【新作】ゲルマン民族の祖先が残した聖域をめぐる冷戦時代のドイツを舞台にしたSFミステリー『Truberbrook』

投稿日 2020.11.01

盗まれた物理学者の論文と2つの思想

物理学者のハンズ・タンホイザーは偶然当たった旅行券を手に、母国アメリカから遠路ドイツの田舎町トルバーポークを訪問する。

その初日、宿屋で研究メモを盗まれてしまったことをきっかけに、ハンズ・タンホイザーは先住民の文化と科学技術が入り交じる不思議な事件に巻き込まれていく。

本記事で紹介する『Truberbrook』は、1960年代のドイツをベースにしたパラレルワールドを探索するSFミステリー。

レトポロジー(写真測量)という技術を使ってレンダリングされたジオラマの町を歩き、謎を解き明かしていく未知なる冒険を始めよう。

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ゲームの見どころ
●旅人たちの思惑が渦巻く小さな町の不思議体験
●多大な影響を与えた人気海外ドラマと関係性

旅人たちの思惑が渦巻く小さな町の不思議体験

世界が科学技術への信仰を強く抱いていた1960年代、本作の舞台である当時のドイツといえば共産主義と資本主義の対立により東西に分離していった時代でもある。

主人公ハンズ・タンホイザーが訪れるトルバーポークはかつて炭鉱と観光業で栄えた町

パラレルワールドでありながらも当時を連想させる景色がそこかしこから感じられる。

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本作は物理学者のタンホイザーと古人類学生のグレッチェン、おもにこの2人の視点で描かれていく。

トルバーポークの宿で出会うグレッチェンの目的はゲルマン民族の祖先が残した聖域の調査。

研究メモを盗まれ途方に暮れるタンホイザーと彼女は、互いの目的を達成するために手を組み探索を始める。

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操作の基本はポイントアンドクリック方式

画面上の気になる場所をタップすると“会話”“調べる”、シチュエーションによっては“アイテム”などの扇状のウィンドーが表示される。

また、画面左下にあるコマンドは探索可能なポイントをすべてマーキングしてくれる超便利機能。

もっさりしたポイントアンドクリック操作にじれったさを感じるが見落とし防止のアシストは素直にうれしい。

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調査をはじめてまもなく、タンホイザーは奇妙な施設に隔離される。

それをきっかけにのどかな田舎町のイメージがいっきに豹変。ミステリアスな世界にプレイヤーを誘っていく。

ゲルマン民族の祖先が残した聖域は本当にあるのか。

そして、物理学者のメモがそれにどう関わっていくのか。

相容れない2つの思想が重なっていくストーリー展開は必見だ。

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多大な影響を与えた人気海外ドラマと関係性

トルバーポークに流れるのはジャズを基調にした静かなサウンド。過疎化した町と大自然を包み込む楽曲も本作の世界観を際立たせる印象的なポイントだ。

そんな本作をプレイして強く感じたのが1990年に大ヒットした海外ドラマ『ツイン・ピークス』の存在である。

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また、『X-ファイル』や『ストレンジャー・シングス』などのオマージュを感じさせるアプローチも多い。

先述した『ツイン・ピークス』を含め、それらが過去の名作を引用し構築されてきた先駆けとするなら、本作はその流れをくむ新しい作品であり敬愛を感じられる内容だった。

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全体的なストーリー展開は想像の範囲内であり、どこまでいってもお使いを強いられるプレイは少々退屈。

例に出した海外ドラマに通ずるSFミステリー要素は好印象だが万人受けしにくいテーマだ。

筆者にとっても大好物な世界観、しかしみなさんはどう受け止めるだろうか。

プレイステーション4版やNintendo Switch版のパッケージ価格3636円(税抜)に比べれば、アプリ版は600円前後なのでとてもリーズナブル。

少しでも興味を持てた人はチャレンジしてもらいたい。

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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

ゲーム情報

タイトルTruberbrook
対応OSiOS/Android
配信日iOS:2020年8月12日
Android:2020年8月12日
価格iOS:610円[税込]
Android:600円[税込]
ジャンルアドベンチャー
コピーライトTrüberbrook is developed by btf and published by Headup GmbH. Copyright © 2017 - 2020 btf GmbH.