のぶちゃんPが語る『トイズドライブ』大グレードアップの真相

2016-02-16 15:37 投稿

「プレイヤーさんにキャラクターを好きになってもらうことが第一なんです」(中村氏)

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2016年2月1日に大グレードアップと銘打って大幅なシステム改善を行った『トイズドライブ』。

バトルシステムが従来のものから一新されたほか、シナリオもすべて改訂されるなど、大グレードアップの名に負けず劣らずの大改革が行われている。

しかし、なぜ配信から約1年が経ったいま、ここまでのアップデートに踏み切ったのか?

『トイズドライブ』のプロデューサーである中村伸行氏(通称:のぶちゃんP)に、その真相を直撃した。

お話の中で、中村氏流のキャラクター作りに対するアツい想いも語ってもらっているので、そちらもぜひチェックしてもらいたい。

■中村伸行氏(Twitter:@NobuchanP

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すべてはキャラクターゲームのために

――大アップデート以降、ユーザーさんのリアクションはいかがですか?

中村伸行氏(以下、中村) いまのところ、これまで遊んでくださっていた方々に受け入れていただけているので、まずはよかったなと思います。

――アップデート後の方が圧倒的に高評価といった感じでしょうか?

中村 もちろん全員が全員アップデート後の方がよかったとはなっていませんが、「すごくテンポがよくなった」とか、「シナリオがすごくわかりやすくなった」っていうご意見を多くいただいています。多彩なイベントがこれからもたくさんあるので、ユーザーの方々にはもっと批評して頂きたいと思っています。

――批判をしてほしいっていうご意見は珍しいですね。

中村 やっぱりはじめての大型アップデートなので、どう受け入れられるかが心配じゃないですか。ましてや『トイズドライブ』の場合、既に配信されていたものに変化を加えているので、もともとプレイされている方と、いまからはじめた方だと意見がぜんぜん違うと思うんです。それを私たちはもっと吸収したいなと思っていて。もちろん、我々が作りたい、見せたいゲームの方向性を自分たちで押し出していくことは大前提ですが。

――ユーザーさんそれぞれの意見をもとに、最適解を探っていくわけですね。

中村 はい。やっぱり新しく入った方にも『トイズドライブ』の世界を楽しんでもらいたいですし、いままで遊んでくださっていた方たちにも引き続き遊んでいただきたい。そこのバランスを取るのはすごく難しいんですが、我々が皆さんの求める答えに行き着くには、たくさんのトライが必要なんです。ユーザーさんのご意見すべてにお応えするのはなかなか難しいですが、その中で重要なパーツっていうのを認識して、改善を入れてくことが、いまは重要なんだと思っています

――ここまで大幅なアップデートを行うに至った経緯をお聞かせいただけますか?

中村 そもそも僕らが思い描いていた、“『トイズドライブ』のキャラクター、世界を楽しめるゲーム”の姿を、いまいちど考え直そうということになりまして。その根幹の部分について深く考えていく中で、『トイズドライブ』のキャラクターや世界を100%満喫するにはどういうゲーム性が適しているのか、どういう成長のさせかたがユーザーさんにとって楽しいのか、どういうイベントを開催したら『トイズドライブ』と長く付き合ってもらえるのか、そういったことを考えながら要所要所を改善していった形になります。

――じゃあ改善が顕著だったバトルシステムのところが、という問題ではないと?

