レビュー
投稿日2020.01.12
フルムービーで描く怒涛の復讐劇
ナイトクラブで発生した殺人事件。その現場を訪れた1人の女探偵は立会人と思われる男たちを相手に恐れることなく持論を展開。独自の推理で事件の真相に迫っていく。
本記事で紹介する『She Sees Red』は、約30分で完結するフルムービーの推理ゲーム。
4つの結末に分岐していく多彩な選択肢と激しく移り変わる時間軸。伏線を回収しながら展開する怒涛のミステリーを体験しよう。
ゲームの見どころ
●最低2回のプレイを経て明かされる難事件
●4つの結末を網羅する便利なスキップ機能
最低2回のプレイを経て明かされる難事件
目を見開き耳にえんぴつを刺した状態で絶命する大男と、その下敷きになっている表情の見えない謎の人物。本作はそんな謎の人物と女探偵、2人の視点を中心に展開するインタラクティブムービー。
フルムービーの合間に出現する2択を通じて、ナイトクラブで発生した殺人事件の真相に迫っていく。
本作は1周目でことの始まりを体験。そこで得た情報を頼りに2周目で解明していく周回プレイ前提の設計である。
その中でも興味を引いたのが現在と過去を行き来する演出だ。
大男を殺害して逃走する謎の人物とその足跡を追う女探偵。同じナイトクラブを歩む2人の視点が交錯する演出は、いつ鉢合わせをしてもおかしくない緊張感を高めてくれる。
複雑に絡み合う現在と過去の時系列には、数十分から数時間の誤差から年単位と幅広く、その前後関係から登場人物たちの思惑を推理していくのがとてもおもしろかった。
なお、2020年1月1日現在、本作はデフォルトのままだと選択肢のみ日本語という不思議な設定になっている。
本編中の会話に字幕を付けるには設定の“言語と字幕”を“Japanese”に合わせておくこと。
強面な男性がやさしい言葉使いだったり、突然オネェのようになることもあるけど、そのへんのローカライズはご愛嬌。前向きに脳内変換してもらいたい。
4つの結末を網羅する便利なスキップ機能
本作は全62シーンから成る約30分のインタラクティブムービー。
2択を通じて4つの結末に派生していくマルチストーリーと全シーンの何%を閲覧できたかを示す達成度は、明確なゴールとモチベーションを高める重要なポイントだ。
なお、3周目からスキップ機能がアンロックされ、次の選択肢までいっきに飛ばすことができる。
何か隠しごとがある女探偵とその背後でうごめく闇組織。本作のタイトルに記された“激怒する彼女”の真実と、それに関わっていく面々の関係性に驚かされることだろう。
この事件の結末にハッピーエンドは存在するのか。
4つの結末から自分なりの答えを探してもらいたい。
P.N.深津庵
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