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個人開発者がホンネで語る「僕らがUnityでアプリ開発を始めた理由」

2013-04-16 20:20 投稿

●Unity個人開発者の“生の声”に興味津々

2013年4月15日~16日、東京都ベルサール汐留にて、ゲームエンジン“Unity”の技術カンファレンス“Unite Japan 2013”が開催された。ここでは2013年4月16日に行われた“僕らがUnityで個人開発を始めた理由”と題されたセッションの模様をお届けする。

▲田村幸一氏(右)と山村達彦氏(左)。

 

本セッションは、Unityにおける小規模開発の現状を、田村幸一氏(Tokyo 1minute)と山村達彦氏(テラシュールウェア/ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)が語るというもの。

田村氏は趣味で開発を続けるノンプログラマー。38歳よりUnityを用いたアプリ開発をスタートさせ、初タイトルは『デカルトの塔』(2012年6月リリース)。本業はネット関連で、モバイルアプリに興味があったとのこと。周囲の知人にUnityユーザーが多数いたことがアプリ開発に取り組むようになったキッカケだという。作業は自宅で、おもに休日。開発言語はJavaScriptが中心だが、最近はC#に興味津々とのこと。ライセンスはiOS BasicとAndroid Basic(無料キャンペーンで取得)。解説書よりもビデオチュートリアルサイト“Unity Student”の動画で勉強していたという。

一方の山村氏はWEBサイト“テラシュールウェア”を運営。4ヵ月ほど前よりユニティ・テクノロジーズ・ジャパンに所属している。Unityを使用し始めたのは2012年1月ころで「ゲームを作るのに凄く楽そうに見えたから」というのがキッカケ。当初はチーム4人全員が同じ場所で作業していたが、現在は個々の家での作業らしい。使用言語はC#で、ライセンスは「フル機能は手に入るが、いまはAndroid BasicとiOS Basicを使用している」とコメント。

▲田村氏は個人、山村氏は4人でチームを作り活動中。ともに30万以上のダウンロードを記録した人気アプリを世に送り出した実績を持つ。

 

最初に掲げられたテーマは「個人開発ってお金がたくさんかかる?  時間ってどれだけ必要?」というもの。山村氏が例として取り上げた(初作品)は、開発に約2ヵ月で、プロトタイプの制作に要した時間はとても短かったという。「どうしても人月単位が頭から離れなくて」と山村氏。人的コストは“自分たちの価値的に”ひとり頭10~20万円相当で計算。出費はアップルストア申請のライセンス費用10000円(当時)くらいと説明した。

一方、田村氏の『タワー崩しパズル・デカルトの塔』は開発に約1ヵ月ほどかかっており、前述の通り、おもに土日に作業したという。実質的には約30時間なのだとか。ただし、開発を急いだため「やりたいことを端折った」とのことで、ステージ出現パターンをランダムにするなど、機能を省きながら開発を進行。このあたり「時間のかけかたが重要なポイント」と田村氏は説明する。出費は書籍代、Asset Store購入費(モデルデータなど)とのことだ。

おつぎの「個人開発ってどれくらいの収入? オススメのマネタイズ手法は?」というテーマでは、山村氏が「知らなかった」という広告例を田村氏が紹介。『デカルトの塔』は約34万ダウンロードされ、アドネットワークが収益に寄与したという。田村氏によると、アドネットワークは個人開発者でも使えるとのことで、課金モデルで生じるユーザーサポートが必要なく「取り急ぎという意味では、おすすめの手法。必ずしも広告がいいとは言わないが、(課金モデルに比べると)手離れがいい。いかに客を集めるか、継続してきてもらえるかが最重要です」とそのメリットを説明した。

ここで田村氏は「(チーム)4人、食べていけていますか?」と山村氏にストレートな質問をぶつける。それに対しては、前作は30万ダウンロードを記録するヒット作となり「そこそこ儲けてはいます」とコメント。ただし、2作目は思ったほどヒットしなかったようで「いまでも1作めのほうが売り上げがいいことがあります。個人的にはビックリです」とのことだ。今後の目標を問われると「リワードやアプリ内課金などに導線を張っていきたいが、ゲームの邪魔にならないように、うまく調整しなければならないと思っています。まず広告は置くとして、アプリ内課金もあっていいですが、リワードに差し替えてもいいんじゃないかと思っています。ただし、リワードは一定間隔で上げると儲けが減っていくという特徴があるらしいので、バランスをみて要調整ですね」とコメント。さらに、「アプリはダウンロードしてもらうことが大前提で、いろいろな人に紹介してもらったり、“おもしろい”と言っていただける機能をつけることが、まずは重要ではないかと思っています」と続けた。