中村 バトルシステムというよりは、作品として”キャラクター”こそがゲームの軸になっていると私は思っています。だから、ユーザーさんにキャラクターを好きになってもらうことが第一なので、バトルはその重要な1つのパーツという位置づけで、それだけではダメなんです。

――なるほど。だからシナリオも大幅に改訂がなされたというわけですね。

中村 そうなります。全体のお話をもっと分かりやすくして、よりキャラクターの魅力を伝えるために私もシナリオの多くの部分を執筆しました。メインストーリーの改訂はほとんど私ですね。もろもろ含めて多分10万字くらいは書いたと思います(笑)。というか、いまも書いています……。

――10万字はすごいですね……。

中村 なんでだろう、『トイズドライブ』はお話を書きたくなっちゃうんですよ(笑)。『ミルキィ』ももちろんそうだったんですけど、『トイズドライブ』の世界にパーツをはめ込みながらシナリオを作っていると、”楽都トウキョウ”(=『トイズドライブ』の舞台となる街の名前)の世界がどんどん好きになっていくというか。もっともっと、色んなお話を詰め込みたいっていう欲求が強くっちゃうんですよね(笑)。ユーザーさんからしてみたら「文章量多くね?」って思うかもしれないんですけれど、作品やキャラクターたちの魅力を伝えたいっていう想いが強いんだと思っています。

――その熱量が10万字に渡る物語を生み出したんですね。

中村 そうなんだと思います(笑)。あと、やっぱりひとりひとりのキャラクターをどんどん見せてあげたいなと思っていて。どういう女の子がどういう風に活躍するのかをちゃんと描くことが、私にとってすごく重要になっています。全部のキャラにちゃんと見せ場を与えてあげないと、ユーザーさんたちのキャラに対する”愛着”っていうのが磨ききれないじゃないですか。それにイラストレーターの方々がかなり気合を入れてイラストを描いてくださっているので、イラストの魅力、ひいてはキャラの魅力をより前面に出せるのであれば、イラストに合わせてシナリオを改稿することもあります。

――完成したシナリオをイラストに合わせて書き直すんですか!?

中村 しますします。イラストとシナリオにずれが出ていたら、「じゃあシナリオ直します!」って言って全部直すこともありますね。いやもうそれは、なんていうんでしょうね。「この絵ええわ!」っていうのが、自分含めチームの共通理解であるんだと思います。シナリオとイラスト、ボイスやインゲーム挙動などキャラの魅力を伝えるためにたくさんのものをゲームに込めていますが、もっともっとキャラをかわいらしく魅力的に活躍させるためにも、妥協はしません。

“キャラクター第一主義”の原点は”ドリフ”にあった

――中村さん流の物語やキャラクター作りというのは、どういったものなのでしょうか?

中村 私が物語を作るときは、だいたい“キャラクター第一主義”というのを掲げています。キャラクターにはちゃんと命があって、設定も徹底して作り上げていく。作者の都合で世界設定やキャラを動かすのではなく、キャラを盤上に乗せて、あとはそのキャラの動きに従順に従いながら物語を綴っていく感じです。『ミルキィ』のときも全部そうなんですけど、結局のところ私の関わる作品って『ドリフ大爆笑』(※1)なんですよ。基本的な考えかたは。

(※1)『ドリフ大爆笑』:いかりや長介、加藤 茶、高木ブー、仲本工事、志村けんらによる音楽&コントグループ”ドリフターズ”のコントバラエティ番組。

――そう言われると、たしかにそんな気がします(笑)。

中村 もう少し詳細にお伝えすると、”ドリフターズ”という個性の際立った集団ありきでお話が進んでいるんです。ドリフターズが銭湯のコントをやるなら、お客さんであるいかりや長介にみんなが寄ってたかって店員としてひどい洗いかたをする……。そのときはいかりや長介がこのポジションだよね、加藤 茶はこのポジションだよね、志村けんはこうだよねっていうポジショニングや個性が明確にあるんです。それを『トイズドライブ』に置き換えるなら、ドリフターズならぬ”レナード三姉妹”がいて、”仲間として集まった事務所のみんな”がいて、彼女たちが“レナード探偵事務所”っていう”メンバーが集まる場所”にいる形になります。

