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【特別インタビュー】『FFT』の松野泰己氏が米メーカーとスマホで新作を開発中 しかも2本!

2013-09-19 17:26 投稿

どんなゲーム? playdekとは?

米国でデジタルプラットフォーム向けにカードゲームなどを開発・配信してきたplaydekが、日本のゲームクリエイター松野泰己氏とクリエイティブ関連におけるパートナーシップを結んだことを、東京ゲームショウ2013に合わせて発表した。松野氏は『ファイナルファンタジータクティクス』、『タクティクスオウガ』、『ベイグラントストーリー』などを手掛けた世界中にファンを持つゲームクリエイターのひとり。

現在playdekから発表されている松野氏との共同開発タイトルは2本。

『アンサング・ストーリー』(カードゲーム)
『アンサング・ストーリー:名もなき戦士たちの物語(仮)』(タクティクスゲーム)

いずれも『アンサング・ストーリー』というオリジナルゲームの世界観をもとにしたゲームとなっている。カードゲームに関してはフランスのボードゲームデザイナー、クリストフ・ベーリンガー氏がデザインを担当し、松野氏は世界観設定をおもに担当。松野氏が本領発揮しそうなのはやはり2本目のタクティクスゲームとなりそうだが、いったいどんなゲームになるのか気になってしょーがない! そこで、スマゲと聞いて黙っていられない我々は松野氏とplaydekのCEOジョエル・グッドマン氏へのインタビューを敢行。世界が期待する『アンサング・ストーリー』について根掘り葉掘り聞き出すことに成功した。聞き手は、カードゲーム・ボードゲーム好きで、しかも松野氏を尊敬してやまない大塚角満が担当。

▲左がplaydekのジョエル・グッドマン氏、右がおなじみ松野泰己氏。

熱烈な松野ファンだったジョエル氏の念願がかなったタッグ

――カードゲームが好きなのでplaydekさんの配信するゲームは以前から遊ばせてもらっていたんですが、改めてどういう会社なのか教えてもらえますか?

ジョエル・グッドマン氏(以下、ジョエル) 私はもともとソニーのサンディエゴスタジオでPSプラットフォーム受けのスポーツゲームを作っていたんです。ソニーを2005年に退職して、独立して立ちあげたのがインシネレータースタジオ。そこではTHQ向けのゲームの開発をやっていました。ただ、2010年ころからアメリカのパブリッシャーからの外注が少なくなってきたんですよ。経営的にむずかしくなってきた時期にiPadなどのタブレット端末が広まってきて、私もスタッフもカードゲームが好きで、それをタブレットに落としこんでビジネスにできないかと考えたのが2011年ごろですね。それでplaydekを立ちあげて、その年の7月に『ASCENSION(アセンション)』をリリースしました。

 

――なるほど。今回松野さんが新作を作るということにも驚きましたが、それが海外のメーカーであるplaydekと組んでというところにも二重に驚きました。両者のつながりはどういう経緯だったんでしょうか?

ジョエル 私が人生のなかでいちばん感動するゲームを挙げろと言われたら『ベイグラントストーリー』と答えるくらい、松野さんの作るゲームの大ファンだったんです。それでビジネスパートナーを介して、2011年の1月ごろに初めて話をすることができたんですよ。playdekを作ってからも日本に行くたびに会って、いっしょにやりたいと口説いていたんです(笑)。playdekはこれまで既存のカードゲームの落とし込みだけを行っていたんですが、オリジナルゲームを出そうということになって、そこでようやく松野さんに協力してもらえることになったわけです。

――松野さんファンという部分で僕と同じですね(笑)。具体的には松野さんの作品のどのあたりをそんなに気に入られていたんですか?

ジョエル 『ベイグラントストーリー』は、広大な世界の中で展開する重厚なストーリーに感銘を受けました。それはいままで遊んだどのゲームでも感じられなかったものでした。それからさかのぼって松野さんの関わるほかのゲームもプレイしましたよ。

――これだけ惚れ込まれて松野さんはどうでした?

