【新作】青春マンガを発信するにいち氏が手掛ける“僕と彼女のアドベンチャー”『なつのおわりの、』
投稿日 2020.11.29
終わりなき夏の終着点を求めて
どこか見覚えのある光景、さわやかな夏の日差しと潮風の中で目覚めた“僕”は謎の少女“ナツ”と出会う。
本記事で紹介する『なつのおわりの、』は、TwitterやPIXIVなどで多くの青春マンガやイラストを発信するクリエイター・にいち氏が企画制作する脱出系のノベルゲーム。
にいち氏のやさしい世界観を感じられる全3章のショートストーリーはファンだけでなく、多くのプレイヤーに体験してもらいたい。
ゲームの見どころ
●2人が過ごすかけがえのない夏の思い出
●夏の終わりと未来を描く2つのエンディング
2人が過ごすかけがえのない夏の思い出
砂浜に赤いバケツ、近くのバス停には魚の絵が描かれたポスターや不思議な箱。
人の気配を感じさせるものが多く残されている海辺で目覚めた“僕”は、朝顔の髪飾りが似合う謎の少女“ナツ”と出会う。
自分の記憶がない僕と本当の名前もじつは覚えていない彼女。
2人だけの不思議な夏物語を通じて互いの記憶を呼び覚ましていくのが本作の見どころだ。
本作は全3章構成であり多くの脱出ゲームと比較するとボリュームは少なめ。
難易度もかなり低めでライトユーザーも気楽にチャレンジできる内容だ。
気になるポイントをタップ、回収したアイテムをマークして使うといった操作はもちろん、行動範囲が限られている点も遊びやすいポイントだろう。
また、行き詰まってしまったときはナツに相談。動画広告を挟むことなくヒントを教えてくれるだけでなく、そのヒントが具体的でわかりやすい。
ストーリーはもちろんどこまでもやさしい世界だ。
夏の終わりと未来を描く2つのエンディング
2人だけの孤独な世界なのに居心地がよく安心できる不思議な空間。
昼間、夕方、夜と章を進めていくことで変化していく海辺の光景は、夏の終わりを告げるとともに彼らの心に大切な記憶を蘇らせていく。
脱出ゲームとしては短すぎるが、読みやすく感情を揺さぶるショートストーリーは、まさににいち氏らしい。
ノーマルとトゥルー、2種類のエンディングはどちらも自分に置き換え考えてしまう内容だった。
2種類のエンディングを含め、周回しても60分あれば踏破出来るボリューム。
もっとたくさんナツの仕草を見てみたかったがそれはちょっと欲張りすぎか。
プレイヤーが選択する2つの未来、さらにその先の後日談を見てみたい。
そう感じさせるすてきなショートストーリーだったぞ。
P.N.深津庵
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