1. サイトTOP>
  2. スマホゲームにおけるシナリオとは?『マギレコ』、『アナデン』、『タガタメ』などのシナリオを手掛けた面々によるトークイベントリポート

スマホゲームにおけるシナリオとは?『マギレコ』、『アナデン』、『タガタメ』などのシナリオを手掛けた面々によるトークイベントリポート

2017-10-27 18:18 投稿

スマホゲームのシナリオ制作裏話

2017年10月20日、グリー社内にてFlyers’ Lab #1 「シナリオ編」 シナリオと演出で命を吹き込む!!~スマホゲームのシナリオメイクについて~と題されたスマホゲームにおけるシナリオについての対談イベントが行われた。

IMG_3519

登壇したのは、f4samuraiの田口 堅士氏、gumiの今泉 潤氏、そしてWright Flyer Studiosから古屋 海斗氏の3名。

イベントの本筋に先立って、まずは各社の実績や取り組みなどが紹介され、その後に対談が行われた。こちらでは、その対談で語られたことについてまとめていこう。

シナリオでも好評価を受ける3社のこだわりをチェック!

まずは、簡単に登壇者を紹介していこう。

■f4samurai

f4samuraiは、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』や『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-』をリリースしている開発会社。田口氏はそこで企画やシナリオを担当しているという。

IMG_3537
▲f4samuraiの田口 堅士氏。

田口氏は自社紹介の場面で「私たちはすべてを内製しており、これを大事にしています。シナリオライターが現場から遠いところにいると、ゲーム性を理解したシナリオメイクや、スピード感の向上、そしてライターもユーザーの声を聴けるというメリットがありますので」とコメント。

また同時に「こうしてしっかりとシナリオを作っていたからこそ、ユーザーからの支持を受けることができたのではないか」、「ユーザーは知らなくてもいい知識を知りたいのではなく、感動を求めているので、掘り下げ過ぎは誰も望んでいない」という分析も示してくれた。

■gumi

gumiは『ファントム オブ キル』や『誰ガ為のアルケミスト』など数々のヒットゲームを輩出しており、企画から開発、運営まで行っている。今泉氏はそこでシナリオも手掛けているという。

IMG_3562
▲gumiの今泉 潤氏。

今泉氏は冒頭の挨拶で「クエストとガチャと世界観。この組み合わせで新しいものを作っていくのが、いまのゲームモデルとなっていますが、大事なのはただ世界観を変えて新しさを演出するのではなく、ゲームシステムそのものと、それに合わせた世界観設定も重要です」と語る。

今泉氏曰く、ネイティブゲーム主流時代になってからは、ゲームシステムに沿ったシナリオ、世界観を構築しなければ、そこに違和感が生まれてしまうという。

また、ストーリーとはあくまでもキャラクターを輝かせるためのツールであり、人が愛するのはキャラクター。どのようにすれば、キャラクターが愛されるようなストーリーとなるのかを考えるのも重要だと語ってくれた。

■Wright Flyer Studios

最後の紹介は、Wright Flyer Studiosの古屋氏。Wright Flyer Studiosは、『武器よさらば』、『アナザーエデン 時空を超える猫』等、近年ヒット作を出し続けている、グリーのアプリ開発スタジオ。

IMG_3592
▲Wright Flyer Studiosの古屋 海斗氏。

古屋氏は『アナザーエデン』を立ち上げたメンバーのひとりであり、現在は同タイトルでディレクターとして企画、シナリオを統括しているという。

古屋氏はスマホゲームにおけるシナリオについて「シナリオというものは、あくまでもユーザーにプレイされることではじめて完成するものです。なので、ユーザーの想像力を活用し、長々とした読み物ではないシナリオを作ることが重要だと考えます」と語る。

そのほかにも、意表を突いて大きなインパクトを与えたり、システム的制約を逆に利用したりといった手法を用いることで、シナリオを通じてユーザーに新しい驚き、新しい体験を与えることができるともコメントしてくれた。

どのようにして名作シナリオは誕生するのか?

