GREEからTAKE OFF!? 新スタジオ“ライトフライヤースタジオ”は何を目指すのか?

2014-05-29 20:00 投稿

動き出すグリー

2014年4月、グリーがスマートフォン向けアプリ開発を担う新スタジオ“Wright Flyer Studios(ライトフライヤースタジオ)”の設立を発表した。これと同時にスマートフォン向けの新タイトル2本も発表され、いま業界でにわかに注目を浴びている。

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同スタジオで代表取締役社長を務める荒木英士氏に今回の経緯と今後の展開について話を聞いてきた。

▲Wright Flyer Studios(ライトフライヤースタジオ)代表取締役社長の荒木英士氏。

GREEから離れたタイトルを生み出すため

――すでに開発力のあるグリー本体とはべつに新スタジオを設立されたのはどうしてなのでしょうか。

荒木 去年の秋から僕の方でネイティブゲームの部門を担当することになりました。グリーというブランドはお客さまから見るとSNSのなかにゲームがあって、ネイティブアプリを出す場合でもお客さまからのレビューに「何か手続きは必要ですか?」と聞いてこられる方が多いんです。

――ああ、たしかにそういうレビューも見かけますね。

荒木 そこで、ヒットタイトルを出している他社を研究し、同じような条件でネイティブゲームの開発をすることを決めました。でもそうするとお客さまに対する約束とか僕らが提供したいもののルールなどがGREEのゲームのときとは多少違うわけですよね。それを同じブランドから提供していると、違うポリシーで作られて、かつお客さまが想像するGREEのゲームとは違うものが同じアカウントから配信されることに違和感を感じてしまう人もいるんじゃないかなと思ったんです。であれば、新しいブランドを設立して、ネイティブゲーム専門で既存のブラウザゲームとは全然違うものを提供しようと、新スタジオ“Wright Flyer Studios(ライトフライヤースタジオ)”を設立しました。

――では当面はグリーと違うんだよということでスタジオの名前のアピールがメインになっていくのでしょうか?

荒木 いえ、いまはスタジオ単体としてスタジオ名を前面に押し出す形ではなくて、まずはいいゲームを楽しんでもらうことが重要だと思っています。このスタジオから出てくるゲームを、おもしろいものだと認めていただければ、それが結果的に信頼感のあるブランドになっていくのかなと思います。

――なるほど。では改めて確認すると、完全にネイティブ専門で、グリープラットフォームに乗らないものの開発を行うのが、“ライトフライヤースタジオ”の役割ということですね。発表されている2本もそういう形のタイトルというわけですね?

荒木 そうです。

▲Wright Flyer Studios(ライトフライヤースタジオ)のロゴマーク。

常識にとらわれない発想とテクノロジーによる挑戦

――新スタジオから配信されるゲームにはどんなコンセプトや思いが込められていますか?

荒木 いろいろ考えたんですが、やっぱりゲームにユーザーさんが求めているものって、新しい体験や何らかの驚きや楽しさだと思うんです。ですのでそういうものを提供したいというのが出発点にはあります。それと同時にブランド名やスタジオ名というのは自分たちがどうありたいかということの現れでもあると思っています。スタジオ名にある“ライトフライヤー”は、ライト兄弟が人類初の有人飛行を成功させた飛行機の名前から取っているんですけど、それがすごくいいなと思ったのは、テクノロジーの勝利の証明であると同時に、それまで人が飛べるはずないと言われていたことを、たったふたりでがんばって挑戦して成し遂げたというところです。それにならってスタジオ名を決定しました。

――会社自身の挑戦する姿勢を表しているんですね。

荒木 少し補足すると、太古の昔から人は鳥のように翼をつけて羽ばたいて飛ぼうとしてきました。すでに飛んでいるものをマネて飛ぼうとしていたわけです。ただ、いまの飛行機の形を見るとわかるんですけど、鳥とは似ても似つかないんですよ。どうしてあそこに辿り着いたかというと、「鳥を真似するんだ」ではなくて揚力を発見して、流体力学みたいなものを研究しながら、「そんなの飛べるはずないじゃん」と思われる形に技術と論理でたどり着いたというところがおもしろいところだなと思っています。ですから僕らもパッと見や常識にとらわれず、ちゃんと理詰めでテクノロジーで挑戦していくというところで通じるものがあるかなと思います。

――なるほど。ただ、しっかりしたネイティブアプリを作っていくとなるとある程度の規模は必要になってくると思います。いまスタジオは何名くらいで稼働しているんですか?

