出会いから6年『Ingress』を通じて広がった世界と地域の魅力を振り返る【後編】

2020-03-28 23:15 投稿

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Ingress Prime(イングレス プライム)

拡張現実に魅了された男の備忘録

2020年3月27日現在、新型コロナウイルスの猛威に対し、世界規模で不要不急の外出自粛が求められる緊急事態。

Nianticが開発運営する位置情報ゲーム『Ingress』を筆頭に、『ポケモンGO』や『ハリー・ポッター:魔法同盟』といったタイトルも多くのイベントを中止、もしくは延期する決断を下す。

そんな中、『Ingress』の公式Twitterがお気に入りのポータルや地域を思い起こしてみないかと世界中のエージェントに呼びかけた。

そこでフリーライターの深津庵がこれまで取材してきた6年分の体験を書き溜めた記事と合わせ、各地の魅力を振り返る全3編に渡るコラムをお届け。

本記事はその後編である。

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新人育成と陣営の壁を超えた交流の場

ファーストサタディとは毎月最初の土曜日、陣営を越えた交流と初心者育成を目的とした地域密着型のイベントだ。

筆者にとって2018年11月3日に千葉ニュータウンで開催されたものが人生初の参加。その翌月12月6日は当イベントに関連した実績メダル実装後初のファーストサタディといを取材するため、もっとも近かった八王子に出向く。

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千葉ニュータウンではさまざまなチャレンジが書かれた特製のビンゴを使ってエージェントたちと交流。八王子では撮れ高が不安になり、終わったその足で友人のエージェントを巻き込み、急遽高尾山で6連のミッションに挑戦した。

遠征したついでに現地でミッション、そんな寄り道ができちゃうのもファーストサタディも魅力だろう。

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20年近く前の謎が紐解かれた大阪高槻市

2018年12月22日、大阪府北部の北摂三島地域に位置する高槻市で開催されたミッションディに参加。ここで筆者が長年抱えていた個人的な謎が解消された。

さかのぼること約20年前、筆者が某ハードウェア系編集部で働いていたころ、扱いに悩む1人の男性から相談の電話を受ける。

その冒頭で名乗ったのが「フジテレビの笠井といいます」という言葉だ。

これを誰に言っても「偽物だろ」と信じてもらえず自分自身も半信半疑。

そうして迎えたこの日、ミッションディに現在フリーアナウンサーである笠井信輔氏が参加。この話題を振ってみるとご本人だったことが判明、さらに当時電話したことも覚えていてくれたのだ。

電話越しに話した2人がめぐりめぐって高槻市で再開。そんな奇跡を起こしてくれたこのミッションディは忘れられない。

現在、笠井氏は闘病中であり、その様子をInstagramに更新している。

今度はゆっくりお互い大好きな映画の話をたくさんしたい。

必ずもう1度お会いできることを心から願っています。

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インタビューラッシュのダルサナプライム

筆者が『Ingress』を記事で扱うようになったきっかけである2014年12月13日のダルサナから約4年半。まさか同じ場所で再びXMアノマリーが開催されるとは思ってもいなかった。

この日実施したのはアジア統括本部長川島優志氏、グローバルコミュニティマネージャー アンドリュー・クルーグ氏、プロダクトマネージャー スコット・フランク氏への個別インタビューだ。

いずれも筆者だけの特別枠。

ジョン氏を爆笑させたあのインタビューにも同席していた川島氏とは、『Ingress』の成長と歩み、これまでの体験を互いに振り返り、“ダルサナ”というワードに含まれた特別な意味を時間が許す限り語り合った。

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また、カメラを向けるとちょっと照れちゃうアンドリュー氏、必ず目線をくれるスコット氏、2人のインタビュー内容はいずれも答えにくいテーマだったが、あの時期としてはギリギリのところまで実情を明かしてくれた。

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カジュアルだけど結構ハードなOCF

さかのぼること5年前、2015年12月に沖縄で開催されたXMアノマリー:アバドンで目の当たりにした“ゴーラック”と呼ばれる体育会系のハードイベント。

それにはいくつかの種類があり、その中でもカジュアル系だと言い伝えられてた“Operation Clear Field”が、2019年3月24日、東京・芝公園を中心に開催された。

これは当日指定されたお題をチームごとに攻略し、指定の時間までにスタート地点に戻ってくるという内容だ。

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その道中、某有名マンガ家のアトリエを2回ほど横切ったのだが、みんなはそれに気づいていたのかな。

カジュアルだというから参加したのだがそこは泣く子も黙るゴーラック。チャレンジの後半には六本木ヒルズのど真ん中で四つん這いで歩いたり、地ベタに座ってムカデのように行進したりと、想像の斜め上をいくハードモードへ。

幼少期、手に砂がつくだけで泣いていた筆者にしてみれば、立派に成長したもんだと実感できる1日だった。

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2ヶ月連続ミッションディ&マイスタンプ爆誕

2019年5月25日、埼玉県比企郡嵐山町で開催されたミッションディは、大自然のど真ん中を散策するルートが豊富。その中でも印象深かったのは嵐山渓谷の景色だ。

ポータルを頼りに歩けなければ訪れることはなかったであろう僻地である。

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ミッションのみを目的に歩くエージェントはその手前で折り返してしまうスポットだが、事前のアナウンスで何度もその景色が拡散されていたこともあり、いかないという選択肢はなかった。

また、数ある『Ingress』企画の1つ、WLKの“旅するINGRESSスタンプ”というイベントが当日の受付会場で実施された。

これはゲーム内メダルやキャラクター、Nianticスタッフといった『Ingress』に関連したものたちを題材にしたスタンプを使い、イベント開催地から思い思いに手紙を書いてみませんかという素敵なもの。

そこになんと、筆者のスタンプが加わることになったのだ。

うん、恥ずかしい!!