――しっかりと個性が立ったキャラクターを一箇所に集めれば、何かしらの出来事や事件は起こりますもんね。

中村 そうそう、そうなんです。キャラが確立されているから、どんなシチュエーションに加藤 茶を連れて行ってもきっとこうするよね、っていうのが視聴者には分かるんです。だから『トイズドライブ』では、楽都トウキョウっていう舞台に彼女たちを連れて来たら、どういうお話になりますかっていう風にできる。

――シチュエーションに寄らず、キャラの個性こそが重要と。

中村 世界観ももちろん重要なんですけど、やっぱり一番重要なところはそこかなと。それともうひとつ重要なのは、“キャラクターの相関関係”にあります。『艦これ』は明確にそうなんですが、もし艦隊の女の子をぽんって出すだけだったらダメだったと思うんですよ。あれは“2番艦と3番艦”とか“姉妹艦”とかっていう相関関係があるからこそ、彼女たちは光り輝くんだと思います。

――相関関係を明確化することによる、具体的な利点というのはどこにあるのでしょうか?

中村 要するにひとりのキャラクターが自分自身のことを語っても、説得力が足りないんですよ。逆にキャラがふたりいれば「あ、この人たちのパワーバランスはこうなのね」とか、「このふたりはタメ口で話すんだ」とか、「あ、この人たちは互いに尊敬しあってるのね」みたいな、他キャラに対する発言や、キャラどうしの会話のキャッチボールを通じて、キャラ本来が持っている個性が伝わってくるんだと思います。『艦これ』も姉妹艦の口調とか、合わせてますよね。

――『トイズドライブ』では、その相関関係をどのように表現されているのでしょうか?

中村  『トイズドライブ』で相関関係を作るためには、現状だとお話が必要だと思っています。なので、ゲームのストーリーや『電撃G’sマガジン』のノベル連載では、そうした相関関係の形成に注力していますね。その際に心がけているのが、登場人物は必ずふたり以上出す、ということ。登場するキャラどうしの会話の中で、キャラの個性が見え隠れするように努めています。

――なるほど。そうなると新たに実装された”キャラストーリー”の位置づけはどういったものになるのでしょうか?

中村 キャラストーリーも相関関係を見せるために存在しています。通常のストーリーではふたり以上のキャラクターによる相関関係でしたが、キャラストーリーでは”プレイヤーと女の子の関係性”を見せています。これが非常に重要なことなんです。

――プレイヤーに対する接しかたで、お互いの関係性、さらにはふだん見えないキャラの個性が見えてくる、と?

中村 はい。自分がいて、女の子がいたら、彼女はどういう風に話かけてくれるのか。このシチュエーションだったら女の子は怒るのか、それとも楽しんでくれるのか、それともただただ寂しそうにしているのか。そういったリアクションが非常に重要だと思っています。なのでキャラストーリーのところについても、”複数の登場人物がいて、もしも〇〇だったら”っていうシチュエーションを置いた上で物語を展開しています。

――そういうお話を伺っていると、冒頭でお話されていた”バトルシステムもキャラクターゲームとしてのひとつの要素でしかない”というお言葉の説得力が増してきます。

中村 そう言っていただけるとありがたいです(笑)。『トイズドライブ』に限って言うと、最終的にキャラクターを好きになってもらうのが目的なので、そこに至るまでのサイクルをグルグル回すためにストーリーやバトルシステム、好感度システムといったものが力を発揮してくれるんです。ストーリーまでの流れがスムーズになって、時には歯ごたえがあって、さらにRPGらしい成長を楽しめることが、バトルでは最重要といいますか。

特異な存在である”楽都トウキョウ”

――キャラについて深く考えていたらふと気になったのですが、レナードはなぜ姉妹なのでしょうか? 姉妹という設定でなくても成立した気はするのですが?

中村 ちょっと伝わりづらいかもしれないのですが、『トイズドライブ』では“ホーム”を作りたかったんです。

――それは『ミルキィ』でいうところのホームズ探偵学院(※2)のような存在でしょうか?