荒木 いまは130人くらいです。

――発表された2タイトルは完全に内製ですか?

荒木 そうですね。ただ、スタジオ内にはパブリッシングをやっている部門もありまして、そこでは他社さんと協業したプロダクトの開発もやっています。

――本当にネイティブアプリの専門部隊といった感じですね。

荒木 スタジオ部門のなかにはマーケティングのチームもありますし、ネイティブアプリという事業を行うために必要な機能はひと通り有しています。

なぜグリーは苦戦したのか

――グリーさんは以前ゲームショウなどでネイティブアプリを推していた時期があったと思うんですが、そこに関しては苦戦されていた印象があります。今回新たなフライトをされるにあたって、当時のことをどう分析されているのでしょうか?

荒木 まさにご指摘のとおりで結構苦労してきました(笑)。その理由を考えると、さまざまな面での蓄積不足だったと思います。ブラウザゲームをやっていたところからネイティブに行くのってそう簡単なことではなく、本当に地道にテクノロジー進化に合せたゲーム製作、それに伴って組織規模も変わってくるのでマネジメントの仕方も違います。マーケティングもそうですね。あらゆることが変わってくるので、ある程度失敗も含めて経験しないとうまくいかないんじゃないかなと感じています。過去2年間くらいの試行錯誤はまさにその蓄積の期間だったのかなと思っています。

――蓄積がようやく溜まってきたという手応えは感じていますか?

荒木 そこはかなり感じています。ゲームは配信して初めてうまくいったかどうかがわかるものですけど、いま作っている2タイトルは着手からリリースまでのプロセスにもすごく注目しています。よく言われることに「成功に鉄則はないけど、失敗するときはだいたい似ている」という言葉がありまして、たしかにプロジェクトの途中経過を見ていると、うまくいきそうなプロジェクトと失敗しそうなものがわかるようになるんですよね。そういうときに早く手を入れて立ち直らせるということをやってきました。少なくとも直近2ヵ月のチームを見ていると、明らかに開発力も上がっていますし、スピードも早くなっています。いろいろな蓄積、経験を経て成功に近づいている感じはします。

――荒木さんはアメリカのほうではネイティブアプリで成功されて、日本に戻られたとお聞きしたんですが、なぜ海外ではうまくいって日本では苦戦したのか、市場の違いを教えてもらえますか。

荒木 市場は全然違いましたね。僕がやっていたのは英語圏ですが、まず潜在ユーザー数が違います。日本では5000万人規模ですが、海外だとそれが数億人規模になります。さらにその数億人に多様性があるというのがいちばんの違いだと思います。

そこで海外でプロダクトをリリースするときはマーケティング主導になるのですが、どういうユーザー層が何を好みにしていて、どういうビジュアル、キャラクター、ストーリーが好きかということをマーケティングベースで抑えて統計的にアプローチしていくというやり方になるんです。例えば新しいタイトルを作ったらまずオーストラリアとカナダで出すんです。両国とも趣味嗜好がUSに似通っているけど市場規模は小さい。ここで結構長い時間をかけてチューニングをして準備ができたらUSでスタートさせるということです。

――仮想国で実際に配信して情報を得るというのはかなり大規模なマーケティングですね。

荒木 でも日本だとそういうテストマーケティングをする市場が無いんです。そうなるとApp Storeで目立つとか、話題になるとか、テレビに出るとかそういうことが重要になってきます。そういう状況だと統計的なアプローチは難しくなります。ですので、よりインパクト重視というか、パっと見で話題にしてもらえるか、メディアに取り上げてもらえるか、そういうところの比重が高いんです。それが僕が両方を見て気づいたことです。

――だから最近はネイティブアプリのテレビCMがすごいのかもしれないですね。

荒木 逆にテレビがそういう広告のチャンネルとして使えるのは日本独自のいいところだと思います。あまた有るタイトルのなかから頭ひとつ抜きでて、幅広いユーザーにアプローチでき、数字が読めるところまでいけるというのはいいですね。

――グリーもアメリカではマーケティングを活かした施策が相当効果を上げたんですね。

荒木 少なくともグリーのUSではそこがすごく大きかったですね。とはいえネイティブゲームを作っていたチームをいくつか買収していたりもしたので、そういう技術や開発手法の獲得をしたことで試行錯誤の過程をスキップできたというのも要因ですね。

――日本のいまのスマホゲームアプリ市場をどう見ていますか?

