新キャラ情報もポロリ!? 格ゲー『ミリオンアーサー アルカナブラッド』琢磨Pインタビュー
2017-02-13 20:33 投稿
ゲームづくりへの想いや新情報を激白!
2017年1月21日に開催されたリアルイベント”御祭性ミリオンアーサー”でその存在が明らかになった、『ミリオンアーサー』シリーズ初となるアーケード向け2D格闘ゲーム『ミリオンアーサー アルカナブラッド』(以下、『 MAAB』)。
ジャパン アミューズメント エキスポ2017(JAEPO 2017)で初の試遊出展も行われ、『ミリオンアーサー』ファンはもちろん、多くの格闘ゲーマーたちからも高い評価を集めている。
ファミ通Appでは、そんな『MAAB』プロデューサーである琢磨尚文氏へのインタビューを敢行。
『MAAB』誕生の経緯や、驚きの新情報なども話してくれた。
■琢磨尚文氏(『MAAB』プロデューサー)
アーケードゲーム好きが高じて
−−『ミリオンアーサー』の最新作がアーケードで出る。この情報が発表されたときには度肝を抜かれました。どういった経緯で、このような展開に至ったのでしょうか?
琢磨 『ミリオンアーサー』はスマートフォンゲームからはじまった作品群ですが、実写ドラマの『実在性ミリオンアーサー』であったり、アニメの『弱酸性ミリオンアーサー』であったりと、より幅広いお客様にリーチできるような”スマホゲーム以外の動き”も以前からやってはいたんです。
−−今回もその”スマホゲーム以外の動き”の延長にある、と?
琢磨 そうですね。僕はゲームを作る側の人間なので、ゲームでその裾野を広げるにはどうしたらいいか考えたときに、アーケードゲームがちょうどいいかなって思ったんです。
−−スマホゲームを作る部署にいて、すぐに「アーケードをやろう!」とはなかなか考えつかないと思うのですが?
琢磨 それはその……僕が昔ゲーセンに住んでいたような人間だったので(笑)
−−住んでいたのですか?(笑)
琢磨 住んでいたと言うと語弊がありますが、開店から閉店まで遊び続ける生活を10年近く続けていました。
−−当時はどのようなゲームをプレイされていたのですか?
琢磨 アーケードゲーム全般を雑食でやっていましたね。でも、とくに好きなのは対戦ゲームでした。格ゲーとか、『ガンダムVS.』シリーズとか。あとは『魔界村』とかも(笑)。出たものはほぼ全部やっていました。
−−そこまでアーケードゲームをプレイされていたら、アーケードゲームのイロハのようなものは心身に染み付いていそうですね。
琢磨 少なくとも、ユーザー目線での目利きみたいなことはできるんじゃないかと思っています。ゲーセン仲間も多いので、コア層やライト層のいろいろな情報も入ってきますし。
格ゲーとしての”深さ”を意識した
−−『MAAB』では、どのような格ゲーを目指されたのでしょうか?
琢磨 いままで『ミリオンアーサー』を愛してくださったお客様以外にも『ミリオンアーサー』を楽しんでもらいたかったので、単なるキャラゲーではなく、しっかりした格ゲーを作ろうと思っていました。
−−ですがあまりにもコアすぎるゲームだと、『ミリオンアーサー』好きのスマホゲーマーにはとっつきづらい存在になってしまう可能性もあったのでは?
琢磨 もちろん『ミリオンアーサー』から入ってきたお客様や、格ゲーにそれほど触れていない人でも楽しめるような配慮もしています。たとえばボタンを連打するだけでコンボが決まったり、ワンボタンで技が発動できたりするシステムがそれです。
−−先ほど私も試遊させていただきましたが、そのコアとライトのバランス感が絶妙でした。どのような点を意識してチューニングをされたのでしょか?
琢磨 はじめて格ゲーをプレイされる方でも入りやすく、それでいてコアなお客様が物足りないと思わないよう“深さ”を変えないように意識しました。
−−”深さ”と言いますと?
琢磨 コンボやコマンド入力、フレームでの戦いの組み立てといった、格ゲーにおけるやり込み要素、奥深さのようなものはちゃんと残してあるんです。気軽にはじめられますが、調べはじめたらかなり深く研究できると思いますよ。
−−格ゲーマーの調べ心に火をつけられるようにですね(笑)。ちなみに『MAAB』を作るにあたって、どうしても入れたいと思ったシステムなどはございましたか?
