レビュー
投稿日2020.12.20
似て非なるメリーさんの世界
【お詫びと訂正】
ぬか漬けパリピマン制作と記載をしましたが、正しくはProjectCASS制作のゲームをぬか漬けパリピマン氏が出版したものでした。読者の皆様、ならびに関係者の皆様へご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
都市伝説とは口承の一種であり、現代発祥の根拠が不正確や曖昧なものであるともいわれている。
その1つに挙げられるのが「私いま玄関の前にいるの」っと、距離の詰めかたがエグいでおなじみ、“メリーさん”や“メリーさんの電話”と呼ばれる怪談系の都市伝説だ。
本記事で紹介する『メリーオブザデッド』はその名もズバリ、メリーさんを題材に独自の世界観を描く短編ホラーゲーム。
『前衛的なクソゲーRPG』シリーズや『実写版クソゲーRPG』など、奇抜なゲームを手掛けてきたぬか漬けパリピマン氏がホラーゲーム!?
期待と不安が入り交じる本作の魅力を紹介するぞ。
ゲームの見どころ
●ストーリー性を重視した独自の恐怖体験
●分岐なしだけど想像がふくらむ伏線たち
ストーリー性を重視した独自の恐怖体験
遠くからこちらをじっと見つめている黒髪の女。
不思議な夢をくり返し見るようになっていたある日、それが自分のもとに歩み寄り奇妙な言葉を言い残す。
慌てて起きた主人公が所有するスマホのSNSには“メリー”と名乗る人物からの覚えのない通知。有名な都市伝説でありながらどこか違和感のある奇妙な物語がしずかに幕を開けるのだ。
悪夢から目覚めた男の名前はたけし、メッセージウィンドウからそうだと確認できる。
“近づいてきた”という言葉を発していることからもそうなのだろう。
その直後、スマホに届いたSNSのメッセージを開くと、メリーと名乗る人物は“サエキケンゴ”と呼びかけいる。
早々に感じるこの違和感こそが本作の注目ポイント。
小さな画面に生じるいくつかの決定的な変化を探し出すことが、このストーリーを理解するための重要な要素なのだ。
分岐なしだけど想像がふくらむ伏線たち
本作は分岐なしの1本道、短編のホラー映像を体験していると考えれば丁度いい。
5分程度で終わってしまう点でいえば物足りなさはあるが、思いがけないクライマックスといくつかの伏線は、短編ながらもさまざまな仮説を立てたくなる興味深い世界観だ。
また、配信サイトには“エンド分岐は今のところありません”と書かれている。
そう“今のところ”なのだ。
この先どういった構想があるのかは不明だが、伏線にも感じられるポイントを回収する可能性もゼロではなさそう。
ちなみにこちら、これまでのぬか漬けパリピマン氏らしくない世界観だと感じた違和感の正体は、ProjectCASSが制作したものをぬか漬けパリピマン氏が出版。っというカタチだったからなのだ。
それを後日知ってスッキリすると同時に、“彼がホラーを手掛けたらどうなるんだろう?”という好奇心がさらに強くなってしまった。
なお、本作に登場するメリー役(幽霊)を演じるのは、以前、別のホラーアプリでも取り上げた緋真煉さん。
見てすぐそうだとわかるくらい印象に残るかたである。
今後、この物語がどう広がっていくのか。
緋真煉さんを含め気になるポイントの多いタイトルだ。
P.N.深津庵
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