(※2)ミルキィホームズの4人が通う学校のこと。『ミルキィ』のストーリーは、主にこの探偵学院を中心に展開される。

中村 その感覚に近いんですが、少し意味合いは違います。今回はプレイヤーにとって“帰る場所”、もっと言うと“家族が帰る家”のようなものが欲しかったんです。そのホーム感だったり、設定の温度感だったりをより伝わりやすく、あったかくしてあげるには姉妹にするのがいいかなと。だからパルテ、オトハ、タクトの3人は三者三様で尖っているように見えて、じつは全員家族思いの方向に作ってあります

――たしかにみんなお父さんが好きですもんね。

中村 お父さんが好きで、姉妹の中でもお互いのことが好きで、大切に想っているというところはすごく重要視しています。そうした温かい家族の中に主人公が入ってきて、少しずつ家族の一員になる。さらに事務所のみんなが入ってきて、少しずつ自分の家が大きくなっていく。そんなことを考えながら作っていきました。

――ゲームの特性上、怪盗や警察も事務所に所属することになるので、ホームの間口が広がるというのは納得です。

中村 はい、そのために事務所を宿り木のようなものにしてあげたかったんです。もちろん探偵、警察、怪盗を全部ひとつのところに集約させるシチュエーションにするのは、すごく難しいんです。でも私は、同じ悪でも「越えちゃいけないラインを越えた者」は絶対的な”敵”になると思っていて。本来悪の側にいる者も、その絶対悪である敵に立ち向かうために正義の側と一致団結して戦う。それは正義も悪も関係ないよねってすると、すんなり納得できるかなと。

――なるほど。そのためのロストソングなんですね。

中村 そのとおりです。僕らはよく水に例えて説明をするんですが、みんなが飲んでいる水は生命の源で、さすがにそれは不可侵な存在です。そこに対して毒を流すのはさすがにないやろと。それはやっちゃいかんやろって誰もが思う。そのラインを超えた人たちに対して、みんなが一致団結して戦わなきゃいけない。『トイズドライブ』だと”歌”が”水”にあたる存在で、歌を盗むロストソングが水に毒を流す存在、つまり絶対悪になります。彼女の存在がすごく重要で、逆に言うとそこを悪にしないと皆が団結しないんですよ。

――ひとつの目的、今回だと歌を盗む悪に対して団結している感じですね。

中村 はい。もっと端的に言うと、男子校みたいな感じです。いや、正確には女子校なんですけど(笑)。男子校だと文化祭になると「よし、みんな手を組もうぜ!」って言って、オタクも不良もガリ勉チームもなぜかみんな協力してひとつのゴールに向かっていくじゃないですか。そのイメージが根底にあるんですよね(笑)。

――あはは(笑)。そう言われると分かりやすいですね。

中村 そういう意味合いで言うと、レナード探偵事務所っていうのを”家族の帰る場所”というか、そんな風にイメージしてもらえると、こちらとしてもすごくありがたいですね。

――現在(2016年2月5日時点)では4章までの公開となっていますが、この先もそうした”家族愛”の部分はどんどん出てくるのでしょうか?

中村 既に4章以降もいくつか完成しているので、その先のストーリーは断続的に公開していく予定です。人と人との関係性がアツく書かれてるところが、今後とくにいっぱい出てきますよ。

――中村さんがそこまでおっしゃられるとなると、相当アツい展開なんでしょうね。

中村 アツいですよー! それとこれは余談ですが、コミッククリアで連載されていたコミックスにインスパイアされている部分も強いんです。コミックスでは、歌がうまいけれど引っ込み思案な姉”ひな”と、彼女に歌の道に進んでもらいたいと思ってあくせくする小学生の弟”勇太”が登場します。最終巻で勇太がひなに熱く語りかけるシーンがあるんですが、そこを読んでいたら勇太がひなを想う気持ちがひしひしと伝わってきて「ああ、この子ええ子や」ってなっちゃって。原作にあたるゲームのストーリーでも、あそこまで持っていかんとあかんなっていうのはつねづね思っています。