荒木 いいところとよくないところがあると思っていて、いいところは先ほど言ったようにプロダクトが成功するかどうかが話題だとか新しさといったところに結びついているところだと思います。さらに開発会社が多く競争が多い。いい意味で切磋琢磨できていると思います。新しいものをみんなが作ろうとしている……それはすごくいいことだと思います。

――では、悪いところはどこでしょう?

荒木 僕が危惧しているのは、競争が激化してきて開発費が高騰し、限られたマーケットで戦っていると企業の体力が切れてパンクしてしまうところがどんどん出てきてしまう。そうなると大きな企業しかタイトルを作り続けることができなくなり、しかも日本で成功しようとして完全に日本マーケット向けのものになって海外では売れなくなってしまう。そのあたりは心配しています。

――たしかに徐々にそうなってきているのは感じますね。アジア圏であれば日本のやり方が通用するところもあると思うんですが、英語圏だとそうはいかないですよね。

荒木 僕はちょうど3年前にアメリカに行きましたが、実際はその半年くらいまえからいろいろな会社を見てきました。その当時はまだソーシャルゲーム黎明期で、数字の見方や、ゲーム内のイベントはもちろん、そもそもバーチャルグッズ(課金アイテム)を買ってもらうという概念がようやく現れ始めた段階だったんです。当然日本のほうがはるか先を行っていましたので、「グリーはすごい」「めちゃくちゃ進んでいる」と言われましたし、企画面もデザイン面も分析力も技術もすべてが上を行っていたはずなんですが、それがいまは追いぬかれていると感じています

――マーケットの中心はアメリカを中心とした欧米になってますね。

荒木 Supercellさんはアメリカではなく欧州のデベロッパーですがいい例で、彼らはバーチャルグッズをどうしたら買ってもらえるかということもよく考えているし、ゲームとしてのおもしろさもしっかり抑えている。高品質なものを作る技術の開発プロセスみたいなものも整っています。日本が得意としてきたイベントだったり、数値ベースでチューニングしていくということもかなり学んでいます

――Supercellはローカライズの点もしっかりしていますよね。

荒木 その他に欧米企業の特色だと思うのは、細かい部分で専業の会社が生まれるところですね。ソーシャルゲームの数値分析するための基板を作る会社、みたいなところが生まれて、それだけに特化して技術を洗練させていくんです。そうするとゲーム会社は自社でその部門を持たなくてもよくなりますよね。全部自分のところでやろうとする日本は、技術の伸びも遅くなっていつの間にか置いて行かれてしまうんです

――なるほど。

荒木 ただ、個人レベルに目を向けると、細かいところまで突き詰めていく能力、磨き上げるとか、細部を仕上げるとか、そういう部分に関しては日本も優れていると思います。ですから僕は今回の新スタジオでは、アメリカ的なスケーラブルなモノ作りの仕方、外部をうまく使うこととか、内部であってもコミュニケーションをすごく重視しているようなモノ作りの仕方を日本の職人的な部分とうまく組み合わせたいというのが個人的な裏テーマとしてあります。

――それは壮大ですね。荒木さんはブラウザゲームもネイティブもやられてここまできていると思うんですが、作る側にとってそのふたつの大きな違いはどこなんでしょう。

荒木 うちのスタジオにいる、コンソール業界で活躍していた人とも、よくディスカッションをするんですが、ファミコン時代とAAA(トリプルA)タイトルの違いに似ているんじゃないでしょうか。このふたつはどちらもゲームだし、おもしろさの本質みたいなところも変わらないと思うんです。ただ、ファミコン時代は少数小規模で作っていたと思うんですね。そうすると試行錯誤が手軽にできるんです。僕が最初に作っていたブラウザゲームは3人くらいで作っていました。それだとリリース1週間前とかでもひっくり返せるわけですよ。逆にそれを何回もやってクオリティーを上げていくというのが初期のWebゲームやファミコン時代の作りかたでしたね。

