XMアノマリーは終わらない!! 『Ingress』サブスクの狙いと今後の展開を聞いてみた

2021-02-16 22:31 投稿

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Ingress Prime(イングレス プライム)

期待が膨らむ2021年のイン活

Nianticが提供する位置情報ゲーム『Ingress』にサブスクリプション“C.O.R.E”が導入された。

そのサービスの一環として、これまで揺らぐことがなかったインベントリ数の上限がアップ。初期から知るエージェントにとっては思いがけないサービスになっていることだろう。

そこで本記事ではサブスクリプションを導入した経緯と狙い。

さらに、いまだ続くコロナの影響で停止しているXMアノマリーがどうなっていくのか。

フリーライターの深津庵がプロデューサーのブライアン・ローズ氏、マーケティングマネージャーの山崎富美氏に聞いてきた。

最初にひと言

“XMアノマリーは進化する”

それでは、ごゆるりとインタビューの内容をお楽しみください。

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AGが待ち望んだポータルヒストリーの実装へ

――世界中のポータル状況を把握できるインテルマップに、ポータルヒストリーという機能を実装されました。なぜ“いま”実装を行ったのでしょうか?

ブライアン・ローズ氏(以下、ブライアン)ポータルヒストリーを実装するにあたり、我々が前提にしたのはAGのみなさんが“いちばん欲しいものは何か”ということ。そして“開発陣が提供したい”と考えている要素をマッチングさせることでした。

――ここまで大規模なインテルマップのアップデートは珍しい。長らくこうした機能を待ち望んでいたAGも多いと思いますが、実装するまでにはどれくらいの期間を費やしたのでしょうか?

ブライアン このポータルヒストリーに限らず我々は現在、2週間のスプリントを行い、できるだけ早くAGに提供することを目標にしています。ローンチまでの期間は短いですが、まずはみなさんに触れていただき、AGから寄せられる声を参考に改善を行う。それが『Ingress』を育てていく大切なポイントだと考えています。

――未完成のままのローンチ、そう受け取る方もいると思います。それでもスピード感を重視するのはなぜでしょう?

ブライアン 何ヵ月、何年も費やして開発する方法もありますが、現在の『Ingress』チームの開発環境としては提供する頻度を高め、そのぶん多くのフィードバックをみなさんから得たい。そうすることで、AGがいま何を求めているのかを早期に学び、正しいものに開発の舵を切っていけると考えているからです。

――ポータルヒストリーのアプリ(訂正:正しくはスキャナ内で利用可能)がリリースされるというお話も伺っていますが?

ブライアン はい、問題がなければですが明日2月17日(取材は2/16に実施)にリリース予定です。ぜひ、多くの方に触れていただき、その手応えや改善点をフィードバックしてもらえるとうれしいですね。

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▲『Ingress』は開発に協力的なユーザーに恵まれているとブライアン氏。今回のインタビュー中もその関係性に感謝していることをくり返し伝える場面が印象的だった。

ポータルヒストリーの公式アナウンスはこちら

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AGの声をより近くで聞くためのサブスク

――ポータルヒストリーに続いてサブスクリプション“C.O.R.E”を実装。この展開の早さもそうした理由からだったんですね。

ブライアン その通りです。また、このローンチ順にも大きな理由があるんです。サブスクリプションの実装を先行した場合、その後発表するものが紐付いているというメンタルモデルを連想してしまう。そこでまず、みなさんがいちばん欲しいと考えていたものを実装したわけです。インベントリの最大数を拡大。インテルマップ上でインベントリの中身を確認できるなど、サブスクリプションに加入されている方だけの特典もありますが、我々が重要視しているのはそのバランスなんです。

――加入の有無を問わず基本的な体験は従来のまま。スプーフィングに関連するものの優先度が増すなど、もう1歩踏み込んだサービスを得られるのが“C.O.R.E”だと。

ブライアン まず、ヴァンガードプログラム(Nianticやグローバルコミュニティと協力してフィードバックを行い、よりよい環境構築に協力するAG)をはじめとするみなさんからの報告を優先的に確認しています。そこにサブスクリプション加入者も加わることで、同様の優先権を得ることができる。昨年からファーストサタデーがバーチャル化、世界中のAGと交流できる場が増えていますよね。『Ingress』はそうしたコミュニティによって支えられていますし、私もその関係性を今後も大切にしていきたい。そうした繋がりを“C.O.R.E”がさらに強固なものにし、新しいものを生み出していく場にできればとも考えています。

――開発陣と“C.O.R.E”の中で行われる交流をオープンにする際の言語はやはり英語になるのでしょうか?

ブライアン それに関しては多言語化する予定です。私がテキストに起こしたものを何かしらの方法で変換。内々のコミュニティにするのではなく世界中のAGに伝えてることを現在考えています。

――昨年から続くコロナの影響でXMアノマリーを含む大規模なイベントが中止。このまま先細りになってしまうのか、そんな不安も正直感じています。

ブライアン 我々もXMアノマリーを開催したいという想いは変わらず抱いていますし、AGたちがもっとも望んでいるものであることも理解しています。この事態が完全に終息するまで待つのではなく、安全面をしっかり考慮したうえで何ができるのか。いまできることを考え提供することも重要だと考えています。

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▲低レベルのXMPによるダメージ量、自陣営のポータルから入手できるアイテム量の増加などは短期的な試みであり、XMアノマリーのような大規模なものは長期的に見据え、実施できる時期をしっかり考えているとブライアン氏。

“C.O.R.E”の公式アナウンスはこちら

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新生するXMアノマリーへの期待

――元々、2020年5月9日ミュンヘンで開催される“レクイエム・アノマリー”が最後ではないかという噂や、新たなXMアノマリーの仕組みを構築するといった話もありました。これらの真相を伺いたいのですが?