――ただ、ゲームだと否が応にも登場人物が多くなってしまう分、相関関係の構築は大変になりますよね。

中村 そうなんです。だからやっぱり仲良い子とか、このふたりを組み合わせたら絶対面白くなるはずとか考えながらハンドリングしています。そのせいか、別にゲームで推されてないタイミングのキャラでも、シナリオで勝手に出しちゃうことはあります(笑)。

――キャラが確立している分、そのキャラを活かせるシチュエーションが見かったら、とりあえず投げ入れて動きを見るって感じですね(笑)。

中村 配置したらなんとかなるなっていうか、何かしら動いてくれるので(笑)。でも、キャラクターをちゃんと作り込んでいないと動かないんですよ。シナリオが走らないっていうか。だけど『トイズドライブ』だと、いまのところそんなに困らない。キャラクター性の作りかたについてはもっと詰めなきゃいけないと思っていますが、いまはそれよりも街の設定とかのほうがけっこう大きくて。このトウキョウという街の詳細を詰めていくことで、お話がもっと転がりやすくなるなと思っているぐらいです。

ファンが人を連れてくる

――配信初期から「推しメンを作って欲しい」と中村さんはおっしゃっていましたが、ユーザー内でそうしたアクションは起きていますか?

中村 Twitter上とかでもいっぱいイラストをいただいていますし、雑誌媒体さんなどでイラストの投稿などもやっていただいていますが、もっともっと増えてくれると嬉しいですね。結局のところそこを狙っているので。お話を通じてみんなの中にキャラクターが埋まっていったら、きっとそれを発露したくなるだろうし。

――となると二次創作などは大歓迎?

中村 僕が言っていいのかわかりませんけど、二次創作はぜひやっていただきたいですね。実況とかもウェルカムです。実況についてはレギュレーションも公式サイトで公開しています。ユーザーさんのあいだで盛り上がってもらえると、それは『トイズドライブ』の幅になると思っています。その幅が生まれてくれることこそが、『トイズドライブ』を生かしてくれることになるとも思っています。なので、みなさんにお願いしたいのは『トイズドライブ』“で”遊んでほしいんです。『トイズドライブ』で遊ぶっていうのは、『トイズドライブ』のアプリをプレイしていただくこともそうですが、それ以上に自分が好きになったキャラクターを描いてもらったり、動画で実況をしてもらったりなど、作品世界で遊んでほしいんです。

――ゲームを遊ぶと同時に、二次創作のような活動にも力を入れて欲しいということでしょうか?

中村 私たちは『トイズドライブ』の世界に対してナラティブな体験をして欲しくて、そのためのベースになるのが『トイズドライブ』のアプリだっていうことなんです。世界観を生み出すための装置として我々はゲームを作っているつもりなので、土台となるゲームで世界観やキャラクターを知ってもらって、自分の中に物語が生まれたら多分ずっとゲームも続けてくださると思うし、そこから二次創作などに発展してもらえれば満足です。

――発露という点にフォーカスすると、マイナス意見なども出てくると思いますが、そこも先ほどのお話同様問題ないと?

中村 マイナスの意見でもいいと思っています。「今回のイベント辛いよ」とか「敵強過ぎんだけど」とか。むしろそうした声が全体のうねりとなって、ユーザーさんの意識を束ねていくんだと思います。一番つらいのはそれがないことですから。それに文句を言われた部分を改善すれば、文句がなくなる可能性も高いでしょう?