――少人数だけどアイデアを擦り合わせて段階的に質を上げていくわけですね。

荒木 これがAAAタイトルになると開発体制が多分500人規模になるでしょう。500人が同じものを同時に作るというのは、3人でひっくり返しながら作るのとはまったく違う手法が必要になってくるんです。きちんとしたプロジェクトマネジメントはもちろん必要です。そしてひとりがすべてを把握するのは不可能なので、きちんと分散した意思決定や命令系統が設計できていないといけない。あとはゲームエンジンがありますよね。それがあることで500人が分散しても物事が成り立つわけです。すり合わせベースでのモノの作りかたではなくて、分散・自立協調型の開発体制やチームワークというものが求められるんです。

――たしかに大きな規模になるほど関わる人が増えますから、ひっくり返すんじゃなくてまとめる必要がありますね。

荒木 ネイティブゲームをやってみてわかったのはしっかりプロジェクトマネジメトができないと、ゲームの良し悪しとかではなく、そもそも完成しないんですよね(笑)。作っている最中に何を作っているかわけわかんなくなっちゃう。技術的な方針転換やコストの問題で右往左往しているあいだに半年が過ぎちゃったりして、完成しないんです。

――先ほど苦戦とおっしゃられた2年間が社内のチームワークを磨くいい期間になったのかもしれませんね。

荒木 結局いま成功しているコロプラさんも“Kuma the Bear”で初期の頃何十タイトルも出して蓄積してからの『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』をリリースしましたよね。ガンホー・オンライン・エンターテイメントさんしかり、Supercellさんしかり。1本目からいきなり成功したわけではありません。

――Kingなんかもそうですよね。

荒木 Kingさんも10年かかっていますからね。そういう組織的な蓄積はスキップすることはできないんだと思います。賢くやって早く追いつく必要はありますけど、これは地道な筋トレみたいなものでスキップはできないんだなということは実感してます。

――『ウィズ』を作られた浅井さんも同じようにおっしゃってます。作って反省作って反省で地力をつけて、そのなかから『ウィズ』が出てきたということなので。

荒木 僕らも去年の末くらいから“筋トレプログラム”をやっていて、成果は出てきていると思います。ゼロから作ってリリースまで経験できる機会って、意外と少ないんです。その経験者をもっと増やしていかないといけないと思っていまして、そのために1チームを少なくして、プロダクトの制作期間を短くしてやってきました。

期待が高まる2タイトル

――では満を持して今回の2タイトルを配信するというわけですね。それぞれどういったことをコンセプトにしたタイトルなのでしょうか。

荒木 『天と大地と女神の魔法』はリアルタイムストラテジーで『クラッシュ・オブ・クラン』っぽいゲームです。『クラクラ』が出た直後に僕もおもしろいと感じたんですけど、PvPが中心のゲームデザインは日本では受け入れられにくいんじゃないだろうかと思いまして、もう少し機能面は変えてみよう、というのが担当プロデューサーからの提案でした。育成・協力要素を入れるのが日本市場では重要かなと思っています。ですからロードというメインキャラクターがいて、それをどう育てていくかという部分がゲームのキモとなります。

――育成があると長期的にプレイできますもんね。ほかに注目してほしいところはありますか。

荒木 今回技術的にチャレンジしたことは、リアルタイムのマルチプレイヤーモードです。同じマップで複数プレイヤーが同時に敵を攻めるという協力モードがあります。リアルタイムにバトル画面にオーバーレイするチャットができることや、相手の動きを見ながら攻め方を変えたりといったことができるのは非常に挑戦したポイントだと思います。技術的にはハードですけど、そこはこれまでのグリーの蓄積が生きています

~『天と大地と女神の魔法』PV~
――決して『クラクラ』と同じではないということですね。『消滅都市』のほうはどうですか?

荒木 こちらはいちばん最初にチームにプレゼンしてもらった案とは全然違うものになったんです。

――そうなんですか! もともとはどんなゲームだったんですか?