どこに需要があるのか心配ですが、各イベント地を筆者のスタンプも旅を続けていくと思うので、よかったらぜひ押してやってください。

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そして2019年6月29日、今度はミッションディをきっかけに浜松を再訪問。念願の“さわやか”をしかも川島さんといっしょに食べることができた記念すべき日である。

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徳川家康が激しい戦いを生き延び天下取りの成し遂げたことから出世城と呼ばれるようになった浜松城

そこに来たから出世できるわけもなく、結局のところ自分次第なのだが、“さわやか”を最高のカタチで食すことができたのだから、何かプラスの効果を得られたのかもしれない。

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新イベント“Field Test”で大混乱

2019年9月14日、世界45の都市で開始された第1回目の“Field Test”は、10月1日に完全移行されることが決まっていた『Ingress Prime』のプレイを前提にしたものだった。

しかし、さまざまな問題から当時稼働していた旧スキャナこと『Scanner [REDACTED]』を使わざるを得ない事態が発生。多くの参加者たちを戸惑わせることになってしまう。

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筆者は福島県会津若松市で開催されたものに参加。90分のあいだに6つのノルマを達成する個人戦で、スムーズにプレイできていれば何ら問題もないおもしろい内容だったと当時を振り返る。

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噂の絶えない群馬を探索&千代田全ルート踏破

2019年10月5日、マンガやインターネットなどで数々の噂が囁かれる群馬県、その中核である前橋市を舞台にしたミッションディが開催。

最大の思い出は最寄り駅から往復だけで約40キロという位置に存在する赤城山を目指すとんでもないルートだ。

長いことミッション記事を扱っていると手短で代わり映えのないスポットを歩いても満足できず、撮れ高だけを追い求めるようになっていく。

そういった意味でこれは約束された撮れ高であり、行かないという選択肢はないのである。

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入国審査が必要だとか、パスポートは持ったかとか。

それはもう出発前からイジリ倒して現地入りしたのだが、行ってみると中心部は驚くほど住みやすそうな場所。おそらく筆者の実家周辺よりも快適だった。

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そして、撮れ高を意識しすぎた筆者は2019年11月3日、千代田区を舞台にしたミッションディで、全24ルート約35キロの踏破に挑戦

ここでの体験はすべて当時の記事にまとめているが、お茶休憩以外、休むことなく歩き続けてしまったのは、きっとランナーズハイならぬ“エージェントハイ”になっていたのだろう。

もし再び都内でミッションディが開催されるなら、もう1度全ルート踏破を目指してみたい。

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牙を剥く千葉ニューミッション

そして想像以上に過酷な旅だったのが、2019年12月7日、千葉ニュータウンで開催されたミッションディだ。

2018年11月に1度訪問した土地ということで安心していたのだが、ここでも撮れ高欲が爆発。もっとも遠いが見ごたえのありそうな印旛捷水路に架かる大きな橋を目指して始発で行動開始。

しかし当日はあいにくの雨、さらに獣道といってもいいほど荒れた歩道。朝日が昇り始めた早朝、1人で歩くその道は心細く、帰り道に声をかけてくれたエージェントがいなければ早々に心が折れていただろう。

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千葉ニュータウンで生活をするには車が必須だが、大型の商業施設が多く住めば都といった印象。地元エージェントたちの企画力も抜群で今後の展開にも期待している。

ラーババンッ!!

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エージェントが関わり成長する仮想現実の魅力

2019年12月15日、筆者がチャレンジしたのは、ファーストサタディから派生するアートワークコンテストというものをきっかけに誕生して特別なミッションだ。

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詳しいことは関連する記事に目を通してほしいのだが、簡単に言えばコンテストで受賞したエージェントの作品が世界各地に24連のメダルアートミッションとしてライブするというもの。

その1人にマンガ家でありイラストレーターでもある木野陽さんの作品が選ばれたのだ。

『Ingress』はもともと要であるポータル情報をエージェントが申請。登録されたもが仮想現実に反映されるだけでなく、数々の大型イベントも開催地のエージェントたちが大きく関わり成り立ってきた

自分の住む地域の魅力を知ってほしい、地域活性化を願う想いがこれまで『Ingrrss』を支える柱の1つになっている。

その関係性を再確認するとてもいいきっかけになったミッションだ。

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ここまで読み進めてくれたみなさん、本当にありがとうございます。

今回の企画は屋外を自由に歩けないいま、エージェントとしての筆者ができるのはこれまでの体験を振り返り文字として伝えること。当たり前だった日常を思い返しつつ、少しでも自宅で過ごす時間の隙間を埋めることができないか。

そんな想いから始まりました。

安心してイン活ができる日はまだ遠いでしょう。

いまは不自由なことが多く、モヤモヤとする日々が続きますが、これが落ち着いたとき、必ず世界各地のエージェントがとびっきりのイベントを企画すると信じています

全国のエージェント、そしてNianticのみなさん。

全盛期のあの勢いを取り戻すことを目標に、いまからいろいろ考えてみませんか。

その時間はいっぱいあります、そうですよね!!

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P.N.深津庵(撮影協力:あしたづひむ)
※深津庵のTwitterはこちら

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対応機種iOS/Android
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