レビュー
投稿日2018.02.22

身の毛もよだつ恐怖の謎解き
色とりどりの屋台が並ぶ活気溢れるお祭りで、幼い兄弟はかぼちゃや貝などの雑貨を売っている老婆と出会う。
弟はそこに置かれていた青い鳥のぬいぐるみに興味を示すもお金がなく。老婆もそれは売り物ではないと告げるのだが、どうしても我慢できない弟は大きな過ちを犯してしまう。
本記事で紹介する『しあわせのあおいとり』は、お祭りの夜に見た夢の世界で不可解な出来事に遭遇していく、『償いの時計』を手掛けたデベロッパーによる最新ダークアドベンチャーだ。
●弟が犯した罪と向き合い救い出す兄の物語
●小さな世界に凝縮された謎解きパート
弟が犯した罪と向き合い救い出す兄の物語
青い鳥のぬいぐるみをあきらめきれなかった弟は、老婆にしつこく言い寄るがあきらめろとバッサリあしらわれてしまう。
そのとき、電話に呼び出された老婆は屋台から離席。悪魔が手招きをしたのか、一瞬の隙きをついて弟は青い鳥のぬいぐるみを盗んでしまうのだ。
夢の中で兄が出会ったのは屋台で売られていた青い鳥のぬいぐるみとそっくりな“鳥頭”と呼ばれる人間の言葉を話す鳥だった。
“釣りは最高であり人生だ”と語る鳥頭は、夢の世界に迷い込んだ兄にいくつかの願いごとを申し出る。
一見すると歓迎ムードの鳥頭ではあるが、弟の犯した罪を知っているプレイヤーにとって、この光景は異常なものであり悪夢の始まりでしかない。
お金もなく売り物ではなかった青い鳥のぬいぐるみを、その日の夜に抱えて寝ていた弟。
おそらく兄はその光景を見ていたに違いないのだが、それを問い詰めることもなく寝顔を見て「幸せそうだ」とつぶやき眠りにつく。
しかし、終盤にかけてこの世界は一気に不穏な空気に包まれ、幸せとはかけ離れた思いがけない光景を目のあたりにする。
約1時間程度と短い内容ではあるが見どころが満載。「もうひとつの結末が見たい!」と、強く感じさせるマルチストーリーだぞ!!
小さな世界に凝縮された謎解きパート
釣りに必要なミミズを探してほしいという鳥頭の願いから始まる本作には、記号からヒントを得たりアイテムを集めて組み合わせるなど、謎解きゲームではおなじみのアプローチが随所に詰め込まれている。
基本的には目に映るものから必要なアイテムを連想でき、夢の中で手に入れるスマートフォンが必要に応じてヒントを出してくれるので迷うことはほとんどない。
最初の池や鳥頭の自宅、その中間にある石像が置かれた広間や地下洞窟。
わずかなエリアで構成された2Dのゲームだが、平面的な情報だけでなく視点を切り換え柔軟に世界を見渡しながら、思いがけない発見に一喜一憂できるのも本作の魅力だろう。
ストーカー事件を題材にした『償いの時間』と同じく、プレイヤー自身に“キミならどうする?”と訴えかけてくる結末。
救われる道があるのなら手を差し伸べたいと感じさせる秀逸のストーリーは、前作のファンも満足できる内容だったぞ!!
P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
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角満&中目黒のこれ、知ってる?
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編集長!これ、どうでしょう!?