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【CEDEC2012】PlayStation Mobile 新プラットフォームのふたつの挑戦

2012-08-20 23:17 投稿

●PlayStation Mobileの今後の展望

2012年8月20日から8月22日の3日間、パシフィコ横浜では国内最大のゲーム開発者向けカンファレンスとなるCEDEC2012が開催されている。ここでは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)が今年の秋からサービス開始を予定している“PlayStation Mobile(プレイステーション モバイル)”のビジネスおよび技術概要についてのセッション“PlayStation Mobileの挑戦”と称された講演会の模様をお届けする。

まず、PlayStation Mobileとは何かを簡単に説明しておこう。PlayStation Mobileとは、プレイステーション Vitaをはじめ、スマートフォンやタブレット端末に、PlayStation Storeを介してコンテンツを配信できるオープンなサービスのこと。もともとはPlayStation Suiteという名称でサービススタートしていて、おもに初代プレイステーション用ソフトがモバイル向けに配信されていたが、今月15日に、”PlayStation Mobile”として改めて本格始動することが告知された(※サービス開始と同時にプレイステーションコンテンツの配信は終了)。同サービスは、まず日本、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアの9か国で開始され、順次対象国が拡大されるという。コンテンツの配信開始時には、ゲームメーカー各社とSCEワールドワイド・スタジオ(SCE WWS)により制作されたアクション、アドベンチャー、パズル、スポーツなどのコアゲーム・カジュアルゲームと幅広いジャンルから約30以上のコンテンツが提供される予定だ。

ソニー・コンピュータエンタテインメント
モバイルサービス事業推進部、浅野 剛史氏

本講演に登壇するのは、プレイステーション2用ゲームソフト『ワンダと巨像』の制作にゲームプランナーとして関わり、その後モバイルサービス事業推進部に異動して、PlayStation Mobileプロジェクトの運営、推進を担当している浅野 剛史氏。現在SCEのゲーム市場はプレイステーション3と、ポータブル機器であるプレイステーション Vita、プレイステーション・ポータブルの2本柱で成り立っており、そこに今後はクロスデバイス、クロスプラットフォームを目的とした新サービスPS Mobileが導入され、3本柱のひとつとして展開される。プレイステーション Vitaのほか、対応スマートフォンやタブレット(プレイステーション サーティファイドデバイス)などに同一のゲームを配信できることから浅野氏は「ユーザーが好きな時に対応したデバイスでPlayStation Mobileをお楽しみ頂くことができる」と語った。ユーザーの好きなハードでコンテンツを遊べるので、非常にモビリティーの高いプラットフォームとなるようだ。いままでのSCEのコンセプトにはない、専用デバイスを持たないプラットフォームを目指していて、カジュアル、コアコンテンツを制作する開発者に参入してもらうのが狙いとのこと。

PS Mobileのひとつ目の挑戦は、現在のゲーム市場で新たな“創造”を生み出すこと。そのために現在は、対応デバイス拡大に動いており、プレイステーション Vita、Xperiaシリーズを土台として、「(スマホの急激な普及を見る限り)今期末までに2000万台ベースの市場規模を見込めるのではないか」(同)とのことだ。他社との連携にも積極的にアプローチしており、すでに“htc one”と“ASUSTeK Computer”、“wikipad”の参入が決定しており、加えてプレイステーション3への対応も検討されているという。

もっとも課題となる、課金ユーザー会員を増やす施策については、すでにPlayStation Networkアカウントが1億以上あるため、この大規模なアカウント数をベースにさまざまな展開をしていきたいと考えているようだ。PlayStation Mobileで遊べるコンテンツも同時に増やしていかなければならないが、こちらも国内・海外を合わせ85社のゲームメーカーの参入が決定しているようで、「大変よろこばしいことです」と浅野氏も笑顔を見せていた。

▲今後はPlayStation Mobileを通じゲームを始めとする、さまざまなコンテンツが配信されていく。

ふたつ目の挑戦は、販売・開発コストの軽減について。「昨今、コンテンツの販売や開発の費用が高騰する中、重要なことはこれらのコストを抑えて高品質なコンテンツを送り出すこと」と語る浅野氏。この問題の解決策は、”PlayStation Mobile SDK”正式版の無料提供を含む開発サポートプログラム、”PlayStation Mobile(PSM)Developer Program”によって解消されるという。これは、PlayStation Mobileのコンテンツ開発やPlayStation Storeを通じた販売をサポートするシステムで、開発言語は現在広く使われているC#で行われる。開発者は年間$99でライセンス契約をすることで、”プレイステーション Mobile SDK”を利用して開発したコンテンツを、”プレイステーション Store”を介して手軽に配信することが可能になる。

現在は試験的に展開されているがPlayStation Mobileのスタートと合わせて本格的に始動するとのこと。これに伴い、開発者同士の意見のぶつけ合いや情報交換、SCEからの公式ニュースと技術情報が提供される“PlayStation Mobile Developer Forums”というスペースが公開されている。

●充実した開発環境を用意

また、開発サポートには”PS Mobile Studio”という統合開発環境もSCE側で用意。Visual Studioに慣れている開発者ならば問題なく使用できるようだ。加えて直感的にUIを作成できる”UI Compose”というツールも用意されているなど、スムーズな開発環境が整っている。ここで改めて浅野氏は「作ったコンテンツはひとつのバイナリですべてのPlayStation Mobile対応デバイス上で動作可能です」ということも明言した。つまりデバイス機器ごとにバイナリを作り変える必要がないということになる。現在Androidデバイスは、画面解像度、チップセットなどの端末ごとの仕様の差が激しく、それぞれに最適化されるのが非常に難しい。しかし先ほどの浅野氏の言葉どおり、作ったコンテンツがひとつのバイナリですべてのPlayStation Mobile Mobile対応デバイス上で動作可能ということであれば、そういったコンテンツの断片化も緩和される。これは現在のコンテンツ開発者にとって非常にうれしいサポートとなるはずだ。

●柔軟な販売方式を選択可能

また、コンテンツの配信前には簡易的なチェックも行われるが、そこをクリアーすればすぐにコンテンツをSCEへ卸すことができるようにもなっている。実際の販売スタイルはSCEが仕入れて販売する仕入れ販売方式をとっており、コンテンツ開発者が卸値の一覧から選び決めることができる。例えば開発者側が卸値を$6.99と決めた場合、SCE側はそのコンテンツを約$9.99で販売する方式。スタンダードな売り切り型のほかに、昨今のトレンドとなる基本無料の課金型などにも対応しているので、開発者は自分のスタイルにあった販売方式を選択できるというわけだ。

浅野氏による講演会は40分ほどで終了した。PlayStation Mobileは現在も開発が進行中で、まだいくつかの要素は検討しながら開発されているようだ。多くのユーザーにとって今後どのように展開されているかが非常に楽しみなサービスだ。本格的なサービス開始は秋ごろが予定されており、数ヵ月後には新たなPlayStation Network市場が広がっていくに違いない。

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