そうして始まった座談会。そこでまず最初に挙げられた議題は「シナリオ演出を考える際、どのようなところから着想を得ているか?」というもの。

IMG_3629

経験したことのある人には共感してもらえることと思うが、0から1をつくるというのは、非常に大変なこと。なんの土壌もないところからは芽すら生えないので、新しいものを生み出すにはそれなりの着想、土壌というものが重要になってくる。

では、シナリオに携わる3者はどのような場面から新たな着想を得ているのだろう?

まず語ってくれたのは今泉氏、前職で映像プロデューサーをやっていたことからも、その土壌が豊かであることは想像に易い。

「自分の中にふと生まれた情熱を発信する。たとえば『ファントム オブ キル』は“同じ顔をした女の子同士が殺し合う”という情景はドラマチックだなと、ふと思ったことから始まっています」

今泉氏は誰しもがこのように「これいいな」と思うものがあるものの、それをアウトプット出来ていないだけだという。

ゲーム好きな人のほとんどは、「こんなゲームがあったらいいのに」と考えたことがあるだろう。しかし、それを文字やイメージにして人に伝えるというのは難しい。

一方田口氏は、それとは正反対に近い考えを持っているようだ。

田口氏「僕はあまり着想が浮かんでくるタイプではないので、誰かが口にした“こういうものを作りたい”という話を拾って、改修しながら膨らませていくスタイルでやっています」

IMG_3632

0から1を作るのではなく、1から100を作るという考えだ。誰かの頭にふと浮かんだ“こんなものを作りたい”という思いを丁寧に拾い上げ、具体的にはどういったものをイメージしているのか、それをどうしたらおもしろくさせられるかを汲み取りながら話を作っていくそうだ。

作りたいものはあるけれど、それを形にしていくのが苦手。自己表現が苦手というクリエイターにとっては、非常にありがたい動きといえる。

古屋氏の着想もまたユニークなものだった。

古屋「僕はふだんからゲームを遊んでいるのですが、昔遊んでおもしろいと感じた体験を構造分析し、それをもとに作っています。自分の中で“これはなぜおもしろかったのか”と考え、自分なりに得た解釈を再構築するという感じです」

先人が作り上げた名作をリスペクトしたうえで、それを構造解析し、その構造を自分なりに咀嚼してからイメージを作り直すのだそうだ。模倣するのではなく、自分なりの理解をアウトプットするという形ということだろう。

ゲーム作りは何のため?

続いてのトークテーマは「何のために“ものづくり”をしているのかと思うことはある?」というもの。

IMG_3637

3者ともだれも自分がものづくりをしていることへの疑問を感じたことはないとのこと。しかし、ものづくりを始めた経緯にはそれぞれに背景があり、それぞれの想いがあったようだ。

今泉氏「自分の仕事に疑問を覚えたことはありません、むしろ“僕たちがやっているのは殺人行為のよう
だ”と思っています」
IMG_3633

そこに秘められた想いは字面通りのものとは違うもののようだ。

今泉氏は、自身が作ったゲームを7分間遊んでもらうことは、7分間その人の人生を預かっているも同然で、貴重なその時間を預かる以上、作り手はそこに命をかけなくてはならないのだと熱弁を振るってくれた。

田口氏は、ゲームを作り始めたころと今とではゲーム作りに対する意識が大きく変わったと語ってくれた。

田口氏「僕たちの会社は、マンションの1室から始まりました。立ち上げ当初は、本当に残念な生活を送っていたので、当時はその生活から抜け出すために仕事をしていました。しかし、いまは人を応援するためにゲームを作ろうという考えでものづくりに当たっています」

その意識改革のトリガーとなったのは、ユーザーから送られてきた1通のメールだという。そのメールは「ゲームのおかげで、ニートから抜け出せました」という感謝のメールだったそうだ。

スマホゲームにおける課金の魅力は強い。しかし、何もないところからはお金は生まれず、お金がなければ課金ができない。そのユーザーはおそらく、課金をするために仕事を始めたのだろう。