荒木 最初はもっと王道RPGっぽい感じをリクエストしてたんです。それまではコマンドバトルの王道RPGがまだあまりなくて、絶対やるべきだと思っていたんですけど、『ブレイブフロンティア』を皮切りに同時期に結構たくさん出てきてしまったんです。それでこりゃまずいぞと思いまして、チームには「王道RPGにこだわらず、もう一度、本当に作りたいもの、届けたいものを提案してほしい」ってお願いをしました。そこで発想の枠がいい具合に外れて新しい案が出てくるようになったんです。

――結果的にはいい方向に行ったわけですね。

荒木 そこでいちばん最初に出てきたのが、“男と少女の物語にしたい”というものだったんです。じつはこれって鉄板の座組なんですね。映画なら『レオン』ですし、去年大ヒットしたコンソールゲームの『The Last of Us』みたいなのは絶対ウケると思いました。しかもそういうストーリーや世界観を掘り下げたものってモバイルではあまりなくて、あったとしてもがっつりとしたファンタジーもので、現代を舞台にしたものは少なかったです。これに関してはキャラクター設定も世界観もいいから、変に中庸にしないで尖った方向にやりきってくれというオーダーは出しました。

~『消滅都市』PV~
――両作品ともかなり手応えを感じていますか?

荒木 『天と大地と女神の魔法』はたぶん本格的なマルチプレイゲームを遊びたいコアなお客さまに受け入れて頂けるんじゃないかと思います。社内でプレイ会もやっていますがいい反応を得られています。『消滅都市』のほうはキャラクター、世界観にエッジが立っていてゲーム内容は横スクロールのアクション+RPGという、お客さまの慣れ親しんだゲーム性を組み合わせるというチャレンジをしているので、幅広いお客さまに、新しい面白さを届けられるんじゃないかなと思っています。スタジオとして、さまざまなお客さまにリーチしたいと考えながら制作しています。

観て盛り上がれるゲームがキーワード

――この2タイトル以外のラインアップはどのような予定になっているのでしょうか?

荒木 すでに開発中のものは3タイトルあります。ここからさらに何ラインか仕込んでいこうとは思っています。

――アプリの開発って数ヵ月先を見据えないといけないと思うのですが、どういう指針でタイトルの選定をされているんですか?

荒木 難しいですよね(笑)。とくにこのジャンルがくるとかってことはわからないのですけど、もう少しマクロに考えていることはあります。最近ゲーム実況とかeスポーツといったものが世界的に盛り上がっているじゃないですか。それは“観ても楽しい”ものとか、ゲームを観るという行動を中心にそこに“コミュニティやコミュニケーションが発生”しているということなんですよね。

――ゲーム実況なんかはモバイルでも大きな流れが来ていますね。

荒木 日本だとプロモーション手段がある程度限られていて、話題性や口コミが重要だということを考えると、“観て話題にしたくなるゲーム”あるいは“複数で観ておもしろいと思えるゲーム”というのが重要になってくるのかなと思っています。そこを中心に考えるといいものが生まれてくるんじゃないでしょうか。ゲーム性が面白いことはもちろんですが、見ても楽しめることが重要だと思います。

――たしかに。いまのゲームって、おもしろくないものってそんなにないんですよね。ただ、手に取るかどうかっていうのはそういうところにあるのかもしれないですね。では最後にライトフライヤースタジオに期待するユーザーの方たちにひと言お願いします。

荒木 このスタジオからは新しいゲーム体験を提供していきたいと強く思っています。まずは日本向けで出しますが、大きな市場である世界向けにも出していきたいと思っていますし、そのうえでブランドに対する信頼が得られるようなスタジオにしていきたいなと思っています。ここから出るものはいつも何かひと味ちがう、おもしろいねと思ってもらえるようにしたいですね。あとは、先日バンコクに行ったら屋台でご飯食べている年配の女性が『LINEレンジャー』をやっていたんです。生まれた国とは別の国・別の言語でまったく知らない人が遊んでくれている、僕もそういうゲームを作りたいなと思いましたよ。いまのスマホのゲーム市場はそれができるところなので、目指していきたいですね。

――ああ、それは壮大ですね。今日はありがとうございました。

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