『FF』のプロフェッショナルも力を貸した超大作! 『FFエクスヴィアス』インタビュー完全版

2015-10-15 15:55 投稿

1年越しとなる配信決定のアナウンス

スクウェア・エニックスと『ブレイブ フロンティア』(以下、『ブレフロ』)でおなじみのエイリムがタッグを組んだ話題作『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下、『FFBE』、『ファイナルファンタジー』は『FF』)。

『FF』ならではの壮大で、王道な世界観やストーリーをしっかりと受け継ぎつつ、『ブレフロ』をベースとしたシンプルで爽快感溢れる操作システムを搭載。配信前から多くのゲームユーザーが期待を寄せるタイトルだ。

当初の配信予定時期から約1年もの月日は流れたが、先日行われた東京ゲームショウ2015で10月中のリリースも示唆されており、多くのファンがその“運命の日”を心待ちにしていることだろう。

そこで今回は、本作のキーマンである広野 啓氏早貸久敏氏高橋英士氏ら三名にインタビューを敢行。この1年のあいだでいったい何があったのか? これまでの制作過程で起きた裏話などとともに1時間みっちり語ってもらった。

※本インタビューは、別冊ファミ通App Androidに掲載されたものに一部加筆・修正を加えたものです。

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【写真右】
エイリム 代表取締役社長CEO
『FFBE』エグゼクティブ・ディレクター
早貸久敏(文中は早貸)
【写真中央】
スクウェア・エニックス 第8ビジネス・ディビジョン
ディビジョン・エグゼクティブ
『FFBE』プロデューサー
広野 啓(文中は広野)
【写真左】
エイリム 代表取締役COO
『FFBE』制作プロデューサー
高橋英士(文中は高橋)

――まずはじめに、今回のプロジェクトにおけるスクウェア・エニックスさんとエイリムさんの役割を教えていただけますか?

広野 開発をエイリムさんにお願いさせていただき、パブリッシュをスクウェア・エニックスで行わせてもらっています。

高橋 開発は弊社(=エイリム)が行っていますが、シナリオやサウンド、ムービーまわりはスクウェア・エニックスさんが作られたものこそ『FF』だと思いますので、その部分は丸々お願いしています。

――当初昨年冬配信予定で、1年経った現在、ようやく配信が見えてきた形となりました。この1年でいったい何があったのでしょうか!?

※約1年前に実施したインタビュー記事はこちら

広野 お待たせしてしまい本当に申し訳ありません! 理由についてはここでお話できないものが多いので、5年後にはお話できるかと……。ただ、ここに辿り着くまでは非常に濃密な時間を送れたと思っています。エイリムさんともぶつかり合いながら、ようやく辿り着けた感じですね。

高橋 『FF』という凄まじい作品を扱う上での言い合いと考えたら、ふつうですよ(笑)。

早貸 それに喧嘩といっても作品をよくするための喧嘩ですしね。お互いに言いたいことを言い合えたことで、作品も小さく収まらずに済みましたから。

――大きく変化した部分はありますか?

広野 マップの扱いですね。当初は探索中に何回でも敵にエンカウントできたのですが、いまは探索中のエンカウント回数に制限がかかっています

早貸 探索中に敵が出現し続けてしまうと、いくらでもレベル上げができてしまいますので。かといってエンカウント数が少ないと”探索している感”が出ない。そのため現在は一定回数エンカウントすると、ある瞬間から敵と遭遇しなくなります。

高橋 ですが回数制限があるとはいえ、感覚値だと相当な回数エンカウントすると思います。僕自身、CBT(クローズド・ベータ・テスト)でプレイしていて「まだエンカウントするんだけど、バグじゃない?」って疑ったくらいですから(笑)。

――ちなみにマップ内の隠し通路については、どなたの発案だったのでしょうか?