松野泰己氏(以下、松野 いや、もう、「ありがたいな」というのが一番ですね。僕はもともとフリーランスになったときになんでも仕事を受けようとは思っていたんですよ。スマホ関連の話もたくさんいただいていたんですが、話を聞いてみるとビジネスモデルやマネタイズ優先のものが多くて、少し自分のイメージするところとは違っていたんですよね。

 

――食指が動かなかったと。

松野 これは持論になるんですが、いわゆるAAA(トリプルエー)と呼ばれるような大きなタイトル群がまずあって、でもそれはごく一部ですよね。それよりは、ある程度安価なバジェット(予算感)のタイトルっていうのはものすごくたくさんあります。それらが遊べるハードというのは携帯ゲーム機もコンソール系も、スマホもありますけど、それって消費者からみたらどれでもいいんですよね。

だからかつてファミコンやプレイステーションで遊んでいたようなゲームらしいゲームの流れは、この先も変わらないと思って、そういうゲームを作りたいなというのはずっと考えていたんです。そのときにジョエルが声をかけてくれて、それがちゃんとしたゲームを作りましょうという話だったわけです。

――やりたいと思っていたこととも合致したわけですね。

松野 ただし、今回はゲームのディレクションをやるわけではないので、複数のプロジェクトに関わっていて、そのうちのひとつという形になります。

――ディレクションではないというとどういう形で関わるんですか?

松野 第一弾はフランスのカードゲームのデザイナー(クリストフ・ベーリンガー氏)が作るものの世界観を構築する、という形で携わります。僕自身の全体的な立ち位置としては、もともとタクティクスゲーム用に考えていた世界観というかストーリーがあって、それをplaydekに提供するという立場になります。タクティクスゲームのほうは、ゲームの原案を提供して、それをサンディエゴのスタジオで形にしてもらって、監修していくことになります。

――ーーなるほど。直接的なディレクションはされないんですね。おもしろい取り組みです。ところで、第一弾のカードゲームの方は『ダンジョンツイスター』を作った人ですよね!? 僕、カードゲーム、ボードゲームの類が大好きなので、超注目します。ちなみにplaydekの『アセンション』も、名作『ドミニオン』を彷彿とさせるので相当やり込みました(笑)。

松野 あ、そうなんですか! 僕も『ドミニオン』はめちゃくちゃ好きですよ。今度対戦しましょうよ。熟練者とやったことないんでぜひ対戦したいですね!

――僕、熟練者ってほどでもないんですけど……(笑)。

松野 ……で、話を戻しますけど(笑)、第一弾のカードゲームは彼(クリストフ・ベーリンガー氏)がデジタルゲーム用にデザインしたものなんです。ゲームじゃないとできないなという作りになっていて、おもしろいものになると思いますよ。ただ、ちょっとまだ複雑さが残ってると思うので、そのままでは日本のライトユーザー向けではないかなと思っています。

ジョエル 彼はもう50代のカードデザイナーなんですが、これまでにたくさんのゲームを作っていて、代表作は植民地系ゲームと呼ばれるような戦略ゲームをたくさん出しています。いまはできるだけ遊びやすい簡易なものにしようとブラッシュアップしているところですね。カードゲームは『アンサング・ストーリー』の世界観を認知してもらうことも目的のひとつですが、カードゲームとしてのおもしろさもちゃんと体感してもらいたいですから。そこを松野さんと相談しながら作っています。

超マニアックな世界を作ります!(松野)

――そもそも松野さんが提供する世界ってどんなものなんでしょうか? いただいている情報だと中世のファンタジーとなっていますが。

松野 そうですね。もともとのオーダーがそのあたりというのがまずありました。イメージしていたのは、紀元5~8世紀くらいのイングランドです。その頃のイングランドって、帝政ローマが引き上げてアングロサクソンが入ってくるところで、彼らは中に入ってきてから分裂して、諸国が乱立するんですよ。歴史的には七王国時代とか言われてまして、そのあとにデーン人がくるという流れです。

僕はこの、かつて同じ部族だったアングロサクソンがそれぞれの諸国に別れて敵対し合うというところに響くところがあって、原案としました。で、スミマセン、ちょっと脱線しますけど、今回の仕事を引き受けたもう一つの理由というがありまして……。カードゲームって日本だとプレイ人数はそんなに多くないんですけど、新作を出せばチェックしてくれるような根強いファンはいるわけですよ。それを日米欧合わせればそれなりの数になりますので、そこを狙ったある意味手堅い商売をしてみたいなと。

で、そこではコンシューマーでもやっていなかったマニアックなところを狙いたいという思いがあったんですよね。例えば同じ宗教でも宗派が違うとか、イスラム教で言ったらシーア派とスンニ派があるとか。それで先ほど話したような時代設定でいこうということになったわけです。

――僕が若いころプレイした『オウガバトル』シリーズもかなり複雑だなと思ったんですが、それよりももっと凝った世界に?