▲セッションは、用意されたテーマに対して、田村氏と山村氏が答えていくというスタイルで行われた。冒頭で両氏が「このなかで個人開発をしている人は?」と来場者に問いかけたところ、かなりの数の手が挙がった。身近かつ具体的なテーマは、多くの来場者にとって有益な情報となったのではないだろうか。

 

「アプリを公開して、何か変化はあったか?」というテーマでは、田村氏が“大きな変化”としてふたつを挙げた。ひとつはお子さんが「僕もゲームを作りたい」と言い出したこと。「教えたら、ひょっとしたら1個は作れるのではないかと思っています。子どもの興味が失せない限りはやってみたいです」と父親としての顔を見せた。もうひとつは、ゲーム開発におけるパラダイムの変化。ゲーム開発はスペシャリストを集めた非常に大掛かりなものだったが、アプリでは安価な制作ツールなどの出現により「ちょっとがんばればゲームができてしまう。凄い衝撃的だった」と田村氏。5年前は考えられなかった状況が実現したことにより、「いまは無理だが、ひょっとしたら5年後には、AAAタイトルを個人で作れるのではないか?」と展望を述べた。

山村氏は「アプリに限ったことではないが、モノを発信したことで自分の世界が広がった」とコメント。アプリやブログを公開したことが自身のプロモーションになったといい「変な言いかたですけど、自分に対していろいろな情報が集めやすくなった」と説明。このあたりは、田村氏も大いに同意するものだったようだ。

「個人開発ってモチベーション維持が難しい?」というテーマでは、両氏ともに“開発期間”に言及。伸びた時間に比例してモチベーションが下がるといい、山村氏は「自分が作っているものが本当におもしろいのか?」、「これ売れるの?」、「時間をかけて作っているけど意味あるの?」などと言った思いが頭をよぎり、作業効率が著しく低下するとのこと。「その点、モチベーションが落ちきらない期間で作りきれるUnityは、ちょっといいなと思う」とのことだ。対策としては、成果物に対して周囲から感想をもらうほか、期間を決めて何かを作り切る、完成させることがもっとも重要だと力説した。

田村氏も、「私も手法的にはまったく変わらないです。仕事は別ですが、個人開発でホビーユースであれば“作ること”に目的があります。何がモチベーションのゴールかと言えば、完成させること。そのために何をやるかで突っ走っています。だから、“期間は短くしましょう”、“やれることは減らしていきましょう”、となるんです。作ることを楽しんでモチベーションを維持しています」とのことだ。

「個人開発でもAsset Storeを利用したほうがいい?」というテーマでは、両氏ともに「使ったほうがいい」と口を揃えた。田村氏は50ドルで購入したモデルデータで劇的にグラフィッククオリティーが向上した事例のほか、オブジェクトの移動・反転・拡大縮小を容易にする無料ライブラリ“iTween”の例を紹介。提供先のホームページで販売されているサンプルプロジェクトを10ドルで購入すれば、「使いかたがすぐわかります。技術書を買うよりもぜんぜん安い。こういったものを、今後はうまく活用していくのがいいのかな、と思う」と推薦した。

さらに田村氏は、「(モデルデータであれば)自分で作ったら50ドルぶんの時間では全然足りない。時間を減らせるというのが、非常にいいです。知識があれば安く早くできるかもしれないけど、時間がかかりそうだったり、手間が割りに合わないと思ったらStoreで買ったほうが最終的なコストは安くなる。時間の節約にもなってモチベーションを維持しやすくなります。Asset Storeは非常に有用だと思っていますよ」とコメントした。田村氏はAsset Storeが新着情報をRSS配信していることにも言及し、「セール情報もあるのでお徳ですよ」とオススメ。個人開発は身近なテーマだけに、こうした“生の声”はホールに詰め掛けた多くの人に響くセッションとなったようだ。

【タワー崩しパズル・デカルトの塔】
メーカー:Tokyo 1minute
配信日:配信中
価格:無料
著作権:(C)Tokyo 1minute

 

【かきわけ常夏! 水着娘】
メーカー:テラシェールウェア
配信日:配信中
価格:無料
著作権:(C) テラシュールウェア

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※Unite Japan公式サイトはこちら

※Tokyo 1minuteのページはこちら(Facebook)
※テラシュールウェアのサイトはこちら

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