広野 それは早貸さんの意向ですね。早貸さんは隠し通路が大好きみたいで、二言目とか三言目にはすぐ「隠し通路!」って言うんですよ(笑)。

早貸 隠し通路は『FF』の象徴ですからね。

高橋 早貸は自前の研究ノートに物凄く細かいマップを書いて持ち歩いてるぐらいなので(笑)。

早貸 「あのルート、俺しか知らないんだよね」というのをやりたかったんですよ。しかも『FFBE』には隠し通路が分かるアビリティもないし、マップ上からも消えています。本当に調べた人しか分からない形になっているんです。

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▲早貸氏がノートにメモしているというマップがこちら。ノートには街のマップがかなり精細に描かれていた。

――バトルシステムの変更点はございますか?

早貸 基本仕様はそのままですが、UIなどのデザインは変わりましたね。

高橋 ベースは『ブレフロ』のもので構成されていますが、コマンド選択が可能な『FFBE』に合うように、いい塩梅でハイブリッドされていますよ。

――先ほどCBTのお話もありましたが、ユーザーからのリアクションはいかがでしたか?

広野 概ね好評でしたね。僕らとしても非常に手応えを感じています。

高橋 CBT実施前から引っかかっていたポイントが、CBTでいただいたご意見を見て「あ、そこはやっぱり不便だよね」っていう風に明確になったのはよかったです。あと人間って「ここがダメだ!」って指摘したがるものじゃないですか? でも今回は、そうしたネガティブな意見が少なかったのでほっとしています。きっと本作のポテンシャルにベットしていただいた形になると思うので、今後の運営でその期待には応えていきたいですね。

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ドット時代の『FF』を彷彿とさせるサウンド

――サウンドもかなりこだわって作られているとお伺いしていますが?

広野 はい。そのため今回は音楽を上松範康さんにお願いしました

早貸 本作を作るにあたって、僕はとくにメロディラインを重要視したいと思っていて。最初こそ上松さんとのイメージの食い違いで苦戦しましたが、お互いのイメージが合致してからはかなり早いテンポで曲が生まれていきました。

――スクウェア・エニックスサイドの広野さんが聞いてみて、”『FF』らしさ”は感じられる楽曲に仕上がったと思いますか?

広野 その点はばっちりですね。そもそも『FFBE』の裏テーマに”『FFVI』までのドット調で綴られた雰囲気を、”いま”の時代性に沿ったゲームに進化させたらどうなるか?”というのものがありまして。それをサウンドでも実現しようと試みました。上松さんと早貸さんのコミュニケーションの中で、当時の『FF』の進化系とも呼べるサウンドがしっかり構築されて、素晴らしいものに仕上がりました。

高橋 CBTでも「曲がいい」というご意見はたくさんいただきました。どこかで聞いたことある、懐かしいサウンドがお客さんに響いてよかったです。

『FF』のプロフェッショナルが集結

――ずばり、本作に込められたテーマは?

早貸 もともと自分が”RPG好き”いうこともあるので、とてもベタなのですが“友情”、”絆”がテーマになっています。『FFIV』に近いかな。話がベタだと”誰が味方になるか”とかすぐ分かってしまうので、その部分をドラマティックに見せられるよう、いろいろと工夫はしてあります。

広野 早貸さんは企画立ち上げ時から”絆”を描きたいとおっしゃっていましたよね。僕らは早貸さんの描こうとしている物語を、『FF』らしい世界観に落とし込めるようにそれこそ喧々諤々しながらやってきましたよ(笑)。

早貸 でもそのおかげで「これが『FF』だよね」って、お客さんから言っていただけるものは作れたと思っています。

広野 そうですね。『FF』ならではの”お約束”はしっかり抑えつつ、『FF』にいなそうなキャラクターもしっかりいる。オリジナル作品の『FF』という意味では、その部分がキレイにミックスできたかなと。

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――”『FF』らしさ”を出す上での苦労などはありましたか?