ブライアン レクイエム・アノマリーは“ネメシスシリーズ”の終着点であり、XMアノマリーが終わってしまうというわけではありません。ただし、現在の情勢で新たなXMアノマリーを動かせないのも事実。遠征することなくそうした体験を短期的に行うには何が必要か、そうした話し合いもくり返し行われているんです。

――バトルビーコン(AGが任意のポータルを対象にミニアノマリーを発生させる機能)
もその一環ですね。

ブライアン その通りです。従来のXMアノマリーは現地でポータルを奪い合っていてもスキャナ上でスコアが把握できない。それらの情報をゲーム外、SNSやオペレーターを介して得るしかない状態でした。そうした問題を改善するための試みでもあったのがバトルビーコンです。我々は現在、バトルビーコンに実装されている機能を今後のXMアノマリーに活かせると考えています。

――XMアノマリーにはプリマリーとサテライト、2種類の形式がありました。仮にコロナがピークを過ぎても長期化した場合、開催地の選定がより難しくなりそうですよね。

ブライアン 各地の状況はそこに住むAGのみなさんのほうが詳しい。たとえば、“私の地域は安全です”と手を挙げていただき、それを参考に開催地を絞り込んでいく。現地のことを知らない我々が“きっとだいじょうぶ”と決めるのではなく、そうした選定も今後は必要になるかもしれません。

――ローカルで行うアクションがグローバルに反映される?

ブライアン そうですね、そうした仕組みも必要になってくると思っています。バトルビーコンを活用したものはもちろん、ファーストサタデーが陣営戦に影響を与えるのもおもしろいかもしれません。では、それをどう取り入れるべきか。バトルビーコンの仕組みを見直すべきか、まったく別の機能を考えるのか。コンセプトとしてはAGがオーガナイズできるものを考えているところです。

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▲ミッションという仕組みからモザイクアート、陣取りの盤面を使ったフィールドアートなど、これまでもAGは多くのチャレンジを自ら生み出してきた。その可能性を今後も大切に、そして力を借りたいとブライアン氏は語る。

バトルビーコンの公式アナウンスはこちら

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ドローンネットはマルチプレイに対応!?

――COREメダルのデザインは昨今のものとはイメージが違います。こちら、デザイナーが変わったのでしょうか?

ブライアン アートディレクターと2人のアーティストが加わりました。その背景として、『Ingress Prime』初期のころ表現として使われていたパルスや色合いの問題で読みにくかったテキストなど、一部適さないものがありました。そうした問題に私が直接関わる必要があると感じていたんです。視認性の悪いものを改善、ユーザーアビリティとビジビリティ、メダルのデザインを含め、そうしたポイントを見直すために新たなスタッフを迎えたというわけです。

――Mark.2、3と続くと告知されていたドローンネット。今後どう進化していくのか知りたいです。

ブライアン まさにいま、Mark.2の開発を進めているところです。ドローンネットは従来の『Ingress』を前提にした場合、とても劇的な変化を与えたものだと考えています。ポータルまで行く必要があったものがドローンネットでもできてしまう。それがAGの求めていた体験を崩すものになってはいけません。我々としてはポータルに足を運ぶAGが強くあるべきだと考えています。

――実際にプレイしたAGからどういった声が届いているのでしょうか?

ブライアン たとえばマップ上で各自のドローンが見えるとか、1回の移動距離を伸ばずといったもの。さらに、関連した実績メダルが欲しいという声もあります。現在のMark.1はソロプレイに特化しているので、Mark.2ではマルチに楽しめるものが必要かもしれない。協力してドローンを飛ばすとか、何か新しい体験を提供できればと思います。

――お約束で申し訳ないのですが、ガーディアンメダルの再開予定は?

ブライアン ガーディアンメダルそのものが再開されるかという質問には“NO”です。その理由は1部で悪質なプレイが生まれてしまったこと、意図した楽しみかたからかけ離れてしまったAGが存在したことにあります。しかし、再開を求めるAGが多いことも把握している。そこで大切にしたのが、ガーディアンメダルにみなさんが感じた“楽しみとは何だったのか”です。そうした体験を奪わない、理想的なカタチで新しいものを提供したいというのが現在の回答とさせてください。

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▲ジョン・ハンケ氏が『Ingress Prime』の実装がガーディアンメダル再開の第1歩になると以前話してくれたと伝えたところ、“そんなこと言ったの?”と驚いていたブライアン氏。彼が就任する前の話だったので、1度その経緯を聞いてみるよと続けてくれた。

今回のまとめ

XMアノマリーで不自由に感じていたスコアの確認や対象ポータルの占有状況など、バトルビーコンをきっかけに、将来開催される大規模イベントが大きく進化していく。

さらに、“C.O.R.E”がAGと開発の架け橋としても活かされることがわかった。

また、ブライアン氏は、新規ユーザーが参入しにくい印象のある『Ingress』を改善していくこと。すでにそうした要素がロードマップに組み込まれていることも明かしてくれた。

なお、ポータルヒストリーの機能について、アイテムをエクスポートできるように調整中であることも判明。いまだコロナ禍にある世界でXMアノマリーは難しいが、今後も公式による開催を続けていくとブライアン氏は断言してくれた。

不自由なイン活が強いられた2020年。

そして2021年もどうなるかわからない情勢にあるが、少しでもAGのモチベーションを高めるきっかけになれたのであれば幸いだ。

1日も早く、AGのみなさんと面と向かって交流できる日が来ることを切に願っています!!

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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

Ingress Prime(イングレス プライム)

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メーカーナイアンティック
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