松野泰己氏も参加する新作タクティカルRPG、なぜkickstarterを利用するのか聞いてきた

2014-01-17 23:46 投稿

もう30万ドル達成

昨年の東京ゲームショウで電撃公開されたタクティカルRPG『Unsung Story: Tale of the Guardians』は、『ファイナルファンタジー タクティクス』や『タクティクスオウガ』を手がけたゲームクリエイター松野泰己氏が関わる作品として話題を呼んだタイトル。松野氏がゲームの原案、世界観を担当し、ゲーム開発はデジタルプラットフォーム向けにカードゲームなどを開発・配信してきたplaydekが担当。音楽はストレッチゴールを達成すれば『戦場のヴァルキュリア』シリーズや『ファイナルファンタジー タクティクス』で知られる崎元仁氏がリードコンポーザーとして関わるなど、ゲームファン垂涎の豪華布陣で開発される。

すでにファミ通.comでお伝えしているとおり、この『Unsung Story』の開発プロジェクトがkickstarterに登録された。kickstarterはユーザーに開発資金を調達するサービスで、日本ではあまりなじみはないかもしれないが、海外ではゲームのみならずさまざまな新規プロジェクトで利用されている。出資額に応じてプロジェクトがリッチになるほか、還元の形は各々異なるが、出資者へのリワードが発生することもあり。ファンもいっしょになって盛り上がれることが最大の魅力だろう。

※kickstarterのサイトはこちら

この『Unsung Story』は、iOS、Androidでのリリースは決定しているが(日本語も対応)、出資額が60万ドルに到達すれば、Windows、Mac、Windows Tablet、Linux向けにもリリースされ、さらに出資額が増えるようであれば、ニンテンドー3DSやプレイステーション Vitaへも対応するという形。リリース時期は2015年の夏予定。

なお、本プロジェクトへの出資者はすでに約8000人、出資額は約30万ドルにも上る(1月17日現在)。出資締め切りとなる2月14日までは残り28日もあるため、どれほどまでストレッチゴールが広がるかが注目されている。

【ストレッチゴール内容】
80万ドル到達:5つの追加シナリオ
90万ドル到達:Alexander O. Smith(『ファイナルファンタジー12』等を翻訳)、Joseph Reeder(『ファイナルファンタジー タクティクス』等を翻訳)が字幕翻訳として参画
100万ドル到達:新クラスを2種追加、新しいゲームモードを追加
115万ドル到達:チャレンジモードの実装
130万ドル到達:崎元仁氏主導によるサウンドトラックリリース
140万ドル到達:5つの追加シナリオ
150万ドル到達:アリーナモードの実装
160万ドル到達:崎元仁によるボーナスミュージックトラック発注、2つの新クラス実装
180万ドル到達:PlayStation Vitaへの移植
200万ドル到達:Alexander O. Smith翻訳によるボイスオーバー(翻訳元のボイスに、翻訳後のボイスをかぶせる手法)
220万ドル到達:Co-opモードの実装、5つの追加シナリオ
230万ドル到達:2つの新クラス実装
260万ドル到達:フルオーケストラ音源のサウンドトラック収録
280万ドル到達:ニンテンドー3DSへの移植
310万ドル到達:崎元仁氏によるライブコンサート開催
320万ドル到達:マップクリエイターモード(プレイヤーがマップを作り、それをコミュニティを通じて他社と共有する機能)を追加

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『Unsung Story』をおさらい

本作のゲームジャンルは、タクティカルRPG。ふたつの大国が77年に渡って戦争を続ける“Rasfaila”というファンタジー世界を舞台としたものになる予定だ。プレイヤーは過去の戦争や偉人などを研究し、それらの追体験をすることによりゲームを進めていく。また、プレイヤーが何を研究するか、どのように政治や戦争に関わるかによってストーリーは異なる展開を見せていくそうだ。さらに、戦況によってプレイヤーキャラクターのクラスを変更できるシステムも搭載予定。現時点で公表されているクラスはWar Mage、Ballast Knight、Polearm Knight、Aerolestの4種だ。

なぜkickstarterで資金調達?

 
▲左がplaydekのCCOのジェフ・ガルステッキ氏、右がCEOのジョエル・ゴールドマン氏。

ではなぜkickstarterで資金調達することになったのか? タイミング良く来日していたplaydekのジョエル・ゴールドマン氏に話を伺ったところ、「東京ゲームショウで情報を公開したら、いろいろなところからPCやコンシューマーでもプレイできないの? という強い要望を多くいただきまして。より多くのユーザーに遊んでもらうためにkickstarterを利用しようと考えました」という。「開始からわずかな期間で30万ドル達成は、松野さんの人気の証」と話すジョエル氏は、すでにPC、Vita版を開発する気満々に見えたけど……(笑)。kickstarter終了後もゲームの公式サイトをオープンし、そこでPayPalなどでさらに出資を募るとのこと。『Star Citizen』というタイトルでは、kickstarterで220万ドル(日本円で約2億2880万)、その後も自社サイトで継続的な出資を募り、最終的には2800万ドル(29億1200万)まで積み上がった例もあるという。海外ではクラウドファンディングが定着しているのだ。

本作の気になるリリースは「2015年のどこかで(笑)」とはぐらかされたが、kickstarterで達成すれば”全ハードで同日リリース”を狙っているという。直近では、今年6月に行われる世界最大のゲーム見本市”E3″でコンセプトモデルの出展も検討しているとか。最後にジョエル氏は「みなさんは松野さんのこれまでの素晴らしいゲームを知ってますよね。だからこそ、『Unsung Story』にも同じような魅力を求める方も多いと思います。ゲームを作るのは我々playdekですが、その期待に見合うようにがんばります」と力強くコメント。スマホゲーム業界だけでなく、ゲーム業界全体で期待されるタイトルなのは間違いない。

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