広野 そこは仲間の力を借りました。というのも、本作では『FF』に関わってきた人間が部署をまたいで、かなりの人数が協力してくれています。それこそレジェンドと呼ばれる方たちにもご意見をいただきました。ここまでいろんな部署の人間が関わっている作品は、社内でもほかにないと思います。

高橋 マップをチェックしていただいたときに、わざわざベテランの方がサンプルを作ってアドバイスをしてくださったこともありました。『FF』にずっと携わられていることもあって、指摘どおりに直してみたら『FF』らしさがぐっと増すんですよ。

広野 そのほかにも『メビウスFF』のクリエイターにエフェクト部分を見てもらったりドットキャラクターは長年ドットを書き続けている渋谷員子に見てもらったり。シナリオ、CGムービー、SE含め、『FF』のプロフェッショナルたちが関わっています。

早貸 僕らみたいな外部の会社が作ってるものでも「『FF』の表現はいろいろあると思いますが、う~ん……」みたいに、悩みながら事細かにコメントをくださるので、それはすごく嬉しかったですね。

高橋 『ブレフロ』っていうベースがある上で、我々の「『FF』を表現したい!」という想いを汲み取ってくださっているのをひしひしと感じています。とてもありがたいし、嬉しいです。

広野 みんなクリエイターなので、結局のところいいものを作りたいんですよ。ましてや『FF』という名を冠するものならば、お客さんを喜ばせるために全力を注いでくれる。本業がある中でも力を貸してくれるというのは、非常にありがたいことです。

システムはコア寄りな内容に

――ゲームバランスの調整は順調ですか?

高橋 調整には時間がかかりますね。配信の目処が立ったいまでも絶賛調整中です。バランスをチェックするために、CBTのバージョンは何十回やったか分からないくらいプレイしました。そのうちマップを見なくても歩けるようになりましたよ(笑)。

広野 僕らも『FF』らしさの表現の追及はもちろん、映像やマップなどもつねにブラッシュアップし続けています。それは配信後も続けていきますので、きっと皆さんがプレイされている最中も刻々と変化していくと思いますよ。

――バトルのバランスもかなりコア向けなイメージですが、そのあたりはいかがでしょうか?

高橋 バトルのバランスは決してライトとは言えないですね。そもそも『ブレフロ』と違ってキャラクターの持っている技の数が尋常ではないので。技の数が多いほど戦いかたも多様になってくるので、それに対応するために敵の強さも必然的に強くなってしまうかなと。きっとゲームが苦手な方だと「難しい」と感じてしまうかもしれません。

広野 これは単なるパラメータのインフレとは違い、遊びの幅が広がる要素でもあります。やり込み要素のひとつと思って楽しんでいただきたいですね。

高橋 きっとハイエンドなものにはなると思いますが、そのよさは残しつつも、いまはミドル層の方々が楽しんでいただけるバランス調整を目指しています。コア層以外の方が楽しめるようにするのが、リリースまでの課題です。

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――配信初期は何体のユニットが実装されますか?

高橋 覚醒(進化)をのぞいて60ちょっと、覚醒を含むと140体くらいですね。キャラクターの半分はオリジナルで、残り半分は歴代キャラクターになります。

――覚醒も複数段階するのでしょうか?

高橋 中には3段階覚醒するものもいます。正直なところ『FFBE』は覚醒のハードルが高いので、育成が大変な分、60体でも多く感じると思います。

広野 キャラクターによって憶えるアビリティや装備できる武器が異なるので、「その子にどの武器をくっつけて、どのアビリティをつけて」みたいな、昨今のゲームにはない“じっくりキャラを育てる楽しさ”を感じていただけると思います。

――ありがとうございます。それでは最後にひと言ずつメッセージをお願いします。

早貸 スタッフ一同愛情を込めていいゲームを作っています。是非楽しみにしていてください。

高橋 エイリムが『FF』というゲーム界の金字塔に携われただけでも興奮しましたが、いいものができたと思っています。『ブレフロ』も引き続き頑張って運営していきますので(笑)、『FFBE』も是非遊んでみてください。

広野 時間をかけた分、しっかりとよいものができたと思っています。本作に関わったスタッフ全員が手応えを感じている作品ですので、是非楽しみにしていてください。

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ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス

メーカー
スクウェア・エニックス
配信日
2015年秋配信予定
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS/Android

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