老夫婦は何を想う? 『終焉介護 The Caregiver』終わりゆく生に忍び寄る悍ましくも悲しい介護の物語【Steamハック:第7回】

2021-04-09 12:58 投稿

その襖開けるべからず

老人ホーム“ひといき”に勤務する富田咲千江は訪問介護のため、近隣に住む古賀宗一の家を訪れる。

“ある種の緊急事態”が起こっている、宗一の娘からそう聞かされていた咲千江は予想だにしない光景を目の当たりにするのだが……。

Steamハック第7回の今回は、2021年4月3日にリリースされたばかりのホラーゲーム『終焉介護 The Caregiver』を紹介する。

本作はインディーズホラー『赤マント』や『夜勤事件』などで知られるChilla’s Artが手掛ける待望の新作。

ホームヘルパーの身に降りかかる恐怖、そして宗一の身に迫る最悪の事態を紐解いていこう。

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ゲームの見どころ
●家族はどこへ? 家にひとり残された老人の奇行
●原点回帰!? 良くも悪くもChilla’s Artクオリティ

家族はどこへ? 家にひとり残された老人の奇行

本作は富田咲千江と倉本直海、ふたりのホームヘルパー目線で展開。問題の家、古賀邸を中心に介護とはかけ離れた奇妙な出来ごとに直面していく。

回収したアイテムをTABキーで選択し、使用したい場所にカーソルを合わせて左クリックで実行する。

ダッシュやしゃがむといったアクションはあるが、できる操作はとても少なくシンプルで遊びやすい。

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開始早々、異臭を放つ屋内に最悪の事態が脳裏をよぎるが宗一は健在。

言葉を話せず失禁をしているがプレイヤーはホームヘルパー。やるべきこともわかっているし驚くようなこともない。

ホラーゲームとはどこか違う、そんな雰囲気すら感じるのだが宗一の奇行に奇妙な違和感を覚えていく。

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離れや裏庭の倉庫など探索できる範囲は想像してい以上に広い。

もし、序盤で迷うことがあるとすれば、ゴミをかき分け現れる2階への階段を発見できるかどうかだ。

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そこら中に放置されたゴミの中で、唯一回収できるポイントがある。

薄暗くてわかりにくいが“どうしてこれだけ”と不思議に感じるはずだ。

その直感を信じて歩を進めれば、開けてはいけない禁断の部屋にたどり着く。

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何かを知り怯える咲千江は出社を拒否、宗一の介護は後輩の直海に託される。

そこで思い出す、本作がChilla’s Artの“ホラーゲーム”であることを……。

変貌する先輩とそれをあんずる彼女の身に降りかかる奇妙な事象。

ゾクッとする展開はもちろん、思わず笑ってしまうシュールなイベントも発生する。

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誰が何を求め介護をするのか

倉本邸には想像もしていなかった現実とひと言では言い表せない思想が渦巻いている。

その答えを求めて宗一と消えた家族の行方を追っていこう。

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原点回帰!? 良くも悪くもChilla’s Artクオリティ

本作をプレイした最初の印象は『怨霊』や『事故物件』といった、同デベロッパーを世間に知らしめた薄気味悪い空間が帰ってきたという感覚だ。

ガチガチのホラーゲームとは言い切れず、どっち付かずなアプローチが目立ちはするが、それでも本来得意としていた“劣化したVHS画質”テイストの不気味な映像とフィールドワークを楽しめた。

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ただし、ファンのあいだでは以前から言われている“バグの多さ”は本作も同様。誰もが起こすであろう行動の先にすらスタックしかねないバグ(2021年4月4日現在)もある。

また、支援者をゲーム内に登場させるイースターエッグ的な要素も昨今の特徴。

本作ではトレーディングカードのような隠しアイテムとして点在しているのだが、個人的には世界観とあまりにもミスマッチで残念なものだと感じた。

支援者にどこまで傾注するのか、ホラー感を損なう結果を支援者は望んでいるのか。

今後のChilla’s Art作品にも注目していきたい。

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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

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