琢磨 システムではないのですが、ターゲット層とコンセプトはかなり意識しました。2D格ゲーのタイプとしてザックリ分けると、30代から40代の方が多い『ストリートファイター』シリーズのような“差し合いゲー”と、二十歳前後の方が好む『ブレイブルー』シリーズや『ギルティギア』シリーズのようないわゆる“コンボゲー”があると思います。『ミリオンアーサー』を好きなお客様は後者が多いと考えているので、今作もコンボゲーに近いものにしようとは思っていました。
プレイアブルキャラクターとサポート騎士
−−『MAAB』の初期実装のプレイアブルキャラは10体ほどでしょうか?
琢磨 それぐらいですね。正直な話、キービジュアルに9体ほど出ていますが、あそこに出ているのはプレイアブル確定ということで(笑)
■キービジュアル
−−そ、そうだったんですね(笑)『ミリオンアーサー』シリーズには人気のキャラが多いので、選ぶのに相当悩まれたのでは?
琢磨 めちゃくちゃ悩みましたね。ちゃんとした格ゲーを作るっていうコンセプトからいくと、人気のキャラやアーサーだけで揃えたら、戦闘スタイルが似たり寄ったりになっちゃうと思ったんです。皆がエクスカリバーで戦うだけのゲームと言いますか。
−−たしかに主人公を集めたらすべてアーサーになってしまいますもんね。
琢磨 そうなると格ゲーとしての面白さというか、素早いけど脆いキャラがいたり、ゴツいパワータイプのキャラがいたりっていうバリエーションが出せないんですよ。人気の格ゲーって初期キャラが8体くらいなのに、それぞれが特徴的で、各キャラに固定のファンが付いているんです。だから『MAAB』でもアーサーや人気キャラにこだわらず、キャラごとで色が変わるようにチョイスしました。
−−投げ技中心のゴツいキャラに惹かれる格ゲー好きは多いですね。
琢磨 そうなんですよ! 『ストリートファイター』のザンギエフみたいなゴツいキャラが好きな人って結構多いんです。投げキャラで、且つゴツイおっさんっていう。中には「そういうキャラがいないと、もうそのゲームはやらない!」って言う人がいるくらいで。
−−『ミリオンアーサー』のゴツイキャラってなると、『弱酸性』の大納言エルぐらいしか思いつかないんですが……?
琢磨 そうなりますよね(笑)。僕もいろいろ探したんですが、もういかにもなゴツいおっさんはいなくて。だからその結果たどり着いたのが、スノーホワイトなんです(笑)
−−え、スノーホワイトはかわいらしい女の子なのですが……?
琢磨 『乖離性ミリオンアーサー』の特異型スノーホワイトのイラストを見ていただけると分かるんですが、スノーホワイトの背後にイカツイおっさんがいるんです。正確にはただのおっさんではなく、七つの影っていう七人の小人がモデルのキャラクターなんですが。
■特異型スノーホワイト
−−スノーホワイトは白雪姫がモデルの騎士でしたね。
琢磨 その通りです。キャラクターの設定的にも、スノーホワイト自身に戦闘力はなくて、七つの影が縦横無尽の戦果を挙げるっていうものがあるんです。だからゲーム内でも、スノーホワイトは指示を出すだけで、七つの影が代わりに戦う感じにしようと思っています。
−−驚きのプレイアブルキャラ情報を明かしていただいたわけですが、本作にはサポート騎士もいますよね? あのシステムは企画段階から組み込む予定だったのでしょうか?
琢磨 結構開発的な話にはなるんですが、格ゲーを作る上で一番時間とお金がかかるのがプレイアブルキャラを作ることなんです。他社さんの作品を見てもらってもそうなんですが、一作品目のプレイアブルキャラクターはせいぜい10体ぐらい。そこから何作品も経て数十体に増えていきます。
−−だから『MAAB』も初期プレイアブルキャラは10体ほどなのですね。
琢磨 だけど『ミリオンアーサー』はキャラクターがやっぱり魅力的だから、出来る限りいっぱい出したかったんです。その折衷案として、工数的にも比較的キャラを増やしやすく、派手なアクションも見せてくれるサポート騎士を導入しました。それでも増やすのはたいへんなんですけどね……(笑)。
−−でもそのおかげで、弱酸エルや傭兵といったおなじみのキャラが動いている姿を見れたっていう感動はありましたよ。
琢磨 ありがとうございます。僕自身『拡散性ミリオンアーサー』の立ち上げ当時から『ミリオンアーサー』に携わってきて、キャラクターにすごく愛着があるんです。言ってしまえばただの『ミリオンアーサー』ファンですね。だから自分がユーザー目線に立ったときに「なんでこのキャラいないの?」っていう不満を、ちょっとでも減らしたいなと。
−−サポート騎士からプレイアブルキャラに昇格する可能性も?