おそらくそれはレアケースかもしれない。しかしゲームがきっかけで社会復帰を果たした人もいるのも事実のようだ。

田口氏はこの経験をもとに、ゲームを通じて人を応援したいと考えるようになり、いまは疲れたおじさんたちを応援できるようなものを作りたいと考えているという。

古屋氏の考えは非常にシンプルだった。「僕はやはりゲーマーですので、ゲーム業界に貢献したいというのが、ゲーム作りに対する想いです」

ゲーマーだからこそ、ゲームによって育まれたものがあり、それを今度は自分たちが社会に返していきたいというのが古屋氏の思いのようだ。

やはりゲーム作りの第一線で働く人からしてみれば、ものづくりはやって当たり前のことなのだろう。そして、それぞれに強い想いがあるからこそ、ヒット作が生み出せるのだろうことが垣間見られた。

今後、シナリオの在りかたは変化していくのか?

最後のトークテーマは「スマホのゲームシナリオは今後どうなっていくの?」というもの。スマホゲームが今後どうなっていくのか、ビジネス面、システム面で語られることはよくあるものの、シナリオに焦点を当てて語られることはあまりなかった。

IMG_3641

田口「僕は会社経営をしていますが、目の前のことしか考えていません。ただ、今後こうしていきたいなというぼんやりとしたビジョンは持っているので、それに向かっていけたらいいと考えています」

具体的には、シナリオで人を裏切るという形ではなく、同時にシステムも人をいい意味で裏切れるような、舞台装置が作りたいということのようだ。はたしてそれがどのようなシステムになり、それにどのようなシステムが乗るのかは不明だが、f4samuraiが今後どのような未来を見せてくれるのか注目していきたい。

今泉氏もまた、シナリオだけでなくシステム面に言及。

今泉「シナリオはもう、いくところまでいったと思います。フルボイスは当たり前。フルボイスにしたからといって売れるわけではない。レジェンド級のクリエイターも当たり前のように参加してきています」

そうした現状を踏まえたう上で、やはりシナリオという面だけで見れば、もはや現状は行きつくところまでいった状態。これからは、さらなる工夫が必要になるという。

そこで提案されたのが、意味のあるシステムとシナリオとの融合。スマホゲームにおけるシナリオのほとんどは、ゲームができてから、そのシステムに合わせて作られる。

しかしそれでは、ゲームのサイクルに合わせたものとなってしまうため、唐突に起こる戦闘などが必要となってきてしまうため、どうしてもシナリオの完成度が崩れてしまう。

この不自然さを打開するためにも、今後はシステムとシナリオとが協力して世界観を創造していくのが大事だという。

古屋氏はデバイスの特異性に触れての持論を展開してくれた。

古屋氏「スマホは肌身離さずあるデバイスで、それはこれまでにはなかった特殊な環境を構築しています。この特異性を活かしたシステムはあるものの、これを活かしたシナリオはありません」

IMG_3636

放置ゲームやGPS、ARなどスマホならではの機能を使ったシステムを搭載したゲームは数あれど、それを活かしたシナリオというものは記憶にない。

古屋氏はそこを掘っていけば、まだ新しいワクワクしたものが作れるのではないかと提案してくれた。また、それは昨今話題性が強くあるAIを使えば、よりよいものになる可能性があるという旨も残してくれている。

三者三様のコメントではあるものの、どれもゲームシステムやAIシステムというシナリオ外の要素によってシナリオが進化する可能性を示してくれている。3者にはぜひともそういった未来を実現してもらいたい。

このような具合で対談イベントは終了。ユーザーから注目はされるものの、なかなかこういったイベントで語られることのないシナリオ制作の裏側に焦点を当てた、イベントとなっていた。

今後彼らがどのような工夫を凝らし、どのような世界を作り上げていくのか、注目していきたい。

Flyers’ Lab #2 「世界観編」開催

本イベントは特別編として、ブッコロのヨコオタロウ氏とWright Flyer Studiosの加藤正人氏が『ゲームの世界観』について、とにかく自由に語りつくす。

ぜひチェックしてみよう!

cover-Dfy6jwabHJaY8OBI9q4Fi27PUCuCLbop
⇒Flyers’ Lab #2 「世界観編」募集サイトはこちら

ピックアップ 一覧を見る

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