『ダビスタ マスターズ』には新要素の“才能”や配合理論がある!開発者に詳しく聞いてきた
2016-10-15 10:00 投稿
ダビスタ生みの親の薗部氏も登場
ドリコムから2016年10月後半に配信予定の『ダービースタリオン マスターズ』。『ダビスタ』シリーズの血を受け継ぐ本作の開発秘話や注目の新要素を開発者に詳しくお聞きした。『ダビスタ』生みの親である薗部博之氏も登場。
『ダビスタ マスターズ』が10月後半に配信予定!事前予約も好評受付中
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『ダビスタ マスターズ』が実現するまで
──まず、本作を企画したきっかけから教えてください。
金山 スマホで気軽に『ダビスタ』をやりたいなというのがきっかけですね。2015年の夏に薗部さんへお願いをさせていただきました。
──薗部さんは本作にどの程度関わられているんでしょう?
薗部 これまでの『ダビスタ』がどうだったかということを根掘り葉掘り聞かれてます。門外不出のソースコードまで出して(笑)。
──本作の話が来たとき、薗部さんはどういう風に感じられました?
薗部 題材としてはかなり難しいですけど、どう料理してくれるかなと。うちでもソーシャルゲームは何回かやったんですけど、なかなか難しいですよね。レースバランスや課金の問題などがつねにあるので。今回はノウハウを持っている方々に全面的に任せようという気持ちです。
──ドリコムの皆さんは、薗部さんに企画を持ち込むときは緊張されましたか?
金山 最初お会いするときは緊張しました。遊んでいたゲームを作っていた方にお会いすることってなかなかないですから。それに、1年で作るんだというプレッシャーもありましたね。
薗部 1年でできるのかは完全に半信半疑でした(笑)。よく間に合わせたなという気分ですね。ただ、ここからがさらにたいへんだと思います。運営型のゲームはずっと手を入れ続けないといけませんから。
──どの馬にもファンがいますからね。強さのバランス調整は難しそうですね。
姥 強さの基準は実際の成績の通りにしています。新しい種牡馬を追加していくことになりますが、その思想は必ず貫きたいですね。実際の馬の成績を見て、その通りの能力をゲームに反映していこうかなと。
──開発陣に『ダビスタ』ファンは多いんですか?
姥 そうですね。開始時期はけっこうバラバラですけど。『II』とか『III』とか『96』とか、プレイステーションの最初のシリーズから始めたスタッフもいます。全シリーズ通して遊んでいる人もいますね。
金山 私は『III』からですが、当時はまだ幼かったので、“安定C”の馬を付けてひたすら当たりを待つ、みたいな楽しみかたをしていたレベルでした。配合理論を駆使している人もまわりにはいましたね。
西村 私は『96』のときが小学生で、そこからプレイステーションまでやっていました。攻略本を買ってシートに熱心に書き込んで、“見事な配合”やおもしろい配合を考えながら遊んでいましたね。
『ダビスタ』ファンだからこその制作風景
──制作していくうえで気をつけていることは?
神谷 『ダビスタ』というゲームを崩さない。この点には非常に気を遣っていますね。
姥 『ダビスタ』感を損なわないことを大前提に、そこから我々の要素をどう入れていくかを意識しました。
金山 スタッフにコアなダビスタユーザーがいるので、ちょっと我々が違うことをするとチーム内から“それは『ダビスタ』じゃない!”というツッコミが必ず入りました(笑)。
姥 まずはみんなで話し合って、果たしてそれが『ダビスタ』なのかっていうのをつねに議論していますね。
──たとえばどんな話し合いを?
姥 それぞれの時代の『ダビスタ』感というのがありまして。初代とか、プレイステーション版のときとか、いろいろなダビスタがあるじゃないですか。そのどの軸に寄せていったらいいのかという話し合いは白熱しますね。議論していく中で落としどころを決めて、みんなで納得したところに寄せていく感じです。ですから、できあがった後に“これはダビスタっぽくないね”といった意見は出なかったですね。
──苦労している部分はありますか?
神谷 ソーシャルゲームの良さと家庭用ゲームの『ダビスタ』の良さというのを、どうバランスを調整するかがいちばん苦労しました。ソーシャルゲーム感を出しすぎるのも違うと思ったので。
姥 売り切りのパッケージゲームに対して、運営型のゲームは先を見越してゲームデザインしないといけないというのが難しいですね。どんなペースで馬を増やすかとか、初期のバランスとかが最初はわからなくて。そこは苦労した部分ですね。
──今回は現役の競走馬も、種牡馬として登場するようですが。
姥 新しい種牡馬をどれだけ出していくかはまだ考え中ではありますね。最初の段階では、最新作の『GOLD』にあわせて種牡馬のリストを決めて、アップデートしていく中で調整していこうかなと考えています。
──では今後も新旧いろいろな種牡馬が追加されていくと?
