レビュー
投稿日2019.05.25
軽はずみな心霊検証にはご用心
H県A市には車で走行中に奇妙な声が聞こえる古い廃道があるという。
そんな話題で盛り上がる女性ふたりが、噂の真相を確かめるため現場を目指してドライブを開始する。
本記事で紹介する『止まれ』は、簡単な選択肢を通じて物語が派生していくホラーノベル。さまざまな結末を経験していくことで真相に迫っていく読み応えのある物語に注目だ。
ゲームの見どころ
●多彩な結末から物語を紐解く廃道の恐怖
●何度でもやり直せる便利なりスタート機能
多彩な結末から物語を紐解く廃道の恐怖
この世に溢れる怪談話の大半は根も葉もない噂。たとえば“学校の7不思議”が本当なら全国すべての学校に存在しているということになるしそうなればもはや事件だ。
本作に登場するのは廃道の噂を持ちかけてきた信じるA子とそんなのありえないと疑うB子(本編中な無名)。対照的な女性の会話から始まる。
古い廃道を走行中に聞こえる“止まれ”という声。
最初は無関心だったB子が気を利かせ、声に従わないとどうなるのか問うと「それは私も知らない」とA子。
無責任な回答に思わず「何だそりゃ!!」と筆者。B子の「なにそれ? 馬鹿みたい」というセリフの通りである。
そんな雑なネタフリに刺激されたのか、B子は廃道へのドライブを承諾するのだ。
聞こえるはずがないと信じていたものが聞こえだし、この話題を持ちかけ助手席に座っていたA子の様子も明らかにおかしくなっていく。
“止まれ”という声に従うか否か。
そしてその正体を追求すべきかとB子の中でさまざまな葛藤が生まれる。
物語の軸になっているのは王道展開そのものだが、ときには脱線したコミカルな演出が飛び出すなど、周回プレイに作業感を感じることなく最後までプレイできた。
また、一見関連のなさそうな多彩な結末に重要なヒントが隠されており、回を重ねていくことでそれら点と点がつながってくプロセスはとてもよかった。
そしてとある結末にたどり着くと、想像もしていなかった驚きの展開が告げられる。
もしかすると本編中の何よりもビックリしたかもしれない。
達成度100%を目指したくなるクリエイターからのメッセージは必見だぞ!!
何度でもやり直せる便利なりスタート機能
本作は救われない結末をくり返しながら、プレイヤー自身がこの世界の在りかたを補完してくことが重要。それをストレスなくアシストしてくれるのが、バッドエンド後に最後の選択肢までさかのぼるリスタート機能だ。
ただひとつ、これは誰しもが感じる不満だろうが、テキストの表示速度がとても遅くてテンポが悪すぎる点だ。
1度読んだテキストはスキップできるのだが、便利なリスタート機能のおかげで大半が新しいルート。ゲームの世界観やその他の仕組みはとてもいいのに、このじれったい仕様が全体の評価を下げかねない。
さて、怪談に否定的な前振りから始まったが筆者はこうした話題が大好き。霊感もなければ見えたこともないが、そうした“何か”があると信じている。
だからこそホラーゲームを頻繁に取り上げ、いろいろ考察しながらプレイしてしまうのだ。
ぜひ、自分なりの解釈でこの物語の答えを導き出してほしい!!
P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
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