魂、買い取りますの概要

大切な人との再開を願う死者の葛藤

いまが人生でもっとも幸せなとき、そう感じていた1人の女性に突然襲いかかる婚約破棄、中絶、そして……。

立て続けに起こる最悪の出来ごとに絶望する彼女は、たった1つの願いを叶えるため悪魔の申し出を受け入れる。

本記事で紹介する『魂、買い取ります』は、魂に価値を付け奪い取る悪魔の助手となり、さまざまな人間の業に触れていくビジュアルノベル。

生き返るためみずから選択した道に苦しむ女性、その先に待ち受ける結末をその手で変えていこう。

悪魔に魂を売り生き返りを望む女性の物語

お腹には新たな生命、結婚の日取りも決まり夢と希望に満ち溢れていた。

そんな彼女に婚約者は“好きな人ができた”こと、そして“俺の子じゃない”と一方的に中絶を申し出る。

突然の出来ごとに混乱した彼女はその後、不運にも大型トラックに跳ねられ命を落としてしまう。

天国から地獄、奈落に落とされていく怒涛のプロローグは彼女にとってつらいことだが、プレイヤーの興味を引くには十分すぎる展開だ。

開始早々、不慮の事故で主人公が死んでしまっては話が進まない。

そこで手を差し伸べるのが悪魔メフィストなのだが、悪魔がタダで助けてくれると思ったら大間違い。そんな甘い話は悪魔に限らすそうあるもんじゃないのだ。

ルールは簡単、罪深き人間の魂に価値を付け、相手が望む願いを叶えるのと引き換えに魂を奪っていく。

つまり悪魔の助手になってその手助けをするのがプレイヤーの使命というわけだ。

とてもつらい役回りだが対象となる人物の大半は酷いやつばかり。ジャッジを下す瞬間は某死神のノートを手にした主人公のような気分を味わえるだろう。

テンポのいい掛け合いを崩すダイヤの存在

彼女が生き返りたいと願う最大の理由は育ての親である祖母に会うこと。死んでいることを知らない祖母から送られてくるメッセージを読むことはできても、既読を付けることも返すこともできない。

本作にはそうしたもどかしい想い、悪人をさばくメフィストとの掛け合いが丁寧に描かれている。

しかし、全部で12あるチャプターをアンロックするにはそれぞれ2個のダイヤが必要。

公式のTwitterをフォロー、1日1回限定の広告動画の再生など、いくつかの方法を使えば無料で手に入れられるが数に限りがある。

1人目のエピソードが完結するチャプター4までは、Twitter関連のダイヤに頼らずにプレイ可能。それ以降は980円（ダイヤ15個入り）を課金すればすべてアンロックできる。

ただし、本編中にはダイヤを必要とする選択肢が多数登場。全部でいくつ必要なのかがさっぱりわからない。

手っ取り早く全部アンロックできるフルパッケージ版を用意してほしいところだ。

物語自体はとても魅力的で先も気になる。

ぜひ、そんな想いを後押ししてくれる改善を、魂よりも先に安心してダイヤを買える環境を整えてもらいたい。

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら