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【CEDEC 2015】PS4のエンジンまで作っているCygamesの本気

2015-08-28 22:38 投稿

可能性ある未来を感じさせるCygamesの現在の動向

8月26日から3日間続いたゲーム開発者向けカンファレンスCEDEC 2015もついに終わりを迎える。ここでは、そこでの最後のコマのひとつとなったセッション“Cygamesの挑戦! ~ハイエンドゲームで世界を目指す~”のレポートを行っていこう。講演を行ったのはCygamesのCTO、芦原 栄登士氏とエンジニアの岩﨑 順一氏、堀端 彰氏、金井 大氏の4名。

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▲写真左から堀端 彰氏、岩﨑 順一氏、芦原 栄登士氏、金井 大氏。

Cygamesは昨年のCEDEC 2014でPlayStation 4への参入を表明し、今年2015年4月に大阪に新たな開発拠点を設置したことでも話題。今回のセッションでは、Oculus RiftによるVR空間でハイエンドなコンテンツを楽しむことができる手法の概要と実装におけるポイントや、物理ベースレンダリングとImageBasedLightingなど現行のグラフィック技術への取り組み、内製ゲームエンジン開発などについて触れる講演となっていたが、開発者向けの難しい話になっているので、かいつまんでポイントをお届けしていこう。

最高のコンテンツを

講演を始めるにあたり、CTOの芦原氏が挨拶。「Cygamesは、最近増えてきているネイティブアプリをはじめとした、さまざまなゲーム開発に携わっている会社。昨今ではハイエンドなゲーム開発にも携わっている。私たちは、最高のコンテンツを作るというビジョンを常に掲げて活動をしており、これからもそれは変わらない。CEDEC 2014でPlayStation 4というハイエンドコンテンツを取り扱うプラットフォームへの参入を示したとおり、これからはハイエンドコンテンツでも最高のコンテンツを作る会社として頑張っていきたい」と、Cygamesという会社はどういう会社で、これからどうあるのかをまず示してくれた。

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Oculusを使ったGPGPU研究

セッションが始まってまず行われたのが、東京スタジオが行っている試みと、そこで得た経験のシェア。

東京スタジオでは、現在ハイエンドコンテンツの開発として、今話題のVRハードウェア“Oculus Rift”へのアプローチを行っているという。現在開発しているソフトウェアは、“Oculus Rift”で作られるVR空間で、指を使ってオブジェクトを描く『VRろくろ』。これは、“Oculus Rift”に実装されている、赤外線でユーザーの手を認識し、それをVR世界に描くLeap motionを利用したもの。VR世界でろくろを回し、任意のオブジェクトを作り上げるという内容になっている。この実験的ソフトウェアは、先日行われた“Oculus Festival in Japan”にも出展。子供連れをはじめとした幅広いユーザーに支持され、列が絶えないほどの盛況を記録したという。

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話題の“Oculus Rift”を扱っているが、これは“Oculus Rift”でのハイエンドコンテンツ作成のテストではない。このソフトを開発した金井氏は、GPGPUの研究でこれを用いていたようだ。GPGPUとは、GPU(グラフィック描画を専門に行う集積回路)の処理能力を画像処理以外にも適用させる技術。

金井氏はこの技術の研究動機について「これからハイエンドなコンテンツを作っていくにあたり、GPGPUのニーズは絶対的に上がっていく。それは、PCだろうがコンシューマーだろうが、スマートフォンだろうが、プラットフォームに関わらずである。この技術をしっかりと実用段階にまでもっていき、いずれはゲームエンジン上でも処理できるような技術にしたい」と述べている。

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『VRろくろ』では、ボクセルデータのポリゴン化において勾配をなめらかにしてくれるマーチンキューブス法の処理をGPGPUで行うには、どうすればベストなのかを研究するために生み出されたものだという。

簡単に説明すると、カクカクのポリゴンをなめらかな曲線にしたり、それで流体を作るための処理をGPGPUで行うためのテストを『VRろくろ』で行ったということだ。なお、このソフトではエンジンにCUDAを使用しているとのこと。

