【超熱血パズドラ部】第1492回:ブライダルガチャの結果は
2024-07-16 11:25
2018-10-01 21:43 投稿
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パズル&ドラゴンズ
前回の続き。
東京ゲームショウ2018開催中の、幕張メッセ近くの居酒屋での出来事である。
その日、取材や出番を終えた俺と中目黒目黒は海浜幕張駅近くで合流し、18時過ぎから食事と酒を楽しんでいた。
「『JUDGE EYES』がめちゃくちゃおもろそうだった!!」
「俺、まったくブースを回れていないですよ……」
なんて会話をしながら。ファミ通ブースに釘付けになっていた目黒とは違い、俺は今年、かなりゆっくりと会場を見て回ることができた。おかげで、向こう1年くらいのあいだに遊ぶであろうゲームの一端に触れまくることができ、ちょっと興奮していたかもしれない。
「そういえばパズドラは、明日の午後に大会があるんですよね?」
焼き明太子を生ビールで流し込みながら、目黒が言った。俺は最近、痛風予備軍となっているので、大好きな魚卵断ちをしている。それを知っている目黒が、「ここの明太子、やべえうめえ」とわざとつぶやくのを苦々しく聞き流しながら答えた。
「……そうそう。午後2時からだっけな。……って、そうだそうだ! 思い出した。ガチャ回そうと思っていたんだ」
おもむろにスマホを取り出した俺、光の速さで画面をタッチし、パズドラを立ち上げる。6年間、毎日やっている操作である。いまや画面なんて見なくても闘技場1をクリアーできるほど、その腕は熟達しているのだ(ちょっとウソ)。
……そして話は、前回の記事の最後につながる。
無課金プレイヤーのくせに魔法石10個で回す龍契士&龍喚士ガチャに果敢に挑み、じつに90個もの財産を浪費してロクデナシ(あくまでも、俺から見たら、ね)ばかりを引き当てたのだ。
「はは……。終わりだ……。大事な大事な魔法石を、根こそぎ突っ込んじまったよ……。生活費すべてを競馬で飛ばして食い物もなくなり、なけなしのネコ餌まで奪い食って人間の尊厳を失ってしまった……。そんな気分だ…………」
ハイボールのグラスから滴った水滴をテーブル上でつなげ、「わー……カスピ海できたー……世界一だ……」と死んだニワトリのような声(どんなだ)で念仏を唱えていると、怪訝そうな顔で目黒が聞いてきた。
「さっきから、何をブツブツ言ってんすか?」
俺は、暗く答えた。龍契士&龍喚士ガチャのこと。魔法石10個のこと。目当てのロシェを引けなかったこと。そして、すべて(魔法石な)を失ったことを……。すると目黒は、
「何を落ち込んでいるのかと思ったらwwww それ、6年前からまったく変わっていない風景じゃないっすかwwww」
と、なぜか懐かしそうに笑うではないか。まあでも、確かに目黒の言う通りではあるのだ。ホワイトドラゴンに呪われていた黎明期……。4年くらいパールヴァティーを引けなかった高度成長期……。その都度、この男は俺の前にいて、
「ほー。大塚さん、ぱーるばてぃーってのが欲しいんすか? だったら俺、出るまで回しちゃおっかなーwww」
なんて腹立つことをのたまい、そして本当に無制限に魔法石を買って(経費でね)、パールが出るまで回し続けやがったのである。
あれから6年--。
ランク362で時が止まったままの目黒が、ユラリと動き出した。こいつはここ3年くらい、盆と正月だけパズドラのことを思い出してガチャを回し、再び半年沈黙する……という日暮さんみたいなプレイスタイルを貫いている。そのためトレードもモンスター交換も、潜在覚醒も限界突破も知らないのだ。
そんな、時間に取り残された男が、こんなことを言ったではないか。
「じゃあ俺も、ひさびさにやっちゃおっかなぁ~www そのナントカガチャをwww」
デタ!!! 出ました!!! 年に2回しか起動しないくせに、俺を悔しがらせるためだけにガチャ回す気だこの男!!!
「は?? 余計なことしなくていいよ!! だいたい、そう簡単に出ねえし!!!」
憤りながら言う俺など存在しないかのごとく、目黒がパズドラを起動する。そして、
「……なんか、フレンドが10人くらいになってるんですが、こういう仕様でしたっけ??」
と、思わずもらい泣きしそうな悲しい報告をしたあと、目黒はつぎのように宣言した。
「では、準備が整いました。“角満悔しがらせガチャ”を回したいと思います!」
俺は吐き捨てた。「ふん、勝手にやれ。どうせロクなのでないからな」。
目黒は躊躇なく、1回目のガチャを回した。魔法石10個を要求する石油王ガチャだと言うのに、こいつは……。そして、
「なんかすげえ色のタマゴ出たぁぁぁああ!!!」
とダイヤタマゴを見て驚き、
「あ、ハズレだ。木じゃないし」
そうつぶやいて、↓このモンスターを見せてきたではないか!!
俺、飲んでいた健康黒酢ハイボールを、盛大に噴水した。
「それヴァレリアだろ!!! 当たりだ当たり!! 大当たりだよ!!!!」
しかし、目黒のセリフはにべもない。
「でも、大塚さんはいらないですよね? じゃあハズレっすよ」
どんな基準だいったい。
続けて目黒は、2回目のガチャを回した。そして、「あれ?」とネコだましを喰らったハシビロコウのような顔になると、「コレ、誰ですか?」と言ってスマホの画面を見せてきたではないか。す、すると……そこには……!!!
ロシェ~~~~ん…………
ピシッッッ!!!!!!
俺は、石仏になる呪いを掛けられた。ハイボールのジョッキを持ったまま、本気で動けなくなってしまったのだ。そんな俺の様子を見て何かを察したのだろう。目黒は途端に、悪魔の笑みを浮かべたではないか。
「……あれあれあれ~~~??www もしかしてこの子、大塚さんが欲しかったモンスターなんじゃないっすか~~~???www」
俺、どうにかこうにか声を絞り出す。
「チ、チガウ。ソソソ、ソレジャナイ。ソレ、ヨワイ。ステルガ、ヨイ」
しかし、目黒には通じなかった。
「セリフがカタカナになってますよwww やったーーーwwww 簡単に出たーーーー!!www でも俺、いらないんだよなあwww 売っちゃおうかなあwwww」
その後、俺は、
と怒りの追加注文をし、見事に尿酸値のクリティカルヒットを受けて悶絶することになるのだった……。
おしまい……。
第662回 |
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