姥 そうですね。イベントレースを開催して、いっしょにレースして勝つことでライバル馬がもらえたりといったイベントも考えているので、種抽選(ゲーム内ガチャ)だけでなくいろいろなパターンで、昔の名馬などが手に入ればユーザーさんもうれしいかなと。
──イベントレースのライバル馬がどういう順番で出てくるのかは、もう決まっているんですか?
神谷 現状のものからライバル馬を足したときにバランスがどう変わっていくかを考えながら、慎重に調整していきたいですね。いきなりすごく強い種牡馬を出してしまったら、みんなそれを使っちゃって、偏っちゃうみたいなのはまずいので。
──薗部さんとしては、現役馬が種牡馬として出る点をどうとらえていますか?
薗部 売り切りじゃないから種牡馬の強さは固定化したくはないですよね。どんどん追加していく形にならざるを得ないでしょうし。とはいえ、追加するペースもこれから慎重に考えていかないといけないでしょう。
これまでの『ダビスタ』と新しい『ダビスタ』
──レースバランスはどのようなイメージになっているのですか?
西村 できるだけ考えないようにしていますね。あまり変に、差し馬を強くしよう、といったことを考えると偏りがちになるかなと思いましたので。ある程度、先行はこういうパラメーター、差しはこういうパラメーター、というのをざっくり決めています。後はシミュレーションをいかに再現するかというのを意識し、結果こういうバランスになりました、というイメージで作っていますね。レースの偏りはできるだけ意識しないようにしています。
──レースバランスについては、薗部さんも以前から気になさっていたことでしたね。
薗部 レースには、どうやったってベストはないわけですよ。とにかくデバッグをくり返して、いちばんいいレースが見られたらそれで今日は終わり、つぎは見ないでおこうって(笑)。いいレースシーンが見られたところで切り上げるという感じですね。
西村 分かります。やりすぎると考え込んじゃって何が正しいか分からくなるというのがありました。強い馬と弱い馬がブリーダーズカップで対戦できるんですが、弱い馬をどう扱うかが非常に難しいですね。強い馬同士だといい感じで争えるレースでも、弱い馬がジャマになって余計強い馬が勝てないみたいな展開にもなりますので(笑)。
──レースについては以前、『II』や『III』に近いという風にうかがっていましたが。
西村 もともと『III』や『96』あたりをイメージして企画を始めたというのがあります。そのころの印象がメンバーの中でも強いので。先行も勝ち、追込もすごい勢いで抜いていく。そのあたりを再現したいなというのはつねに考えていますね。
──レーススキップはこれまでにはなかった機能ですよね。
西村 そこは初期から設計に非常に気を遣っていました。スキップといっても内部的にはちゃんと計算していて、一瞬で全部計算しています。ですから、レースを見ているのとスキップしているのでは結果は変わらないです。
薗部 これまでの『ダビスタ』も、じつはデバック段階ではあったんですよ、表には出してなかったですけど。今回はソーシャルゲームとしては必要かなと思って承諾しました(笑)。
金山 基本的には、馬主になる臨場感を大事にしたいというベースがあります。その中で馬をたくさん育て始めると、やはり注目する馬とそうでない馬とが出てきますから、競馬場に観に行かないっていう意味でのスキップ機能を搭載しました。システム的なところじゃなくて、今日は観に行かない、みたいな。皆さんにはそういう風に受け止めてもらえればなと思います。
配合理論に新要素あり!?
──新しい配合理論はありますか?
姥 “よくできた配合”というのがありますね。表には出していないですが、相性も組み込んでいます。ただあくまで裏側のことであって、ゲームの表舞台には出てこないですけど。ある程度「これとこれの相性がよさそう」というのはにおわすんですけど、実際それがどういうものかはゲーム内で表現していないです。
──かつての『ダビスタ』にあった“ニックス”と同じようなものですか?