結果として、処理が早く、手触りのいいものが完成したという。しかし、CPU側の行動をGPUに持っていって処理させるのにはまだまだ問題があり、このボトルネックをどう改善していくかがポイントになってくるそうだ。また、今回の実験では、新しい発見的手法は見出せておらず、原因不明のハングアップも経験しているため、さらなる研究が必要になるとして報告を閉めている。

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会社内に研究機関を設けるゲーム会社はあまり多くない。研究には相応のコストがかかり、研究結果がゲームに応用できないこともあるからだ。しかし、Cygamesはそれを行い、今後展開されるハイエンドコンテンツに対して、それもおそらく、直近のハイエンドコンテンツに対してではなく、かなり遠い将来を見越して、本気で準備を進めていることがわかった。

この本気度合いは、続いて行われた大阪Cygamesの発表にも見えている。

ハイエンドエンジン開発

続いて行われた大阪Cygamesの発表。ハイエンドコンテンツへの参入と同時に設立が宣言され、今年4月に設立された大阪Cygames。そこでは、なんと内製ハイエンドエンジンの開発を行っているという。

開発中のハイエンドエンジンの名は“Cyllista Game Engine(サイリスタ ゲーミング エンジン)”。現時点ですでにWindowsとPlayStation 4への対応を完了しており、今後はXbox one、Android、iOS、Linuxへのサポートも増やしていくとのこと。

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“Cyllista Game Engine”の開発動機に関して、発表を行ってくれた堀端氏はこう述べている。

「まずひとつめの理由は、将来的な効率化とコスト低下を計るため。ゲームエンジンを自社開発すると、もし開発中のゲーム開発でなにか問題が起きても、使用しているのが自社のものなので解決がしやすくなる。フレキシブルに、クイックに開発を進めていく上で、自社製エンジンという選択肢を持つことは非常に有用だ。かといって、ほかの既存のゲームエンジンを使わなくなるということは考えていない。あくまでも、選択肢を増やすのが目的。つねに最高のコンテンツを作っていくのに、選択肢は多いほうが便利だ。また、社内メンバーのスキルアップを目的として内製エンジンを開発しているという側面もある」。

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メンバーのスキルアップのために内製エンジンを開発するというのは、いまいちその因果性を察しにくいところがあるが、こういうことらしい。「ある特定のゲームエンジンのみを使っていくと、当然それの扱いに慣れてきて、そのエンジンでのスキルは向上していく。しかし、それは仕組みをしっかりと理解して取り扱っているわけではないので、本当の意味でのスキルアップとは若干意味合いがことなってくる。なので、内製エンジンという選択肢を増やすことで、エンジンの仕組みそのものを理解してもらい、そこでスキルアップをしてもらいたい。エンジンの使い方を教えあうだけでも、それは勉強会になり大きな効果を生む。最高のコンテンツは、最高の技術から生まれるので、技術を高めるのは非常に重要」

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なお、現在エンジン開発は岩﨑氏と堀端氏の2名で行っているため、まだ完成には至っていないという。岩崎氏は、今後の開発方針を語ってくれた。

「目標とするのは、CPU負荷の低いレンダリングができるエンジン。さらに、ツールでパラメーターをセットしてロードさせられるというのは当たり前。バックグラウンドでいろいろ読み込んで処理してアウトプットできるようにもする。また、現在抱えているコンテンツの開発時間を短縮させられるような仕組みも取り入れていきたい。開発時間というのは、そのままコストのネックになる。しかし、作りだした何かを変換したり処理したりといったときには、必ず長い処理時間が発生し、ただただその処理を待つだけという無駄が生まれてしまう。なので、このエンジンではその待ち時間さえも最小化できるようにしていきたい」

やはり、先述のとおりCygamesはかなり遠い将来を見据えての展開をはじめているようだ。CTOの芦原氏は、セッションの最後の一言で「新しいものを作りたい人、歴史に名をのこすようなものを作りたい人、最高のゲームを作りたい人は、ぜひうちに来てほしい」と同志を求めており、これから会社自体が大きくなっていく可能性も示唆してくれた。Cygamesは今後数年、もっとも目を離せないメーカーになるという可能性を、そして、今後ゲーム業界全体をリードしていくメーカーにもなる可能性を示してくれるセッションとなっていた。

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