SIMULACRA 2の概要

死者の残滓が漂う恐怖のスマホ解析

2019年10月22日、インフルエンサーとして活躍するマーヤという女性の遺体が自宅で発見される。

検死の結果は心臓麻痺ということなのだが、その遺体には奇妙な傷跡が残されていた。

本記事で紹介する『SIMULACRA 2』は、ベテラン刑事とゴシップ誌の記者が手を組み、マーヤが使用していたスマホに残された通話やSNSなどの履歴から真犯人を暴きだすホラーアドベンチャーゲーム。

自分のスマホが彼女の端末のように感じられるリアルな仕掛けと多彩な演出。破損したデータを復元し証拠を集めていく本格的な謎解きの始まりだ。

膨大な情報を探る本格志向の分析アドベンチャー

本作はマレーシアのインディーズデベロッパーKaigan Gamesが手掛ける作品。

前作『SIMULACRA』同様、残されたスマートフォンを使い、その持ち主に起こった出来ごとを暴いていくのが大きな目的になっている。

自宅マンションで遺体となって発見されたマーヤは、インフルエンサーとして注目を浴びていた人物。その死には不可解な点が多いにもかかわらず1週間で打ち切り。

事故死という判断に納得のいかないベテラン刑事ムリオは、ゴシップ誌の記者と協力して真相を暴くため再調査を開始するのだ。

被害者のスマホを託されたプレイヤーはSNSや電話、Instagram風のアプリなど、さまざまなツールに残るマーヤの痕跡を探り、事件性のあるものをピックアップしていく。

それを相棒とテキストチャットで共有していくのだが、スクショや映像を添付するなど、ふだんSNSで自分がやっていることと変わらない現実的なユーザーインターフェイス。

ゲームをプレイしている感覚が薄く、そのぶんこの世界への没入感が高まっていくのだ。

また、マーヤが使っていたSNSグループに潜入。彼女とつながりのある人物たちとコンタクトを取り、当時の行動や関係性を洗い出すといった捜査もおもしろい。

関係者しか知り得ない現場の情報を口にするもの、誘導尋問に引っかかり慌てるものなど、選択肢を通じて隠された真実を暴いていこう。

さらに、警察署のデータベースを利用した検索はまさかの手入力タイプ。対象のワードをしっかり覚えておかないと解析が進まない。

ゲーム中のテキストはコピペできないので、気になるポイントは必ずメモを残しておくことをオススメ。

署内に信頼できるものがおらずマスコミを頼る刑事と、とくダネが欲しくてそれに食いつく記者。

このふたりの関係性と噛み合わない会話を楽しみながら難解な事件を紐解いていこう。

スマホを直視できない身の毛がよだつホラー演出

本作はホラーアドベンチャー。単なる事件を追う推理ゲームだと気を抜いていると大変なことになる。

実例を交えて忠告するなら、“スマホを直視できない”とか“カーテンの隙間が気になる”など、さまざまな心理的な不安に襲われ肩こりが悪化、背中をつる恐れがあるということだ。

何者かの影に怯え死を覚悟したマーヤが残した生前の動画。現場検証の際に撮影された彼女の遺体など、見たままの映像で終わらないホラー演出が随所に仕込まれている。

本作はもともとSteamでリリースされたPCゲームだが、このシチュエーションを120％楽しむならアプリ版が至高。

明らかに呪われていると感じる彼女のスマホをこのまま分析し続けていいのか。

所持していることが嫌になる恐ろしい展開を存分に楽しんでほしい。

P.N.深津庵
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