【TGS2012】スマホゲームの大御所が語るオンラインゲームの未来とは?

2012-09-21 05:07 投稿

●スマホの普及でオンラインゲームはどう変わる?

セガブース内で“SEGA_Apps Coming! オンラインゲームの未来”と題して行われたトークセッション。登壇者は、司会進行にファミ通App編集部の中目黒目黒が務め、パネラーには、エイミング 代表取締役社長 椎葉忠志氏、スクウェア・エニックス 特モバイル二部 安藤武博氏、ガンホー・オンライン・エンターテイメント プロデューサー山本大介氏、セガネットワークス 開発本部戦略企画部 部長 椎野真光氏という、スマートフォン業界を牽引するクリエイターがキャスティングされた。

まず最初に、中目黒目黒がオンラインゲームといえば昔からFPSやMMORPGという印象が強かったが、最近スマートフォンとソーシャルゲームの登場で、間口が広がっていったのではないかと述べ、「ネットワークに繋いでコミュニケーションが生まれる時点で、立派なオンラインゲームとして成立しているのではないか」問いかけた。椎葉氏が「すべてのゲームは最終的にネットにつながるので、オンラインゲームやソーシャルゲームという言葉そのものがいまの時代では曖昧になっていると考えている」と述べた。

ブラウザゲームについては、「PCで遊べるゲームは、スマートフォンでも遊べると考えている。同じゲームだったら持ち歩けるスマートフォンが便利ですしね」と語った。一方安藤氏は、「我々のようなコンシューマゲームを作っているような人なら、以前からネットワークゲームの間口が広がったと感じるのは普通のことだったりする」と意見し、以前からサービスの運用方法自体は、大きく変わっていないことを説明した。

このふたつのネットワークゲームへの考えかたに対し中目黒目黒は、いままさに絶対王者に君臨する『パズル&ドラゴンズ』(以下、『パズドラ』)開発者の山本氏にも質問すると、「僕は作りたいものをただ作り続けているだけ。だからなにも考えていないです(笑)」と会場を驚きと笑いで包んだ。その横で椎野氏は、「スマホユーザーならでは遊び方や、海外ユーザーの勝負ごとに対する執念の強さに目をつけ、課金システムやプレイスタイルを模索中です」と、海外も視野に入れた開発構想を話してくれた。

いま話題のソーシャルゲーム運営は少数精鋭の会社もあれば大所帯でつねにトラブルに対処出来るようにしているところもあるという。安藤氏は、『拡散性ミリオンアーサー』において、大所帯で運営しているとのことが、チームの運営スキルが発展途上にあり、上位を維持するのは困難であることを述べ、なかなか『パズドラ』を越えられないと話していた。これに続き椎野氏は、「『キングダムコンクエスト』は、最初は運営と運用とチームを別けていたんですが、ゲームをやり込める運用チームの意見が大きくなりすぎてしまい、結局運用が運営プランを出したりして混ざってしまっている現状がある」と事例を挙げた。ゲーム制作には少数精鋭が望ましいという考える山本氏は、「カスタマーサポートには人員と経費を割いてでもユーザーの為のゲームを意識することを忘れない」と付け加えた。

日本国内で人気のある作品の運営方法や開発段階の志しを聞くと、つぎに海外でいま狙い目のゲームジャンルについてを中目黒目黒が質問。椎葉氏は、「日本ゲームで海外に通用するのはいまのところカードバトル系かソーシャルゲームではないか」と答えた。同時に「ゲームがおもしければどこにだしても通用する」とも述べている。

中目黒目黒から『パズドラ』の課金システムや運営方法について、山本氏以外の3人からどう見えているのかを問われると、安藤氏は、「『パズドラ』は真似できるようで、物凄く緻密に計算されていて簡単真似できないゲームだ」ということを熱く語り、椎野氏も「あまりによく出来すぎたゲームシステムに思考が飲み込まれそうになるので最近控えているが、今度は嫁が熱中しはじめています。女性にも入り込みやすい間口の広さやパズルの割り切りかたがすばらしい」とコメント。続いて椎葉氏は、「何度負けてもすぐに再チャレンジしようと思う。パズルが苦手なプレイヤーも追い込まない絶妙なバランス」と、皆口々に山本氏を褒めちぎっていた。それらの言葉に山本氏は、「あれだけ女性層にも溶け込んだのは自分の嫁に意見してもらい女性にも楽しめ、なおかつ自分も熱中できる作品に仕上げたから」と、その人気の理由を話した。そして、パネラー全員からの称賛に対し「これだけ褒められるとこの後どう話していいかわからない」と返して、再び会場を沸かせていた。

続いて、『パズドラ』を超えるようオンラインゲームは出るのか? 椎葉氏は「誰もが持つようになるスマートフォンにいろいろなジャンルのゲームが参入してくるので、作り手が得意なジャンルのゲームを突き詰めれば可能性はある」と発言。安藤氏は「パズドラみたいな作品は絶対に作らない! 最近はカードバトルやガチャを使ったゲームが多すぎるから、違った味のゲームをどんどん作りたい」と安藤節を炸裂。山本氏は、「女の子が遊んでくれるようなゲームは流行るという事例があるので、女性が遊んでくれるゲームを作りたいです」と述べ、椎野氏は「アジアで流行っているオンラインゲームを、しっかりとスマホに落とし込んでいくということが重要。セガらしいコンテンツを作っていきたい」と語った。

スマホユーザーのターゲットについての問いに対し、「フリートゥープレイによって間口を広げた先にある、乗り越えたいハードルの高さによってターゲットが変わると考えている」と椎葉氏。安藤氏は「『拡散性ミリオンアーサー』は、プロデュースした者が、ライトノベルやアニメを心底愛していて、好きな物をとことん作らせた結果だからこそ、同じような趣向のコアなユーザー層にも受け入れられた」と説明。「(ゲームつくり)やりたいことやってるなと思わせながらも、ユーザーにそれを求められるという状態が理想的」と語り、山本氏が楽しそうに『パズドラ』を運用する例を挙げた。実際、「ターゲットは自分と嫁。自分のためにゲームを作っているので、とにかく楽しいです(笑)」と山本氏。椎野氏は「ハイエンドなゲームを遊びたいというユーザーに対して、直球勝負でいきたい。セガらしいタイトルが求められているのが現状なので、まずはそこから答えていくこと」と述べた。

中目黒目黒は、脱カードソーシャルといった動きがあったり、スマートフォンといった新しいデバイスで、新しい発明品(ゲーム)が生まれやすい現状を説明し、「今後の新しいゲーム開発は、ここに居るメンバーから始まると思うので楽しみにしています(笑)」と、パネラー4人に若干プレッシャーを与えつつトークショーは幕を閉じた。

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