レビュー
投稿日2020.01.18

悪夢と戦いトラウマを克服しよう
デンマークのインディーデベロッパーBedtime Digital Gamesが制作。2017年9月にSteam版、2019年4月25日にはプレイステーション4版およびNintendo Switch版がリリースされ、シュールレアリズムの世界観で多くの話題を集めた『フィグメント』がスマホアプリになって登場した。
ユニークなキャラクターと多彩な謎解きパズル。
悪夢を払いトラウマを克服していく独創的な世界に注目だ。
ゲームの見どころ
●悪夢が仕掛ける知的な謎解きパズル
●トラウマを打ち払うボスとの一騎打ち
●現実との関係性が気になるストーリー
悪夢が仕掛ける知的な謎解きパズル
シュールレアリズムとは芸術形態の1つ。画家のサルバトール・ダリやエドガー・エンデ、ルネ・マグリットなどが手掛けた作品といえばわかりやすいだろう。
常識にとらわれない非現実的な世界観に魅了される人も多い。
主人公のダスティと相棒のパイパーはそんな不思議な空間に巣食う悪夢を相手に、多彩な謎解きパズルに立ち向かうのだ。
ダスティの邪魔ばかりする悪夢たちは、言葉巧みに彼らの心を揺さぶり逃げていく。
そのゆく先々に仕掛けられた装置を、集めたアイテムを駆使して解いていくのが本作の醍醐味だ。
また、元の自分に戻るために必要だというエンドルフィン。体力を回復するニュートロンといったアイテムも登場。謎解きパズルと平行してそれらを集めていくことも重要だ。
脳内で機能する神経伝達物質の1つであるエンドルフィンと情報処理と伝達を行う神経細胞のニュートロン。
神経に関連するこうしたワードからも主人公のダスティが何かしらのトラウマ、闇に囚われ苦しんでいるのだということが感じられる。
思わず深読みしてしまうワードと悪夢たちの囁き。
シュールレアリズムの世界はとても不気味であり魅力的なのだ。
トラウマを打ち払うボスとの一騎打ち
ダスティたちの行く手を阻む悪夢たち。
その中でもプレイヤーの発想力が試されるボス戦はアクション性が高く手応え十分。謎解きパズルとの相性もよく、バトルを通じてダスティの成長を描く大切なパートにもなっている。
剣を使い斬りつけるだけでなく、ときには相手の攻撃を逆手に取り反撃することもある。
周囲の状況と相棒のアドバイスを参考に、たった1つの対処方法を見つけ出そう。
現実との関係性が気になるストーリー
本作の冒頭で描かれるのは、不動産業を営んでいると思われる父が運転する車内の様子。
そんな父に問いかける子どもとなだめる母。ささいな会話の最中に激しい衝撃音が鳴り響き赤く染まり暗転していく。
交通事故に会った父親かその息子がダスティであり、いずれかの見る夢がシュールレアリズム調に描かれているのか。
ゲームを進めていくことで徐々に現実との関連性が明かされてくる。
空想や虚構といった意味を持つ『フィグメント』。本タイトルが示すその真相は610円(2020年1月8日現在)の完全版で追求してもらいたい。
P.N.深津庵
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