――話題にしてくれることに意味があると。

中村 はい。『トイズドライブ』を話題にしてくださること自体が、私たちにはプラスなんです。むしろサイレントマジョリティを少なくしたいんですよ。好きだと思っている人が好きだって言えない状況をなくしたい。その発露する敷居が下がればいろんな声が届いてくるし、結果的に「『トイズドライブ』ってなんやねん、お前さっきからべちゃくちゃしゃべっとるけど」っていう人も増えると思うんですよ。

――気負わずに発言できるからこそ、口コミの真価が発揮されるということですね。

中村 そうですね。ほんと些細なことでいいんです。何かしらを発信してもらえれば。たとえば公式のツイートを毎日リツイートしてくれている方がいるのですが、100人ぐらいいるその方のフォロワーには届いているわけじゃないですか。ほんとそのレベルでもとても嬉しいんです。結局のところ我々はファンに頼るしかありませんから。広告宣伝とかいろいろな手段がありますけど、最終的には人が人を連れてくるんです。

――人が連れてくる人ほど説得力はありますよね。

中村 全部そうなんですよ。みんな口コミなんです。本当にそこをお願いしたいというか、それだけですよね。極論「友だちを連れてきて!」しかないですよ、ユーザーさんに望むことは(笑)。雪だるまの芯になるユーザーさんがいて、その人たちが友だちを集めながら雪だるまを大きくしていくイメージです。この構造はアニメだろうがゲームだろうが変わりません。それが6年間私がプロデューサーやってきた結論というか。なんでも、全部そう。もうそこしかないです(笑)。

ミルキィホームズとレナード三姉妹は今後どう交わる?

――『トイズドライブ』の作中にも”ミルキィホームズ”の4人が登場しますが、今後彼女たちは『トイズドライブ』の世界でどのような活躍を見せるのでしょうか?

中村 いろいろ考えていますよ! ただひとつ難しいのが、彼女たちはヨコハマのヒロインなので、彼女たちがトウキョウに出張ってくるには意味が必要なんです。お話の中でちゃんと意味があるように出してあげないと、私はすごくダメだと思っていて。楽都トウキョウにレナード探偵事務所があって、みんながいて、そこにミルキィホームズの4人がヨコハマから遠征してくる。そこには何の意味があって、何の目的があって、というのがない限り、僕は逆に出すべきではないと思っています。

――改訂版のシナリオだと、チュートリアルにミルキィホームズの4人が出ていますよね? つまりはちゃんとした意味を持った上で登場しているということでしょうか?

中村 ”意味を持たないと登場させない”というポリシーは曲げていないので、チュートリアルに出てくることには凄く意味があるんです。あの場に彼女たちがいることは、『トイズドライブ』の根っこのところに深く関係しているので。じつは台詞ひとつとっても、かなり重要なことを口走っているんですよ。

――そのキャラが存在する意味が明確でないと、ただイラストが存在しているのと大差ないですしね。

中村 あえて言いますけど、ユーザーさんにはキャラのイラストだけを見たときに「だからなんやねん!」と思ってもらいたいんですよ。もちろんイラストにパワーがあるのはわかります。私たちもイラストにすごく魅力があるのは重々承知で、それに対してイベントCGをこうやって作りたいっていうことも言っているので。でも単にイラストが好きというよりは、その女の子の性格や背景といったキャラクター性を含めて、全部好きになってもらいたいんです。

ローレアリティの女の子にも光を当てる

――今後はどのような展開が控えていますか?

中村 直近でお話しできるところになると、以前からお話ししている“投票システム”の実装や、細かな改善を入れていく予定です。あとはキャラストーリーの拡充ですね。みんなお話やイベントCGを見たいっていう欲求を持ってゲームをプレイしてくださっていると思うので、その部分はもっと広げていきたいと思っています。お話を考えること自体はこの世界を広げることだと思うので、そこはやらなきゃいけないかなと。

――キャラストーリーの追加も相当な労力がかかるのではないですか?