姥 そうです。ニックスがあった時代の『ダビスタ』を参考にしています。“よくできた配合”については、配合理論が苦手な人用ですね。さらに上級の“見事な配合”や“完璧な配合”まで行けるとさらに『ダビスタ』は楽しくなりますから、できるだけそこへ行ってもらいたいという意味で、1段階落とした配合理論である“よくできた配合”を作っています。
──“よくできた配合”は比較的成立しやすいということですね。
姥 そうですね。なんとなく成立して、血統表を見てみると、あとひとつ系統が揃えば“見事な配合”になるな、とわかってもらえるような配合です。
──配合理論は画面上にもきっちり表記されていて見やすいなと感じました。
姥 実際見事な配合や完璧な配合は牧場長の言っているニュアンスであって、名前ではないんですよね。どうしようかなとは思ったのですが、ゲーム中で表現している内容なので、違和感のないレベルで表記しています。
競馬初心者、『ダビスタ』初心者でも楽しめるゲーム作り
──新しい施設として馬体解析センターやウマゲノム研究所といったものもありますが。
姥 誕生した競走馬がどれだけ走るのかに思いを馳せるのが楽しみですが、それをあらかじめ把握できるのが馬体解析センターです。ウマゲノム研究所は配合するとき、この馬とこの馬をかけあわせたらどうなるんだろうな、というアドバイスをしてくれる施設なんです。
配合理論が分からない人はまずはそこで聞いてみる。わかるようになってきたら自分でやってみる。さらにやっていくとどんどん奥深くなっていって、あるときまた、血が偏ってきたなあ、どうしようかなあ、というときにも活用できます。新しいパターンや気づきを与えてくれるんです。
──ライトユーザー向けの要素も多く盛り込まれていますか?
姥 キャラクターがひとつずつ困難を越えていくことで、最終的に凱旋門賞へ行くというストーリーになっています。ストーリーを追わなくてもプレイはできるようになっていますが、とっかかりがわからない方はキャラクターとのストーリーを楽しみながらゲームを進めていってほしいですね。
──ほかに初心者向けの要素はありますか?
姥 目標がわかりやすいように、チャレンジ(ミッションのようなもの)を用意しています。競走馬を生産し、レースで勝ってお金を稼いでいくっていうのが基本の目標になるんですが、そこがよく分からないという人たちも出てくると思うので、チャレンジをひとつひとつ解決していって遊びかたを知っていってもらえればと思っています。
金山 まず何をしたらいいのかがすぐわかるように、キャラクターのセリフでアドバイスしたり、何もないときは先の週まで一気に送れたり。そういった配慮を入れています。
──効率よくプレイしいていくコツはありますか?
金山 ひとつはフレンドとの併せ調教ですね。もらえる“ダビフレポイント”で種抽選を引くことができます。後はオンラインでブリーダーズカップに愛馬を出走させて報酬を獲得すること。そういったマルチプレイを活用すればいいものが得られる仕様になっています。なるべく知り合いのかたといっしょに遊んでいただけると、効率よく進められると思います。
──施設の拡張は課金とゲーム内通貨の両方を使えるシステムになっていますね。
姥 レースに勝てるようになって、ちょっとずつお金が貯まってくると使う場所が欲しくなります。お金を使って施設を拡充させて、さらにまた強い馬を作って、またお金を貯めて……というサイクルで回っているほうが長く楽しんでもらえるので、ゲーム内通貨も使えるようにしています。
──全体的に課金するポイントは少ない印象ですが……大丈夫ですか?(笑)
金山 そのぶん、たくさんの人に遊んでもらえれば。安くてお客さんがいっぱい来る店みたいになれたら(笑)。
新要素“才能”が馬の個性を引き立てる
──新要素の才能についても詳細を教えていただけますか?
姥 名馬には固有の強みがある、という発想から盛り込んだのが才能です。強いものを出していくうちにどんどんインフレしていくゲームってあると思うんですが、それは絶対に避けたいなと。縦ではなく横の幅を広げたかったんです。たとえば同じ能力の馬ができたとしても、親からどの才能を受け継ぐかで、活躍できる場面が変わってきます。
基本的には親から子へと才能を受け継いでいくものですが、調教によって後天的に開く才能もあるはずなので、このタイプも本作に盛り込んでいます。それが“調教師が教えることによって何かに目覚めるパターンの才能”です。ただしこれは子どもには遺伝しません。
──才能は、レースバランス上は複雑になりそうですね。レースを調整する西村さんとしては、変なもの増やしやがって、と思いませんでしたか?(笑)
西村 (苦笑)。2段階でバランスはとろうかなと。まずは才能関係なくレースバランスをとったうえで、さらにそこから才能を反映させる。2段階構造です(笑)。
金山 ちょうど姥が、才能のレースバランスをとるために、3すくみで勝ち負けさせて、調整している時期がありました。やっぱりそのときは、いいレース見られたらそれで「今日の調整は終わり!」と帰っていたような記憶があります(笑)。
一同(笑)
金山 レース展開や状況によって結果がまったく違ってくるのが才能です。この才能をつけたら最強だ、みたいなのがあると冷めるので。たとえば、ある才能を持つA馬は、B馬には勝てるけどC馬には勝てない、でもB馬の才能はC馬には勝てるというように、3すくみのような関係をつくり、最強は作らないバランスを目指しています。
神谷 レース展開によって発動したりしなかったりするので攻略要素が増えるんですよ。才能を発動しやすくするにはどうするのか、メンバーを見渡して展開をイメージしながら挑戦する。そういった楽しみかたもあるかなと。ものすごく深いものになるはずです。もちろんそれがなくても楽しいものにはしていますが、上を目指す方はレース展開も含めて、ちょっとでも有利に運ぶため才能を意識してほしいです。
薗部 無意味な才能はないの?
