レビュー
投稿日2024.04.12
“暗黒騎士”という響きがかっこよすぎる!
国内、海外問わず大人気の『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズ。ゲーム好きなら誰しもが聞いたことあるタイトルだろう。かく言う筆者も『FF7リメイク』や『FF15』など比較的新しい作品はプレイしたことはあるのだが、初代などのドット絵で描かれた『FF』作品はこれまでプレイしたことがなかった。
そんな筆者が『ファイナルファンタジー4』(以下、『FF4』)をピクセルリマスターでプレイしてみたので、レビューをお届けしよう。
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本作の主人公はセシル。『FF』シリーズの主人公といえば“光”のイメージが強かったが、今回は悪役側の人物らしい。
セシルはバロン王国の暗黒騎士として、世界中のクリスタルを集めていた。クリスタルを集めていると言えば聞こえはいいが、実際は抵抗する人間を抑圧し、クリスタルを奪っていたのだ。
しかし、そんなやりかたに疑問を抱いているセシル。どんなに悪逆非道なことをしても心のどこかで間違っていると気づいていたのだろう。
セシルは国王陛下に進言しようとするが、疑問を抱いていると判断され、クリスタルを集める任を解かれてしまう。代わって幻獣討伐の任務を命じられたセシルはそこで思いがけない出会いをするのだった。
『FF4』は、数多の出会いと別れを繰り返す王道ファンタジーだった!
最初は悪役キャラとして登場したセシルも善の心を持っており、バロン王国を止めたいという思いで冒険していくことになる。そんな道中でセシルはさまざまな人と出会っていく。その中でも印象的だったキャラを何人か紹介しよう。
ひとり目はセシルが滅ぼしたミストの村の少女リディア。彼女は親を殺され、故郷の村も焼かれてしまった。それをしたのは紛れもないセシル自身。
最初は心を開いてくれなかったリディアも一緒に旅をするうちに段々と打ち解けていき、いつしかかけがえのない仲間になっていった。
ふたり目はセシルといい感じの女性ローザ。彼女はもともとバロン王国にいた白魔導士だったのだが、セシルの身を案じてバロン王国を飛び出しセシルとともに旅をしていく。
リディアがファイアを使えるように手助けしたり、セシルが挫けそうなとき寄り添ったりとストーリーの重要な部分でパーティーを支えているお姉さん的な存在でもあった。
3人目と4人目はパロムとポロム。ストーリーの冒頭でセシルがクリスタルを奪った町ミシディア。そこの双子の魔導士だ。この町ではセシルが非道なことをして間もないため、セシルを毛嫌いする人が多かった。
もちろん長老に命令されたからというのもあるのだろうが、セシルが暗黒騎士からパラディンへと変身するときに支えてくれる存在だ。
そんなキャラクターなだけあって、別れのシーンはとても感慨深く、思わず涙を流してしまった。
この4人のほかにも、吟遊詩人のギルバート、モンク僧のヤン、飛空艇技師のシドなど色んな人と出会っていく。もちろん物語のカギとなるカインの存在も外せない。
『FF4』は感動的なシーンが多く、仲間との別れが心に響く描写がなされていて、どのキャラも非常に印象的だった。
奥深さが増したバトルシステム
本作のバトルはターン制ではなく、コマンドバトルとリアルタイム性を組み合わせた“アクティブタイムバトル”(以下、ATB)というもの。
ターン制バトルは自分の行動をゆっくり考えて選択できるが、このATBではつねに時間が流れているので、ゆっくり考えていると敵に行動されてしまう。何をするのか、次に誰が行動するのかといったことを早めに考えながら戦わなければならない。
こういったシステムが苦手で敬遠してしまう人もいるだろう。しかしバトルスピードを遅くしたり、コマンドを選択している間バトルを止めたりする設定もあるので、苦手な人でも安心してほしい。
実際、筆者も最初はこのバトルに慣れなかったので、スピードを遅くしてプレイをしていた。スピードを遅くすることでコマンドを考えて選択する余裕が生まれる。それでもモンスターへの対策を練ったり、回復を適切なタイミングで使ったりとアクティブバトルの奥深さを味わうことができるので、初心者でも楽しくプレイすることができるだろう。
さらに、本作はキャラによってコマンドが違うのも特徴的だ。
たとえば、暗黒騎士のセシルは自身のHPを消費して敵を攻撃する“あんこく”、召喚士のリディアはバハムートやオーディンといった召喚獣を呼び出す“しょうかん”、パロムとポロムは強力な魔法を放つ“ふたりがけ”といったように、そのキャラクターにあったコマンドが用意されている。
こういったコマンドを駆使しながら戦っていくのはすごく面白いと感じた。
飛空艇に乗ったり、ホバー船に乗ったり、探索がとにかく楽しい!
本作では飛空艇が完成した世界ということもあり、中盤あたりから飛空艇で探索することがほとんど。しかし、飛空艇でどこにでもいけるというわけではなく、ときにはホバー船を使ったり、黒チョコボに乗ったりしてマップを移動していく。
この飛空艇による探索が思ったより快適で楽しく、マップの隅々まで行くことの不便さを感じさせないのだ。
キャラクターが色濃く描かれた作品
本作はキャラクターひとりひとりが細かく描かれ、背景もしっかり作られているのでストーリーを120%楽しめる作品だった。
背景がしっかりと作り込まれているからこそ、仲間との別れが辛かったが、ラスボスのシーンでは胸が熱くなるものがあった。
やっぱりハッピーエンドがいちばん!
(Text/フリーダム山中)
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