レビュー
投稿日2021.06.04

広がる捜査網の中で真実を暴け
吊り下げられた首なしの連続殺人や閉ざされた集落で発生した神隠し。
数々の困難な事件を解き明かしてきた刑事・和階堂真にまさかの殺人容疑がかけられてしまう。
それがシリーズ待望の最新作『和階堂真の事件簿3 影法師の足』だ。
血の滴る刃物を握りしめ、目の前に倒れる遺体に呆然とする和階堂。
身の潔白を証明するための情報を集め、迫りくる真犯人とその目的を暴いていこう。
▼1作目・2作目の詳細はこちら
ゲームの見どころ
●情報を集め事態を集約していく捜査システム
●ゆっくり世界に浸りたい大人のサスペンス
情報を集め事態を集約していく捜査システム
第1作では老刑事が孫に昔話を語るシーン、第2作でも収監されている人物を訪問するといった具合に、過去を振り返るところから物語が始まる。
それが“和階堂真の事件簿”シリーズの醍醐味だったが、この第3作では少し未来、和階堂の身に最悪の事態が起きてしまった瞬間から時間をさかのぼっていく。
捜査の基本は人や探索ポイントをタップ。メモ帳に登録された新たな情報をセットすることで聞き込みの幅を広げていくシリーズおなじみのシステムだ。
また、各パートの最後にはそれまでの捜査を整理する推理パートに移行。簡単な問いに対して集めたメモから正しいものを選択していく。
何となくの雰囲気でゲームを進まず、しっかり物語を理解しながら真相に迫っていくプロセスもシリーズの魅力だ。
ゆっくり世界に浸りたい大人のサスペンス
犯罪組織デモンズシャドウの幹部である脇谷という男の遺体を埠頭で発見。これで4人目だという警視庁捜査4課の田中は和階堂を連れて現場に向かう。
同じ事件を追う者だった和階堂と田中の関係は、何者かの策略によって容疑者とそれを追う者に変わっていく。
過去2作に強く感じた横溝正史的なミステリアスなものから、今作は王道のサスペンス感を味わえる物語になっている。
しかし、和階堂が容疑者になってしまう重要なシーンで背後に悪魔のような影が見え隠れする瞬間は、これまでのシリーズを連想させる不穏な事件の始まりを感じさせる演出で印象的だった。
クリアーまでは約1時間ほど、逃げ場を失い追い込まれていく和階堂の逆転劇は必見だぞ。
P.N.深津庵
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