下級生への指導を行う日々を送っている。

卒業後は劇団への入団や進学などを新たな舞台へのチャレンジに向けて動き始め、神楽ひかりは既に自主退学をして、かつて過ごしていたイギリスへ。そんな中、愛城華恋はいまだに進路が決めらない。

序盤では、幼少の頃の神楽ひかりと愛城華恋の2人の出会いと別れ、2人で同じ舞台に立つという目標のために演劇への研鑽を積む日々が描かれる。愛城華恋の舞台にかける強い思いや、挫折を経験し、どこか陰のある頑なさを持つようになった経緯が明かされ、2人の関係性が補完される内容だ。

 
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一方、かつて“レヴューオーディション”を通して、それぞれが抱えていた問題と向き合い、一旦は決着のついた各メンバー。卒業後の進路という岐路に立ち、それぞれが期待と不安を抱く中、新たな舞台“ワイルドスクリーンバロック”が幕を開く。

新たなステージが始まると、そこに立つのは愛城華恋と神楽ひかりを除いた7人。かつてのオーディションで敗北し、トップスターになることができなかったメンバーたちだ。

淡々とした日常から一転して、激しい殺陣シーンでいよいよ物語が動き出す。ここでも異彩を放つのが、かつての優勝経験者大場ななだ。1対6という状況の中で全員のボタンを落として、本編でも見せた圧倒的強者感は健在。この舞台を知っているかのような意味深な口ぶりで、またもやトリックスター的な立ち回りを見せている。

 
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次の物語を望むのは舞台少女か?観客か?

中盤から後半にかけてはテレビアニメと同じく繋がりの深いペア同士のバトルシーンが展開。トップバッターを飾る石動双葉と花柳香子の2人だ。

主人の愛城華恋と神楽ひかりと同じく幼馴染という設定だが、互いに違う道で舞台を目指している2人とは対照的に、これまではずっとお互いの傍にいたいという思いが強かった。

今回花柳香子に追いつこうと違う道を目指す石動双葉と、勝手に進路を決めたことに嫉妬する花柳香子のバトルが勃発。二人の関係が変わる瞬間に注目だ。

 
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一方、神楽ひかりは露崎まひると戦うことになる。

テレビアニメでは愛城華恋と彼女への気持ちが暴走する露崎まひるの対決だったが、今回は神楽ひかりへ嫉妬心をぶつける露崎まひるの戦いだ。クライマックスで見せる狂気に満ちた露崎まひるの表情と口調にはゾクゾクさせられた。

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さらに、星見純那と大場なな、天堂真矢と西條クロディーヌのバトルも行われ、全体の約半分は舞台が展開されるド派手なシーンの連続だ。

 
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そして、愛城華恋と、かつて孤独の舞台から助け出された神楽ひかりの舞台。最後に仕掛けられた舞台装置は、まるで見ている我々が操られているかのような錯覚に陥ってしまう。

本作が謳っている“ワイルドスクリーンバロック”とは、SF用語の“ワイドスクリーンバロック”をもじったもの。ワイドスクリーンバロックというのは「時間と空間を手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄」という内容の物語を指す。

本作もまさにこれで、観られている側と観ている側が、見せている側と魅入(みせ)らている関係性になり、大げさな話だがアニメと2.5次元の舞台という二層展開すら、この仕掛けの一部であるように感じられ、まさに手玉に取られたかのような感覚にゾクリとさせられた。

 
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メインカット「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」

テレビアニメから続いてきたストーリーは一区切りとなるが、観客が望む限り、少女たちは次の舞台を見せるという力強いメッセージが込められているように感じた。まだまだ明かされていない作品の謎も多く、今後、続編が制作されるのかどうかも気になるところだが……まずは9人の舞台少女たちの物語の結末を見届けて、今後の展開にも期待しよう。

(C)Project Revue Starlight

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』公式サイトはこちら

少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-

対応機種iOS/Android
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メーカーブシロード
公式サイトhttps://revuestarlight.bushimo.jp/preregistration/
公式Twitterhttps://twitter.com/starlightReLIVE
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