COLINA: Legacyの概要

レビュー

投稿日2019.10.26

海で溺れてしまった息子を探し、助けを求める母の叫び声。

そんな回想からどれだけの月日が過ぎたのか、父が運転する車に乗った3人は祖母の住む屋敷を目指し、雨が降る夜の山道を走り続けていた。

本記事で紹介する『COLINA：Legacy』は、たった1人祖母の屋敷で目覚めたアレックスの身に起こる数々の奇妙な出来ごとを解決。奇声を上げて襲いかかる人形を退治しながら、過去の記憶と真実を明かしていく脱出ホラーアクションゲームだ。

ゲームの見どころ
●バトルと謎解きどちらも本格志向の屋内探索
●物語の確信に迫る膨大なアーカイブデータ

祖母の屋敷に向かう車内で口論をくり返す両親。ニーナ（母）は母親を心配しながらも不満を語り、ピエトロ（父）はそれをやさしく受け止めなだめている。

なんだか訳あり家族感が半端ない冒頭に、どう受け止めていいのか悩んでいたら、ニーナから寝ていなさいとうれしい提案。寝たふりでもして気まずい空気をやり過ごすことに成功するのだが……。

本作の舞台は祖母の屋敷とその敷地周辺。アレックスにとってはなじみのある場所のようだが、彼以外だれもいないそこは異世界そのもの。

怪音が鳴り響くそこは完全にお化け屋敷。居心地は最悪としかいいようがない。

そんな中でくり広げられるのが奇妙な人形との戦闘と難解な謎解きだ。

懐中電灯の明かりに“グリフ”という記号を組み合わせて行うアクションには、攻撃や解読などさまざまな効力がある。

また、薄暗い空間で壁や天井などあらゆる場所に隠されたメッセージを明かりで探り、それをヒントに謎を解く仕掛けは孤独で不安な気持ちを倍増させていく。

懐中電灯にはバッテリーの概念があるが、序盤で入手する充電器を使えば何度でも利用可能。セーブポイントと電源のある場所をしっかり覚えておけば、5時間程度でクリアーできるだろう。

クリーチャーとの戦いもあるが心理的な恐怖のほうが比率は高め。どこまでもつきまとういい知れぬ不安に心を支配されないよう気をつけてもらいたい。

過去の記憶から始まり祖母の屋敷に置き去られる本作。

意味深な会話や演出が多い反面、それを具体的に説明するムービーやゲーム展開は少ない。

そこで注目したいのがいたるところで入手できる手紙やメモなど膨大な数のアーカイブだ。

大半のアーカイブは文字量が多く、フォントサイズも小さいので読むのがつらい。

こうしたデータを読み飛ばしてしまうユーザーにとっては面倒な要素だが、祖母の屋敷がいかにして変貌していったのか、周囲から聞こえる怪音や声の意味を知る重要なポイントだ。

ちなみに本作は2018年にSteamでリリース。それをスマホ版にローカライズした買い切りタイプ。操作性に多少クセがあったり、アーカイブの文字が小さ過ぎるといった点はあるが、日本語訳されているので問題なく楽しめた。

『バイオハザード』よりは『サイレントヒル』テイスト好きなという人はぜひ、プレイしてもらいたい独特な世界観だぞ。