レビュー
投稿日2020.05.09

ブラック企業の闇に身を投じる問題作
父親が所有する大企業ゴールドスプーン・グループ、その後継者の座を奪い合う8人の兄弟。
誰もが憧れるドリームライフを手に入れるため、労働者“ワークモン”を捕まえ成り上がりを画策する。
本記事で紹介する『WorkeMon』は、どう考えてもブラック企業を取り仕切り、全151体のワークモンを捕まえ、私利私欲のためにとことんサービス残業だって当たり前の重労働を強いる過激な経営シミュレーションだ。
ゲームの見どころ
●言葉巧みに入社を迫るワークモンバトル
●量より質!! 根気が試されるワークモン育成
言葉巧みに入社を迫るワークモンバトル
企業の成長と発展に社員や契約社員など労働者たちのチカラが必要不可欠。そうした人材“ワークモン”を招き入れるためのフィールドワーク“冒険”が最初のステップだ。
冒険の舞台にはゴールドスプーン市やメープルリーグ学校など、人々が集まるさまざまなスポットがある。
そこにプレイヤーみずからが出向き、RPGのバトルを連想させるコマンド選択で勧誘していく。
交渉の基本は“スキルを使用”にある2つコマンド。“叫ぶ”で相手の自尊心を、“履歴書を確認する”で相手が希望する給与を低下させ、少しでもこちらに有利な交渉を迫る。
そうして最後に“正規契約”というコマンドで書類を投げ、相手が納得すればめでたく契約完了という流れ。
バトルと言うよりも交渉術であり、やっていることがじつに生々しい。
冒険できるエリアは会社の売上金を使って順にアンロック。遠くなればなるほど好条件のワークモンに遭遇できる。
どうやってもブラック企業な我が社に勧誘するのは気が引けるが、これはあくまでもゲームの世界。
ワークモンの自尊心を奪い、少しでも安く契約できるように攻めまくっていこう!!
量より質!! 根気が試されるワークモン育成
バトル画面の雰囲気やワークモンの数が全151種類という点など、どうしても某ゲームが脳裏をよぎる本作だがその本質は放置ゲーム。
捕まえた人材をデスクに向かわせ、朝から晩まで徹底的に働いて利益を生み出してもらうのが目的だ。
たとえば、気候の変化に応じてエアコンが欲しいと要望が噴出。それに応えるため、デパートで空調機器を購入するなど、ワークモンたちのケアも大切だ。
また、ワークモンの数を増やして安易に利益アップを狙いたくなるが、数が増えても給料を支払えなければ意味がない。
未払いが続けば辞めてしまうので、最初のうちは数を抑えて育成に専念。少数で確実な利益を生み給料を支払える十分な基盤を作ることが重要だ。
ブラック企業という悪しき構図とリモートワークが進むこの現状、本作はどうにも時代に逆行している。
辞表を置いて去っていくワークモンたちを見ると、ゲームとはいえ申し訳ない気持ちがこみ上げてくるのだが、それを改善していけるのも本作の魅力。ちゃんと利益を生み、給料を払い最高の環境を提供することもできる。
残念なのは放置ゲームのスタイルを取りながら、バックグラウンドで進行しない点。つねに本作を起動し続けなければ収益を得られないのはつらい。
失敗をくり返し少しずつ経営のコツを習得。ライバルである後継者候補を倒して世界のトップを掴み取ろう!!
P.N.深津庵
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