レビュー
投稿日2017.09.03
世界を隔てる鳥居と記憶を巡る脱出ゲーム
眼前にあるのはどこにでもる見慣れた鳥居だが、その先にある階段までいくことができない。
境内から出ることができなくなってしまった少女は、自分の顔すら思い出せない奇妙な感覚に混乱してしまう。
“本当の顔を忘れると帰れなくなる”
少女と同じく面を被った少年の助言をきっかけに、ふたりで境内に隠されている本当の面を探していく。
それが、本記事で紹介するノスタルジックで奇妙な脱出ゲーム『縁日からの脱出』だ。
●ふたりの目線で描く練り込まれた境内探索
●柔軟な発想力が試される謎解き
●トゥルーエンド必見のマルチストーリー
ふたりの目線で描く練り込まれた境内探索
お面を被った少女は自分の顔を思い出せず、境内からも出ることができない。
同じく面で顔を隠した少年は、「“こちら”に来てしまった人は顔をなくし、本当に忘れてしまうともとの場所に帰れなくなると」忠告する。
本作は全9ステージ構成の脱出ゲームで、奇数のステージは少女、偶数のステージでは少年、ふたりの目線でストーリーが描かれていく。
たとえば、ステージ1で少女がかき氷機を使った謎解きがある。
続く少年目線のステージ2では、その様子を客観的に見ることができるというわけだ。
また、とあるステージで少女が濡れたハンカチを使った謎解きをするのだが、その後の少年パートで少女に話しかけると「湿ってるんだけど……」とハンカチを手渡し、それを使った新たな謎を解くことができる。
互いの存在を肌で感じながらの探索は、ひとりぼっちではないという安心感にもつながるうれしい構成だぞ!!
柔軟な発想力が試される謎解き
本作の謎解きは会話の中からヒントを得る言葉遊びや、アイテムを使ったギミック系のほか、図解をヒントに紐解くパズル系などさまざまな謎解きが用意されている。
また、毎ステージの仕掛けは縁日にちなんだもので、空腹を刺激するリアルで美味しそうなフードや祭り囃子のBGMに触れながらのプレイは、抜群の没入感を得られる。
さらに、プレイヤー自身がたこ焼きを作るという、某こんがり肉を焼くようなミニゲームも登場。
たこ焼きの美味しく焼けるタイミングを含め、境内に隠されたたくさんのヒントを参考に縁日を存分に楽しむことができる。
具体的な目的に関しては周囲の人々が教えてくれるので、最後まで迷うことなくプレイできたぞ!!
トゥルーエンド必見のマルチストーリー
自分の顔を取り戻すため、境内に隠された“本当のお面の欠片”を探していく。
すべてを揃えることで迎えるのは少女サイドのエンディングだが、本作にはもうひとつ、少年の面の欠片を集めるとストーリーの真実に迫るトゥルーエンドが用意されているのだ。
少年の面の欠片は少女目線で描く奇数ステージに隠されているので、まずはノーマルエンドを目指し、各ステージを自由に選択できるようになってから回収するといい。
自分の顔を取り戻した少女は無事帰ることができるのか。少年の面を完成させることで変化するトゥルーエンドで何が語られるのか。
エンディングの捉えかたでいろいろな解釈ができる内容なので、周囲の友だちを誘っていっしょに考察してみるってのも楽しいぞ!!
P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら
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角満&中目黒のこれ、知ってる?
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編集長!これ、どうでしょう!?