東日本大震災から10年:Nianticの位置情報ゲームが教えてくれた復興への架け橋

2021-03-14 15:00 投稿

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Ingress Prime(イングレス プライム)

未来に紡ぐ大切な記憶と志

位置情報ゲームを開発運営するNianticは『Ingress』を通じて2014年の石巻、2015年の仙台、そして2016年には東北4エリアを舞台にしたイベントを開催。

復興をテーマにした企画は『ポケモンGO』でも行われ、多くのエージェントやトレーナーに現地を訪問するきっかけを与えてくれた。

そうして迎えた東日本大震災から10年目の2021年3月11日の前日、Nianticは1つのブログを公開。『ポケモンGO』を活用した“Niantic 東北の思い出・お店再発見プログラム”に関するアナウンスを行った。

本記事では当該ブログでピックアップされていた5つのスポットを、フリーライター・深津庵が『Ingress』のスキャナを介して訪問。

Nianticが教えてくれた位置情報ゲームの意味と復興への取り組みを考えていく。

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【はじめに】Nianticが提案するプログラムについて

現地のビジネスをサポートできる機会を増やせるよう、岩手・宮城・福島、3県にある100店舗のオーナーに、6ヵ月間無料で順次提供されることになった“Niantic 東北の思い出・お店再発見プログラム”とは、Nianticの地域経済活性化をサポートする取り組みのひとつ。

『ポケモンGO』のポケストップやジムに設定することで、足を運んでもらう機会を増やし復興を後押ししようという試みだ。

その詳細とこれまでの歩みはぜひ、下記のブログをチェックしてもらいたい。

東日本大震災:10年目にあたって

ピックアップポータル1:箱根山展望台

岩手県、陸前高田市にある箱根山展望台。

Nianticのブログによれば、箱根山テラスと杉の家、気仙大工左官伝承館という箱根山の3施設より上層にある展望台だ。

宮城県気仙沼市だけでなく、快晴であれば宮城県石巻市の金華山まで見えるらしい。

該当の展望台周辺には5つのポータル、少し手前には“箱根山市民の森 わんぱくの森入り口”や“希望の灯り”など、14のポータルが確認できる。

陸前高田市観光物産協会公式サイト

■インテルマップ:箱根山展望台周辺

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ピックアップポータル2:日和山公園

宮城県、石巻市にあるこの公園はいまから6年前、2014年に『Ingress』を代表するイベントの1つ“アノマリー”が始まった記念すべきスポットだ。

周囲には“津波襲来の地”や“チリ地震津波碑”など、20以上のポータルを確認できる。

一般社団法人:石巻観光協会

■インテルマップ:日和山公園周辺

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ピックアップポータル3:石巻南浜津波復興祈念公園

復興のシンボルとなる祈念公園であり3月11日除幕、28日から一般公開が予定されている。

施設内には震災を伝承するための展示施設があり、震災当時からいまにつながる記録を学ぶことができるようだ。

ここには東北復興イベント“Initio Tohoku Mission”の取材で2016年に1度立ち寄っている。

ガイドの方によれば住宅街だった場所であり、5年経った当時はさら地のままだった。

あれからさらに5年、その地に復興祈念公園が建設されたということになる。

周囲のポータルの3つのみだが、“震災慰霊碑”や“頑張ろう石巻”など当時の記憶を受け継ぐものがスキャナを介して確認できる点はとても感慨深い。

石巻南浜津波復興祈念公園:国土交通省 東北地方整備局

■インテルマップ:石巻南浜津波復興祈念公園周辺

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ピックアップポータル4:真野交流センター

福島県、南相馬市の真野川と潤谷川のあいだにある交流センター。

Nianticのブログによれば、海から近かった真野小学校では東日本大震災当日、教師や保護者とともに少し離れた高台に避難して全員が無事だったということ。

その後、校舎は解体。体育館が改築され真野交流センターとして活躍している。

周辺のポータルはこの真野交流センターのみ。

今後、交流の起点としてポータルにふさわしいスポットが生まれることを心から願う。

真野交流センター:南相馬市公式ウェブサイト

■インテルマップ:真野交流センター周辺

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ピックアップポータル5:南相馬市立福浦小学校跡

敷地の境界まで津波が押し寄せ、さらには福島第一原子力発電所の事故により避難を余儀なくされる。

その後、市内の仮設校舎で再開。避難指示が解除され小高小学校に校舎を移して再開されるも統合にともない廃校となった。

校舎は震災当時のまま現在も残されており、その跡地を囲むように“太神宮”と“金谷前公園”、“切り株のテーブルとベンチ”3つのポータルが存在している。

■インテルマップ:南相馬市立福浦小学校跡周辺

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これまでとこれからを考える10年目

筆者は東日本大震災のあと現地に3度訪れている。

1度目は仙台が生まれ故郷だった友人の結婚式。

当時、出不精だった筆者はおそらく晴れの舞台であっても“わざわざ仙台に行くのか?”と面倒くさがり欠席を選んでいただろう。

しかし、震災が自分の意識を大きく変えていた

“この目でちゃんと見る必要がある”と強く感じ、結婚式後に甚大な被害を受けたエリアを可能な限りめぐったのをよく覚えている。

その後、AGにとっては言わずもがな、2度目がXMアノマリー“ペルセポリス”、3度目が東北復興イベント“Initio Tohoku Mission”だ。

XMアノマリー:ペルセポリス前編

XMアノマリー:ペルセポリス後編

ミッションディ:東北

東北復興イベント“Initio Tohoku Mission”

さて、10年目を迎えた先日、筆者が所属するDiscordのゲームコミュニティでも東日本大震災を振り返る機会があった。

その中に当時高校生だったメンバーが1人。

あの瞬間を学校で迎えたこと、仙台市内だったこともあり家族や自宅に大きな被害はなかったようだが、いまなお復興の進まない地域が多いこと。

そして、我々AGが福島県相馬市といわき市、宮城県女川町、岩手県陸前高田市、4つの地域を舞台に駆け回った復興イベントを知ってくれていたことを語ってくれた。

AGたちの行動が復興にどれだけの影響を与えているのかはわからない。

しかし、彼の“ありがとう”という言葉にこちらが救われる想いだった。

最後に、『Ingress』はもちろん旅に不慣れだった当時、思い通りの取材(ミッション)ができなかったことをいまも後悔している。

このコロナ禍が終息、安心して観光ができるようになったら、ミッションディ:東北で設定されたポータルをめぐり、その記録をここでリポートするのが筆者の目標だ。

“10年目の節目”なんて言葉を聞くが、筆者はこれからも続いていく通過点であり、区切るようなことはしたくない。

『Ingress』のAG、『ポケモンGO』のトレーナー、『ハリー・ポッター:魔法同盟』の魔法使い。

スマホの画面を介して大切な記録にいつでも触れるチャンスを与えられたみなさんには、これからも個々のアクションで復興の後押しをしてもらいたい。

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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

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対応機種iOS/Android
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