中村 そうですね(笑)。でも、現状だとキャラストーリーはハイレアリティのキャラクターに限定されていますが、将来的にはもっと低いレアリティの女の子たちにも入れます。それをしないと、ハイレアリティじゃない女の子だとお話を読めないのかっていう話になっちゃうと思うんです。

――お話がないと、先ほど中村さんがおっしゃっていた「イラストを見て、だからなんやねん!」っていう風になってしまいますもんね。

中村 だからすべての女の子を平等化していくってなると、ローレアリティのキャラクターにもキャラストーリーは入れるべきだと私は思っています。CGが入るかはまだ分かりませんが、それも入れるべきだと思っています。やっぱり自分が好きな女の子の扱いが酷いのって嫌じゃないですか。だからそこはなるべくイーブンでいきたいんです。たとえば既に実装している段階のものだと、扱いを平等化するためにボイス量を変えています。ローレアリティのキャラについは、ボイス量をかなり底上げしていますよ。

――具体的にどれくらい増えているのでしょうか?

中村 レアリティに関係なく、全キャラベースとなるボイスの量は同じにしています。メインストーリーに登場するかしないかで若干のバラツキはありますが、例えば直近のバレンタインイベントのような季節ボイスなんかは全員分録っています! 昔はそれもハイレアリティの女の子だけでいいじゃんって考えでしたが、みんなで考えた結果、そうじゃないだろうと。

――「俺の推しメンにはボイスがない!」って人も出てきますよね?

中村 そう、俺の好きな女の子は、バレンタインのときにチョコをくれんのかって話なんですよ! いや、すごい重要な話なんですよ、これ。レアリティが違ったら、その子からチョコをもらえないって悲しいじゃないですか。

――扱いの差が出てしまうと、キャラクターゲームとしての根幹も揺らぎますよね。

中村 私はRPG、これはロールプレイングというよりはキャラ育成的な意味合いでのRPGを指していますが、これらがキャラクターゲームとして未熟だと思うのが、レアリティが高いキャラにしか人気が集まらない点なんです。それはキャラクターゲームとして矛盾しているんですよ。だってどんなモブのキャラにだって、好きになるチャンスはあるじゃないですか。そのための舞台を、作り手側がちゃんと全キャラ分用意してあげないといけないなと。僕たちはそれが至っていなかったと思ったので、2.0ではまずボイスであったり、キャラストーリーだったりの拡充を行いました。

――となると、★1のキャラでもキャラストーリーが出る可能性は十二分にあると?

中村 1から★2に進化する女の子でもキャラストーリーは作るつもりです。むしろ、もう書き終わった分もあったと思います。なんて非効率なんだと言われるかもしれないし、どこかでラインは作らないといけないと思いますけど、でもキャラクターコンテンツってそういうもんじゃねえのっていうのが自分にはあるので。女の子を出した責任っていうか、この世界に産み落とした責任はちゃんと取らないといけないと思います。

――工数部分ではかなりかかりそうですね。

中村 もちろんバランスはあると思うし、やれる工数に限界はあると思っています。超長期的視点になるのでプレイヤーの皆さんにお待たせすることもあると思います。でも、大前提としてキャラクターを大事にするっていうのがあるので、そこを軸に据えた施策じゃないとダメなんですよ。だから実装のしかたや、アップデートの内容なんかが、他社さんのタイトルと比べて変なんだと思います(笑)

――でも、今回いろいろとお話を伺えて、すべて腑に落ちました。最後に、ユーザーに向けてメッセージをいただけますでしょうか?

中村 『トイズドライブ』はグレードアップをして、さらに遊びやすく、楽しくなったと思っています。でもそれ以上に、2.0になったことでキャラクターゲームの完成系に一歩近づけたと私は思っています。ユーザーさんたちの発露につながるよう、いろいろな要素を盛り込んでありますので、ぜひこのゲーム遊んでください。そして、このゲーム遊んでください

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※公式サイトはこちら

トイズドライブ

メーカー
ブシロード、gloops
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS 7.0 以降(iPhone5以上)、Android OS 4.0 以上

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