姥 レースで役に立たない才能は、じつはあります(笑)。
薗部 パドックだけはやたらよく見せる才能とか(笑)。
姥 ぜんぜん勝たないけど人気がある、みたいなのも才能ですよね。
神谷 大舞台に弱いとかいうのも才能かもしれないですね。
姥 強い才能ばかりではなくて、こういうのを付けたらもっと好きになるなあという感じでも、才能を楽しんでくれるといいですね。
西村 とある騎手が乗ったときにスピードが上がるみたいな才能もあります。騎手の優劣というよりは、馬主体で考えている感じですね。
神谷 才能にはふたつのパターンがあると先ほど言いましたが、親から引き継ぐ先天的な才能は強いんですけど、発動条件は限定されています。逆に調教で付ける才能は広く使えるけれどそこまで強くはない設定にしています。レースの条件や展開が読めたら、これしかないっていう才能を遺伝や調教で付けるんです。見事に当たったら勝ちやすくなります。逆に当たってなかったら勝てません。そういった読み合いはブリーダーズカップで盛り上がるでしょう。
──才能を複数付けることは可能ですか?
姥 調教で教える才能は複数付けられます。引き継ぐ才能はひとつだけです。馬のポテンシャルというものがあって、馬自体が持てる才能の上限は決まっています。何個付けられるかは馬体解析センターで確認できますよ。
スマホで気軽にサクサク『ダビスタ』!
──ゲーム内イベントなどの構想はすでにありますか?
姥 ブリーダーズカップを公式で開催したいなと考えています。みんなで頂点を目指しましょうとか、名馬と戦いましょうとか。ほかにもとあるレースに勝てばふだんよりも賞金がもらえるよといった、限定的なレースイベントも少しずつ開催していくイメージで作っています。王者決定戦みたいな大きなイベントは、ちゃんとした告知をして、準備時間をもたせて、開催したいですね。自分の納得した馬をつくるには時間が必要ですから。
金山 ブリーダーズカップレジェンドっていうモードを企画していまして、ちょっと昔のすごい強力な馬が出てくる予定です。第1弾も皆さんご存知の、若干昔のすごい馬がライバル馬として出てくるでしょう。楽しみにしていてください。
──最後に、ここを見てほしい、ここは楽しいという推しポイントはありますか?
神谷 とにかくサクサク遊べるよう全力を注いでいます。快適性についてはゲームショウでも好評をいただけました。快適に遊べる仕組みにはこだわっているので、サクサクには自信を持っています。
姥 ユーザーの皆さんは昔の『ダビスタ』のイメージを持っていらっしゃるはずです。そこにはきちんと則しているつもりなので、『ダビスタ』ってやっぱり楽しいね、と感じながらプレイしてほしいですね。これまでの歴史があってこその『ダビマス』なので、『ダビスタ』らしさをファンの皆さんに楽しんでほしいです。
西村 レースの仕組みもこれまでの『ダビスタ』を踏襲し継承した作りをしています。その部分は感じてもらいたいところです。さらにスキップ機能などの便利な要素も見ていただきたいですね。後は冒頭に薗部さんに褒めていただきましたが、1年という短い期間でここまでやったという部分も(笑)。
金山 企画のスタート地点は、ダビスタを気軽にみんなで遊べるようにしよう、というものでした。その部分を、実際に体験してほしいです。
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ダービースタリオン マスターズ
- ジャンル
- 競走馬育成シミュレーション
- メーカー
- ドリコム
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iPhone/Android
- コピーライト
- (C)2016ParityBit
- 備考
- 配信・開発:ドリコム
著作:パリティビット
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