レビュー
投稿日2019.12.21
かつての観光地で発生する復讐劇
その昔、ハーバータウンと呼ばれ多くの観光客を集めた港町。いまではすっかり寂れてしまった町に行方不明になった妹を探して訪れる。
本記事で紹介する『ダイイング:リボーン』は、Steamやプレイステーション4など、多くのプラットフォームでリリース。魚の頭を被った不気味なサムネイルで話題を集めた脱出ゲームが、ついにスマホで楽しめる日が来たぞ。
ゲームの見どころ
●復讐の真相を暴く全6章のストーリー
●直球だけど手応え十分な謎解き要素
復讐の真相を暴く全6章のストーリー
行方不明の妹に関する手がかりを求め1通の手紙を頼りに訪れた港町は、主人公マシューにとって“再び訪れるつもりのない場所”だった。
とても意味深なアプローチで始まる本作は、カーテンで閉ざされた部屋やバーカウンター、受付のある廊下など、かつて賑わいを見せた港町であることを感じられる6つのセクションを探索しながら妹の行方を追っていく謎解きゲームだ。
気づいたら監禁されていたという王道の幕開け。
本作の看板キャラクターといってもいい魚頭の人物がマシューをモニター越しに呼びかけたり、過去の出来ごとを問いただしていく展開は映画『SAW』シリーズのジグソウを連想させる。
ただし、映画のような過激な演出はほとんどない硬派な謎解き。そうした要素を期待した人にとっては物足りなさを感じるだろう。
本作には2種類のエンディングがあり、“セクション6 -死にかけの人-”でシークレットアイテムを入手していれば、初回プレイでも真の結末にたどり着けるのはとてもいい。
ただし、ゲーム序盤でおおよその人間関係と囚われている理由を推測できてしまうのは残念。
奇妙なローカライズの影響で間の抜けた会話が続くが、不気味な世界観は1度体験する価値があるだろう。
直球だけど手応え十分な謎解き要素
ストーリー展開に少々物足りなさを感じるが、各セクションごとの探索や謎解きといった攻略要素はとても充実している。
各セクションごとの行動範囲が狭く、入手したアイテムの用途や記号を解読も容易だが見落としてしまう場合も多く気が抜けない。
入念な探索を通じてこの不気味な港町の背景をしっかり味わうことができるだろう。
また、セクションを進める際のローディング画面で、過去の出来ごとや現在の状況がテキストで断片的に描かれる。
読みものと脱出ゲーム、ふたつの視点で謎を紐解いていくアプローチはとてもいい。
ツッコミどころが多いストーリーの原因が奇妙なローカライズにあるのか。それとも元々なのかは不明だが、370円とリーズナブルな価格設定。賛否あるストーリーを体験するには丁度いいチャンスだろう。
P.N.深津庵
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