琢磨 もちろんあります。そこはほんと今後の調子次第なところもありますが……。
−−ちなみにサポート騎士の編成はアーケードゲーム上で行なうのでしょうか?
琢磨 ゲーム内でも編成できますが、いずれはNESiCAのアカウント登録をしてもらえれば、PCやスマートフォン上でもデッキ編成ができるようにする予定です。
−−具体的な稼動時期はいつごろを予定されていますか?
琢磨 雪が降らないうちには(笑)。2017年秋とは発表させていただいていますが、関東の秋では雪が降りませんから……。
−−正式稼動後にやってみたい施策などはございますか?
琢磨 全国大会とかは憧れますね。格ゲーでは店舗ごとの大会がよく開催されるんですが、それが『MAAB』で広く展開されたら嬉しいです。一作品目ということもあってキャラクターの数も絞ってしまっているので、盛り上がったらキャラクターも増やしたいですし、続編も作りたいです。
−−ちなみに本作には『デッキメイクミリオンアーサー』(※)の主人公であるゼクス・ジークフリードが登場しますよね? 彼を登場させることで、琢磨さんの中にあった『デッキメイク』への苦悩は払拭されましたか?
(※)『デッキメイクミリオンアーサー』:2014年1月に発表された、スマートフォン向け『ミリオンアーサー』シリーズの一作。琢磨氏プロデュースのもと開発が進められていたが、2014年12月に開発中止が発表された。
琢磨 あのとき発表したアプリは出ていませんが、『デッキメイクミリオンアーサー』はちゃんと生きているっていうことを証明できるんじゃないかと思っています。そもそもゲームって、たくさんの人に協力していただきながら作るものなんですよ。
−−開発現場の方や宣伝の方など、たくさんの方が携わってゲームは生み出されますね。
琢磨 そうやっていろいろ手伝ってもらいながら、開発を中止した挙句、目のうえのたんこぶのように触れないようにするっていうのは我慢ならなくて。当時ちゃんと作った世界観設定などは、なんらかの形にして世に出したいなとずっと思っていたんです。
−−それが今回のゼクスの登場につながるのですね。
琢磨 はい。ゼクスも出せたので、今後はなんらかの形で設定などもお見せできればと思っています。たとえばプレイヤーズサイトで会員になっていただけたら、『デッキメイクミリオンアーサー』の設定が見られるようになるとか。
−−過去の『ミリオンアーサー』シリーズ作品同様、鎌池和馬先生が『MAAB』のストーリー監修もされていますよね?
琢磨 ミリオンアーサーの基盤を考えられたのが鎌池先生なので、今回も何かしらの形で関わっていただきたかったんです。そこでストーリー監修として、お力をお借りしています。
−−最後にファンに向けてメッセージをお願いいたします。
琢磨 『ミリオンアーサー』シリーズのスマホゲームを振り返ってみると、ゲーム中にキャラクターがゴリゴリアクションして戦う演出ってあまりお見せできていなかったんです。『MAAB』では、それを具現化できたと思っています。「このキャラはこう動きそうだな」っていう部分はちゃんとこだわって作っていますし、アニメーションの点数も多くて見ごたえのあるものに仕上がっています。きっと楽しんでいただけると思っています。もちろん格ゲーとしても、僕が楽しくないものにはしていないので、そこは安心してください!
▼琢磨Pが『MAAB』をプレイ中の映像がコチラ
『KOF』シリーズとのコラボの可能性も!?
今回のインタビュー終了後、琢磨氏はアーケード用コンテンツ配信システム”NESiCAxLive 2スペシャルステージ”に出演。
『MAAB』のゲーム概要に加え、店舗間対戦に対応したNESiCAxLive 2の魅力を紹介した。
さらに『MAAB』同様NESiCAxLive 2への導入が発表された『THE KING OF FIGHTERS XIV』プロデューサーのSNK 小田泰之氏とのクロストークを展開した。
ステージの最後で琢磨氏は、突然「『MAAB』に不知火舞が出てくるみたいな、『KOF』シリーズとのコラボなんかができたら嬉しいです」と小田氏をちらり。
すると小田氏は「最近はうちのキャラクターをほかのゲームに出させていただくことも多くて。言っていただければどこでも出しますよ」と前向きなコメントを残していた。
もしかすると、『MAAB』ないしは『ミリオンアーサー』シリーズと『KOF』のコラボが現実のものになるかもしれない。今後の展開にも注目していきたい。
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