松野 細かい設定はいろいろ作っていきたいですね。最初は大国2つが戦うものも想定してましたけど、カードゲームのデザイナーからあがってきたものをみて、これだったら諸国乱立系のほうががおもしろいなと思って話を変えていってます。いままでの僕のやり方とは完全に違いますよね。

まずはカードゲームが2014年初頭リリース予定

――念願だった松野さんの世界観を見てどうでした?

ジョエル パーフェクトです。世界観をもらって目を通して、これだと思いました。ゲームの開発については、『FFT』や『ベイグラント』のときとは随分変わってきています。まず常時ネット接続は当たり前ですよね。それを活かしたゲームの作り方をどうやっていこうかとか、提供するデバイスに合わせた作り方、それを模索しているところです。

――松野さんとしては世界観監修のみというところだと、できあがりを楽しみにしているところもあるんじゃないですか?

松野 そうですね。イラストレーターさんが関わってゲームの完成を待つ感覚に近いと思います。ディレクションよりかは気が楽です(笑)。

――ああ、そういう感覚ですか。松野さん的には新鮮ですね。配信は2014年になりそうですか?

ジョエル スケジュール的にはカードゲームの方は2014年の早い段階で出したいと思っています。カードゲームの方はこれまでの実績もありますから、ある程度早めでいけると思います。逆にタクティカルのほうは、じっくりいきたいと思います。開発エンジンをどうするかといったところから考えていかないといけないですし。

――カードゲームの配信が早そうなのは個人的にかなり楽しみですね。

ジョエル ネット対戦もひとりでも楽しめるようにしてます。AIもしっかり作りこんで、シングルプレイでもしっかり遊べるようにしてます。せっかくの世界観をじっくり楽しんでもらいたいですしね。

――これまでカードゲームってシステムを楽しむもので、世界観をあまり考えなくてもできましたけど、松野さんが関わることでそのあたりは新しい楽しみ方ができそうですね。

ジョエル おっしゃるとおり、今回はカードゲームでも深い世界観を背景にしているので、それを前提にしたときにどういうふうにしていくかはかなり考えていますよ。ゲームの仕様自体はだいぶ決まってきていますけど。

――(松野さん)出たら対戦しましょうよ!

松野 ぜひ! でも、世界観が足かせにならないといいなとちょっと不安に思っていたりもしてます(笑)。

――たしかにシステムがすごく重要というかメインですもんね。でもいまこういう関わり方だと、本格的にスマホゲームのディレクションをやりたくなってきませんか?

松野 そうですね、ちょっと思ってます(笑)。ただそれをやるなら今度は日本の会社で、とは思っています。僕は英語がネイティブではないですから、細かいニュアンスは伝えられないですよね。だから今回は作りこみはサンディエゴのスタッフに任せて、いちイラストレーター的にゲームをいいものにしていければと思っています。

――ところで、カードゲームとタクティクスゲームのふたつは同時に動いている感じですか?

ジョエル いや、同時ではないです。まずはカードゲームを終わらせてという形です。カードゲームでは松野さんが創られた世界観のすべてを表現できないと思うので、タクティクスゲームの方で表現できればと。

松野 実際はボードゲームライクなものにはなると思います。『クリムゾン シュラウド』ってありますよね、playdekが得意そうな、そういう感覚のタクティクスゲームになればと思っています。そもそもスマホってタッチパネルベース拡大・縮小・回転とかがしにくいじゃないですか。それが煩わしくないようなシンプルなものがいいかなと。

――おお! いちカードゲームファンとしても、松野ファンとしても配信を楽しみに待っています!

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